Skip to main content
2025年9月17日20時04分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 社会
戦後70年

太平洋戦争中、“第二の国歌”といわれた軍歌「海行かば」に作曲家・信時潔のキリスト教信仰

2015年8月15日15時31分 記者 : 土門稔
  • ツイート
印刷
関連タグ:信時潔植村正久清水安三
太平洋戦争中、“第二の国歌”といわれた軍歌「海行かば」に作曲家・信時潔のキリスト教信仰+
没後30年、戦後50年を記念して出されたCD「信時潔歌曲集」(1995年)

海行かば 水漬く屍(かばね)
(海を行けば、水に漬かった屍となり)
山行かば 草生す屍(かばね)
(山を行けば、草の生える屍となって)
大君の辺(へ)にこそ死ねめ
(天皇のお足元にこそ死のう)
かへりみはせじ
(後ろを振り返ることはしない)

第二の国歌ともいわれた「海行かば」

「海行かば」は、太平洋戦争中、「準国歌」「第二の国歌」ともいわれるほど、熱狂的に国民、兵士に広く歌われた。作曲家・信時潔(のぶとき・きよし、1887〜1965)が日本放送協会(NHK)の嘱託を受け、1937年に作曲、国民の戦意高揚を目的とした歌として制定された。太平洋戦争が始まると、ラジオの戦果発表(大本営発表)や、部隊の玉砕を伝える際に冒頭に流されたことから、国民に広く知られることになった。

太平洋戦争をテーマにした映画やドラマで現在もよく使われており、耳にしたことのある人もいるかもしれない。しかし敗戦後は、軍国主義を象徴する歌として、長らく封印されていた。

<「海行かば」>

牧師の息子として生まれ育った信時潔

歌詞は『万葉集』巻十八の大伴家持の長歌から取られているが、この旋律を作曲した信時が、プロテスタントの牧師の息子として育ったクリスチャンであったこと、また選ばれた歌詞も聖書と関係があったことは、あまり知られていない。

信時は1887年、日本キリスト教会大阪北教会(大阪市北区)の牧師、吉岡弘毅(こうき)の三男として生まれた。吉岡牧師の息子として育ったが、11歳で信時家の養子になったという。

『「海ゆかば」の昭和』(新保祐司編、イプシロン出版企画、2006年)によると、信時の父、吉岡は外務省を辞めて牧師になった人物で、不敬事件後、定職もなく各地を転々としていた内村鑑三に一時期住居を提供し、親密な交流があったという。その息子として育った信時は、「教会に親しんだ幼児の生活がいつしか私に洋楽への道を拓(ひら)いてくれた」と戦後、雑誌で回想している。

吉岡家の養子になった吉岡繁氏(元神戸改革派神学校校長)の著書『実践的伝道論研究』(新教出版社、1996年)には、吉岡弘毅について触れながら「三男潔(大阪北教会の長老であった信時家に養子に入った作曲家)へとその信仰は継承されましたが」という記述がある。

動機は善でも、結果が悪になることはあるか

信時がいつ洗礼を受けたかは不明だが、音楽家になるために入学した音楽学校に退学届を出し、救世軍に飛び込み路傍伝道をしていたこともあるという。しかし、それを続けるべきか迷っていたときに、植村正久牧師に次のように問うた。

「動機は善であっても結果が悪になることがありますか」

植村は一言、「うーん、あるね」と答えた。その答えを聞き、路傍伝道から音楽学校に戻ったという。

そのような背景から作り上げられたのが、「海行かば」だった。

また、歌詞は異なるが、キリスト教教育者の清水安三が、キリスト教社会運動家の賀川豊彦の協力を得て、東京・町田に設立したミッションスクール、桜美林学園の旧校歌の旋律にも用いられていたという。

かえりみはせじ

評伝『信時潔』(構想社、2005年)を書いた新保祐司氏は、歌詞の最後「かえり(顧)みはせじ」に注目し、この箇所は「(文語訳の)新約聖書ルカ伝第9章の62節『イエス言いたまふ「手を鋤(すき)につけてのち後を顧みる者は、神の国に適(かな)ふ者にあらず」』を連想する」「信時がこの歌詞に曲をつけているとき、このイエスの言葉が頭に浮かんだと考えても少しもおかしくない」と書いている。

「海行かば」では、「大君の辺にこそ死ねめ  かへりみはせじ」となっているのに対し、ルカによる福音書9章60〜62節では、イエスが「あなたは行って、神の国を言い広めなさい」と言うと、ある人は「主よ、あなたに従います。しかし、まず家族にいとまごいに行かせてください」と言う。それに対しイエスは、「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国にふさわしくない」と語っている。

確かに両者の状況は似ており、『万葉集』の中からあえてこの箇所を選んだのは、聖書を意識していたという説明には説得力がある。

信時は、「バッハのコラールに強い影響を受けた」と生涯語っていたという。コラールは、元来はルター派教会で会衆全員によって歌われた賛美歌のことで、多くの場合、単純な旋律で、専門の合唱団ではなく、会衆によって歌われることを考えて作られているという。新保氏は、「『海ゆかば』は、いわば近代日本におけるコラールであった」と書いている。

賛美歌は、信仰者が神を賛美する信仰の告白でもある。「海行かば」は元来、鎮魂歌ではなく、強烈な忠誠を吐露した歌である。その忠誠の対象が、大君(天皇)ではなく、キリスト教の神であるとすれば、「海行かば」は確かに、賛美歌そのものとして作られたといえるかもしれない。

<「海行かば」が歌われている戦中の映像>

信時の信仰・意図から離れて歌われた「海行かば」

しかし、「海行かば」は太平洋戦争中、あまりに有名になり過ぎたことから、戦後は軍国主義賛美、戦争協力の歌とみなされるという運命が常に付きまとった。「信時潔は、『海行かば』で戦場に若者を送ったことを恥じて、戦後一切作品を発表しなかった」という説が広く流布していたこともあるという(実際は作品の数は減ったが、戦後も作品を作っている)。

ただし、信時自身の歌曲の解説やエッセーを読んでも、「海行かば」についてはほとんど触れられていない。数少ない発言として、1962年に雑誌『週刊新潮』のインタビューではこう語ったという。

「あの当時のことに関する私の気持ちは少し複雑でね。デリケートなものもありますし、ここで簡単に口でしゃべるわけにはいきません。ただ、あの『海行かば』が、今も人々に歌われるとすれば、それはあの当時の戦死者とか靖国神社とか、そういった生々しいイメージを絡ませて歌われないと思う。少なくともそうあってはならないんです」

また息子には、「おれは運命に流されたようなものだな」と述懐していたという。

いずれにしろ、信時の信仰や意図とは関係なく、自身の生い立ちやキリスト教信仰から生まれたこの歌は、太平洋戦争という時代の中で、天皇に忠誠を尽くし命をささげる歌として広く歌われることになった。

「動機は善であっても結果が悪になることがありますか」

信時が植村に問い掛けた問いが、「海行かば」という曲と信時潔という音楽家を象徴しているように思えてならない。

果たして、キリスト者・信時潔は何を思っていたのだろうか。

関連タグ:信時潔植村正久清水安三
  • ツイート

関連記事

  • 戦争経験者に聞く戦後70年(1):海軍将校として戦艦「霧島」で戦い、戦後牧師に 後宮俊夫牧師が語る「キリストの平和」

  • 女たちの戦争 「従軍慰安婦」を告白した城田すず子さん

  • 「もう一つの戦後70年」 広島で被爆死した米兵ジョン・ロング・ジュニアさん

  • 戦後70年の広島から(3):「どうか平和を」 8月6日原爆の日、広島各所でささげられた祈り

  • 立教学院展示館が初の企画展「戦時下、立教の日々」 戦後70年で

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「日本イスラエル・クリスチャン交流会」が発足、世界62カ国に広がる議員ネットワーク

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • キリスト教に回心したウィキペディア共同創設者、所属教会を発表

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 今の自分のままで幸せだと気付こう 菅野直基

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(3)神の御霊と一つ 加治太郎

  • 聖書のイエス(17)「わたしを見た者は、父を見たのです」 さとうまさこ

  • 主につながり、人々を主につなげよう 万代栄嗣

  • ワールドミッションレポート(9月17日):ロシアのリブ族のために祈ろう

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 「日本イスラエル・クリスチャン交流会」が発足、世界62カ国に広がる議員ネットワーク

  • キリスト教に回心したウィキペディア共同創設者、所属教会を発表

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(12)「苦しみ」から「光」へ 三谷和司

  • 新しい発見 佐々木満男

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 「日本イスラエル・クリスチャン交流会」が発足、世界62カ国に広がる議員ネットワーク

  • キリスト教に回心したウィキペディア共同創設者、所属教会を発表

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

編集部のおすすめ

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.