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イエス伝

「イエス伝」(30)・・・自己愛を支えたもの 平野耕一牧師

2010年5月13日06時17分
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関連タグ:平野耕一

イエスはこよなく自分を愛していた。父なる神から愛されている確信から、その自己愛は支えられていた。しかし、神の愛を知る前に、イエスは人からの愛を豊かに経験したに違いない。父ヨセフと母マリヤからの愛だ。イエスは、両親の愛を通して神の愛を知るようになったのだ。

今日の教会は、イエスは神であることをアピールし説得しようとしている。しかし、初代教会の神学的課題は反対で、イエスが人であることを説得することであった。グノスティク霊知主義者はイエスが純粋に霊的存在であって、肉体を持っていることを否定した。つまり、彼らはイエスが人であることを否定したのだ。

「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた」「じっと見、手で触ったもの」「人となってきたイエスを告白する霊はみな、神からのものです」などの聖句は、当時戦闘的な意味合いを持って書かれたのである。イエスが人であることを否定する教えが教会に広まっていたからなのだ。

イエスは人として生まれ、育ち、働き、生きた。これを否定する者は異端者なのだ。人でなければ死ねず、死ななければ十字架はなく、十字架がなければ復活はなく、復活がなければ救いはなく、救いがなければ福音はない。もしイエスが人間でなければ、福音の主張は根こそぎ引き抜かれてしまうのだ。初代教会は強い危機感を持って「イエスは人である」ことを主張した。

ここで反省しなければならないことがある。今日の教会は、イエスの人間性を軽視してはいないだろうか。イエスは病を癒やした。「神だから」。イエスは悪霊を追放した。「神だから」。イエスは死者をよみがえらせた。「神だから」。イエスは5000人に食事を与えた。「イエスは神だから」。イエスはガリラヤ湖の嵐を静めた。「神だから」。イエスは十字架を耐え忍んだ。「神だから」。イエスは復活した。「神だから」。これらは、初代教会時代の異端グノスティクの「イエスは霊だから」という主張に似てはいないだろうか。

そうではないだろう。イエスはこれらすべてを人として体験したのだ。彼の葛藤も、苦悩も、痛みも、苦しみも、悲しみも、寂しさも、人間としてのものであった。イエスは人間のふりをした神ではなく、100%人間だった。イエスは神だから奇跡を行えたのではなく、神からの力を受けたからである。それは、イエスが熱心に祈り求めて与えられたのだ。

イエスが子どもになり、少年になり、成人したのは超自然的ではなく自然的、社会的、ユダヤ人文化のプロセスによるものであり、そこには3つの通過儀礼があった。

1. 割礼

イエスが8日目に割礼を受けたことは、両親の神への従順を、神とコミュニティと社会に向けて明らかにしたものなのだ。割礼は、アブラハムの契約を明らかにするものであり、信仰による祝福の器として、祝福の伝達者としての信仰表明なのだ。この日にイエスと命名された。「主は救い」という意味であるが、当時はごく普通の名前であった。

この時期、始めに体験するものは、母の愛だ。ユダヤ社会における父母の役割ははっきりしていた。父は外で働き、母は子育てと家事に専念する。また、父は厳しく、母は優しくするのが理想とされ、またそれがごく普通の子育てであった。

発達心理学者の父、エリックソンは、健全な自尊心が育てられるためには、乳児期には信頼、幼児期前期には自立性、後期には勤勉性を学ばなければならないと教えるが、イエスはこれらをしっかりと母マリヤから与えられた。母との絆が不安だと、信頼ではなく不信頼、自立性ではなく疑いや罪悪感、勤勉性ではなく劣等感を抱いてしまう。

御使いから受胎を告知されたときに信仰を持って応答し、また誕生までメシヤの母として厳しい経験を重ね、赤子イエスのいのちを保つためにエジプトにまで旅をしたマリヤは、幼年イエスの精神的必要に応えた。健全なる母との絆は、イエスの自己愛の基盤になった。

6歳から12歳まで、男子はシナゴグに通って学校教育を受け(女子は家庭で母から教育された)、バールミツバの翌日から仕事に就いた。父と仕事に出かけ、仕事を仕込まれた。

2. バールミツバ

男子は12歳まで母のケアのもとに置かれ、13歳の誕生日にバールミツバ成人式が行われた。この通過儀礼によって子どもから大人になる。一日にして子ども時代が終わり、大人時代が始まるのだ。つまり子どもと大人の間の思春期は全くなかったのだ。イエスは一日にして別人になり、まったく別の扱いを受けるようになった。

この儀式によって、イエスは母の手から父の手へ、優しさから厳しさへ、家庭から社会へ、女中心の世界から男中心の世界へ移された。男として認められ、訓練を受け、男としての意識を植え付けられていくのだ。イエスはこの日を待ち望み、喜んで迎え、男であることに誇りを持った。

エリックソンは、この時期に同一性(アイデンティー)を確立していくと説明する。この時期に父との絆をしっかりと結ぶ者は、時間、展望、自己確信、役割実現、達成の期待などを学びながら同一性を築き上げる。

イエスは毎日8時間から12時間、父親と密着して過ごした。イエスは父を見つめ、カナズチ、かんな、のこぎりを使う手や指の動きをまねた。腰の入れ方、足の動作なども肌を触れ合いながら取得し、父と協力して作り上げた。そのプロセスの中で父の心情、価値観、信仰などを学んでいった。

母との絆、父との絆、これらはイエスの自己愛を支えるものであった。この儀式によって、イエスは母の手から父の手へ、優しさから厳しさへ、家庭から社会へ、女中心の世界から男中心の世界へ移された。

◇

平野耕一(ひらの・こういち):1944年、東京に生まれる。東京聖書学院、デューク大学院卒業。17年間アメリカの教会で牧師を務めた後、1989年帰国。現在、東京ホライズンチャペル牧師。著書『ヤベツの祈り』他多数。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:平野耕一
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