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Gゼロ時代の津波石碑

Gゼロ時代の津波石碑(5)参政党と「分断」の時代―ゴレンジャー分裂が映す日本の病理 山崎純二

2025年7月20日19時29分 コラムニスト : 山崎純二
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関連タグ:山崎純二

不安と孤独の病理が進む状況の中で、人々は安心感を得るために、何かに帰属することを求め、さまざまなコミュニティーや集団に属することを望むようになる。しかし、このような集団は、しばしば他の集団との対立を生み出し、社会全体の分断をさらに深める原因ともなっている。

例えば、政治的な意見の違いが人を攻撃的にし、不寛容を生むこともある。では、かつての日本はどうだったのであろうか。

崩れゆく絆―日本的連帯感の変遷―

・疎外される個人と地域共同体の崩壊

かつての日本の町や村には、住民同士が顔を合わせ、お互いの近況を気にかける地域共同体があった。そこには「お互い様」という言葉があり、人々を結び付けるさまざまな絆が存在し、祭りや冠婚葬祭などを通じて、強化・維持されていった。

しかし、現代においては隣に誰が住んでいるのかも分からず、交流も全く無いということも珍しくない。それどころか、宮台真司氏が指摘しているように、同じマンションのエレベーターに他の人が乗っていると、接点を避けるために、あえて少し時間を潰してから戻ってくる人もいるという。

・会社の共同体機能の喪失

同様に、会社も共同体としての機能を喪失してしまった。かつては社員旅行や宴会などが多くあり、それらは仲間との結び付きを深め、協力関係を築く場でもあった。私は沖縄で韓国の方々を対象に通訳ガイドの仕事をしていたが、韓国も個人主義が進んでいるとはいえ、中小企業などでは、社長から平社員までと、その奥様たちや子どもたちまでもが、一緒に沖縄に旅行に来られたりすることも珍しくなかった。また、彼らを受け入れる沖縄にも、地元に根ざした親族経営の会社が多く、社内に強いつながりが残っていた。

しかし近年、特に東京などの都市部において、これらのつながりが急激に失われていっている。必ずしも昔の方が良かったというわけではないが、結果として、地域や同じ組織で働く者たち同士の絆が薄れてしまっているように感じる。あるいは、それは私の認識違いで、会社内の絆など、そもそも昔から希薄だったのかもしれない。うる覚えだが、以前読んだ(おそらくは三浦綾子氏の)小説の中に、このような話があった。

ある人が、退社して数カ月後に、ちょっとした用事で以前の部下に会うために会社を訪問した。そこでは笑顔で応対され、要件を伝えてオフィスを出た。その帰りに、お腹の調子が少し悪く、トイレの個室を使っていたところ、先ほどの部下が入ってきた。そして、中に当人がいるとは知らずに、他の同僚と話を始めたという場面があった。その内容は、退社した上司が訪ねてきたことを、非常に面倒臭く感じているという趣旨のものであった。

これはあくまで小説の話だが、日本社会において、いかにもありそうな話である。これらのことを考えると、私たちの歩んで来た道のりは、やはり何かが大きく間違っているのではないかという気がする。

深まる政治的分断―原因と影響―

・参政党について

地域にも、会社にも、家庭にも帰属できなくなったバラバラの個人は、さまざまなグループに身を置くことでかりそめの帰属意識を持とうとするようになる。そのうちの一つは、左翼か右翼か、保守かリベラルかなどという政治信条であろう。

何らかの陣営に帰属していれば、その仲間内で承認し合うこともできるし、反対勢力を仮想敵とすることで、団結した気になることもできる。しかし「かくあるべき」という政治的理想を基に、本当の意味で人々が団結することは非常に難しい。

そのことが端的に現れたのが、参政党の分断騒動である。参政党は、2022年7月の参議院選挙で、5人の候補者を「ゴレンジャー」と称して擁立し、草の根的な運動で1議席を獲得した。そして続けて、市区町村議員を擁立し、当選者は100人を超えた。しかしその後、神谷氏をはじめとする党の執行部と残りのゴレンジャーの間に亀裂が起こり、代表の松田学氏は代表を辞任、残りの3人は離党していくことになってしまった。

確かに、参政党には一定の国家観があり、日本という国を良くしたいという理想や志がある。それは誰か一人ではなく、5人の「ゴレンジャー」をはじめ、初期に参加した多くの党員も同じ思いであった。しかしそれでも、他人同士が理念や理想を基に団結し続けることが至難の技であるということが証明される形になってしまった。

・派閥と闘争の内幕

一方で既存政党の中には、長期的な基盤を築いている政党もある。しかし、下々の党員が組織に帰属することで幸福になれているかといえば、必ずしも皆がそうとはいえない。

政治活動をしようというような人々は、基本的に真面目で問題意識の高い人が多い。しかし、候補者に選ばれるのは極一部の人であり、他の人々はそれを縁の下で支えなければならない。そして当然のこと、上に立つ人たちも聖人君主というわけではないので、さまざまな問題や欠点を抱えている。そうすると「なぜ自分ではなく、あの人が上に立っているのか」というような嫉妬や承認欲求、批判、また個々の正義同士のぶつかり合いが生じ、党内における派閥闘争や権力闘争などが繰り返されることになるのである。

そして、権力や議席を維持するためだけに、聞きざわりの良いことを選挙前に喧伝したり、自分の主張してきた信念を曲げたりすることも珍しくない。これは自民党の派閥政治の中で、私たちが長い間見せられてきたものだ。

・嫌韓・嫌中論の不毛さ

もう少しだけ、政治の話を続けてみたいと思う。保守陣営といわれる方々の中には、嫌韓・嫌中的な議論をひたすら繰り返している「言論人」も少なくない。もしくは政敵のささいな欠点を指摘し続けることで、自己の優位性を示そうという方々もいる。

自己のアイデンティティーや陣営内の仲間意識を固める方法はいろいろなものがあると思うが、他者を下げて自己を上げるような言説を聞き続けるのは気持ちの良いものではない。国際政治アナリストの伊藤貫先生は、そのようなものを幼稚な議論として言下に退けている。

保守であれ、リベラルであれ、本当に周りの人の幸福を願う政策を希求するのであれば、他者や他国を下げるのではなく、堂々と自分の考える指針や具体的な政策を語ればよい。他者を下げるような議論が飛び交っている中で、魂の孤独が癒やされるような本当の仲間作りをすることは不可能なのであるから。

*

おわりに

さて、以上が3章「深化する社会の分断」の前半部分です。参政党については、本書を執筆した時期から少し時間がたちましたので、もう少し実情が明らかになってきました。代表を辞任した松田学氏は、その後も創設メンバーとして党に残り、今回も全国比例区に出馬していますので、この記事が掲載される頃には当選しているかもしれません。

また前述したように、元ゴレンジャーのうち3人は離党していきましたが、神谷代表と共に初期から街頭演説を共にしていた吉野敏明氏は「日本の病を治す」と銘打って日本誠真会という新党を独自で立ち上げました。そして、2022年の参議院選挙で神谷代表に次いで得票の多かった武田邦彦氏は、党を批判して決裂してしまいましたが、現在でも精力的にいろいろな番組で言論活動を続けています。

このような経緯もあり、いろいろなことがいわれている参政党・神谷代表ですが、当人は組織づくりさえできれば、本人は引退するか、裏方に回りたいと明言されています。つまり、特定の個人の力ではなく、参加する皆の組織の力で政治を動かそうとしているとのことです。そして彼は、結果的に全国的に支部や組織を作り上げ、2025年の参院選では台風の目といわれるほどになりましたので、彼の信念が「有言実行」の一つの形になったということだと思います。

つまり参政党は、深化する社会の分断の中で、一定の仲間づくりに成功しているといえるかもしれません。もちろん、初期の党員たちの中には、ゴレンジャーの分裂とともに離党していった人々も少なくなく、本当の真価が試されるのはこれらかということだと思います。

他方、逆説的になりますが、今回述べたような社会の分断、その結果としてバラバラになった個人、経済的低迷、不安や焦燥、これらの日本人の心理状況の故に、強烈な求心力を得ているともいえます。これは参政党に限らず、他の新興政党についてもいえることでしょう。

今回の内容は政治的なものが多かったですし、個人的に注目していたので、参政党についての言及が多かったですが、特定の政党の是非や賛否を論じることが本コラムの趣旨ではありません。これは全体として「天上の神様」に立ち返る必要があることを示している拙著の一部抜粋であり、私たちの心の患部を見据えるために必要なパートだと思い、書かせていただきました。私たちは自分の患部をしっかりと認識することで、処方箋の必要性に気が付くことができるからです。

処方箋については、今後連載を続けていく中で、徐々に明らかにしていきたいと思いますが、簡潔にいえば、私たちは皆、欠けのある存在ですので、人を批判ばかりせず、天上の神様に愛されていることに感謝し、身近な友人・家族との関係を大切にするということでしょう。今回も一つ、聖書の価値観を示す聖句を一つ引用して終わりにしたいと思います。

何事も党派心や虚栄からするのでなく、へりくだった心をもって互に人を自分よりすぐれた者としなさい。(ピリピ人への手紙2章3節)

お知らせ

私は現在オランダに住んでいますが、夏の終わりに一時帰国予定です。そこで、皆様とも直接お会いしたいと思い、JTJ神学校同期の進藤龍也牧師を誘って、ゴスペルトークイベントを企画させていただきました。詳細はまた告知させていただきますが、興味のある方は、ご予定を空けておいていただけるとうれしいです。

日時:8月30日(土)午後2時より
場所:[罪人の友]主イエス・キリスト教会
〒334−0013 埼玉県川口市南鳩ヶ谷5丁目16−18

本稿は拙著『Gゼロ時代の津波石碑―再び天上の神様と繋がる日本―(21世紀の神学)』よりの抜粋です。全文をお読みになりたい方は、ぜひ書籍をご覧ください。

山崎純二のユーチューブチャンネル「21世紀の神学―Gゼロ時代の津波石碑―」の方でも、さらに踏み込んだ内容が発信されていますので、興味のある方はこちらもご視聴いただけます。

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◇

山崎純二

山崎純二

(やまざき・じゅんじ)

1978年横浜生まれ。東洋大学経済学部卒業、成均館大学語学堂(ソウル)上級修了、JTJ宣教神学校卒業、Nyack collage-ATS M.div(NY)休学中。米国ではクイーンズ栄光教会に伝道師として従事。その他、自身のブログや書籍、各種メディアを通して不動産関連情報、韓国語関連情報、キリスト教関連情報を提供。著作『二十代、派遣社員、マイホーム4件買いました』(パル出版)、『ルツ記 聖書の中のシンデレラストーリー(Kindle版)』(トライリンガル出版)他。本名、山崎順。ツイッターでも情報を発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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