ベラルーシは1990年にソビエト連邦から離脱を宣言して独立したが、現在に至るまで旧共産主義体制の名残を色濃く残す権威主義国家として知られている。アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は1994年から政権を握り続け、2025年の選挙では不正の疑いが強くある中で7期目に突入した。ロシアとの強固な関係が彼の政権を支える一方、国内では経済の停滞や自由の制限が続き、国民は大きな不安と抑圧の中で生活している。
地理的にはロシアと欧州を結ぶ要衝にあり、歴史的にも東西の文化・宗教の交差点であった。ロシア正教会の影響が強く、公的には正教が支配的な地位を占めているが、プロテスタントの諸教会は少数派として活動を制限されている。信教の自由は建前上保障されているものの、公認登録を拒否された教会は違法とされ、罰金や集会の妨害など、さまざまな形での迫害が今なお存在しているのだ。
こうした環境の中で、ベラルーシのキリスト者たちは困難を乗り越えながらも希望を持ち、福音を証しし続けている。教会は地域の孤児、貧困家庭、青少年に仕えていく働きを積極的にしており、ラジオ放送やインターネットを通じた伝道活動も重要な手段となっている。宣教師たちは、かつての共産主義時代の迫害を経験した信仰者たちの証しが、今の世代にとって大きな励ましとなっていると語る。
ベラルーシは霊的に大きな収穫の可能性を秘めた国であると同時に、宣教の困難さも持ち合わせている。国民の多くは伝統的宗教に縛られており、個人的な信仰の決断に対しても社会的なプレッシャーが強い。だが、苦しみの中にある人々の心には、真の希望を求める叫びがある。
政府の権力構造において腐敗が明るみに出され、正義が打ち立てられるように祈ろう。また、キリスト者たちが信仰の自由を確保しつつ、大胆に福音を語り続けられるよう、さらに教会の成長とリーダーの備えが進むように祈ろう。そして、福音によってベラルーシの人々が魂の救いと希望をキリストに見いだすことができるように祈っていただきたい。
■ ベラルーシの宗教人口
正教関係 57・8%
プロテスタント 2・2%
カトリック 10・5%
無神論者 28・1%
ユダヤ教 0・5%
イスラム 0・6%
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