グローバル・クリスチャニティー研究センター(米ゴードン・コンウェル神学大学院所管)は、世界のキリスト教人口の動向を追跡・分析している学術機関である。同センターによれば、2025年時点で、世界のキリスト教徒の69%がグローバルサウス(経済的・社会的課題を抱える発展途上国や新興国の地域)に居住し、2050年には、その比率が約78%に上昇する見込みだという。実際、全世界のキリスト教徒数は2023年には約26・4億人に達し、さらに2050年までに30億人を突破すると予測されているのだ。
特にサハラ砂漠以南のアフリカでの成長が顕著で、1900年には900万人足らずだったキリスト教徒が、2000年には3・8億人になり、2020年には6・58億人に急増した。2025年には7・6億人となり、2030年代後半には10億人規模に達する可能性も示唆されている。同地域の合計特殊出生率は約4・4と、キリスト教圏では突飛しており、宗教を問わない地域平均よりも高い。これが人口増と信者増の一因ともなっているのである。
アジアでも成長は著しい。またラテンアメリカでは、ペンテコステ派やカリスマ運動による都市部での宣教が活発化しており、信仰の拡大を促進している。一方、西欧や北米では教会出席や信者数が減少しており、特に欧州では2010年から2050年にかけて、キリスト教人口が5億5300万人から4億5400万人に減少すると予測されている。
宗派別では、プロテスタント、単立教会、福音派、ペンテコステ派、カリスマ派が特に成長率が高く、独自の信仰体験や霊的な求めに応える形で広がりを見せている。また、若者層によるリバイバル運動や家の教会、迫害下での体験が、信仰の深化を促すケースが数多い。
地理的な分布に関する詳細では、2010年時点で世界のキリスト教徒の分布は欧州26%、ラテンアメリカ25%、サハラ砂漠以南のアフリカ24%、アジア・太平洋13%、北米12%だったが、2050年にはサハラ以南アフリカが38%を占め、欧州は16%へと縮小する見込みだ。
このような「信仰移行」の背景には、出生率の高い地域への人口シフトだけでなく、グローバルサウスの指導者たちによる自主的な宣教活動の台頭が挙げられる。これまで南米やアフリカでは、欧米からの宣教師が派遣されてきたが、1970年代以降は、ブラジルをはじめとする現地からの宣教者が急増し、ついには世界の宣教活動の半数を担うほどになっているのだ。
総じて、キリスト教は衰退ではなく「移行」しており、その新たな中心地はサハラ以南のアフリカおよびアジア太平洋、次いでラテンアメリカへと移りつつある。日本を含むグローバル・ノース(先進諸国)における人口と信仰の停滞は、これら成長地域との対話や連携を進めることで姿を変えていく可能性を秘めている。
今後のグローバルな教会の在り方を見据える上でも、国際的な視野が求められる段階に来ているといえよう。勢いのあるグローバルサウスの熱い信仰が、霊的に停滞および冷え切ってしまったグローバルノースの人々を燃やして、お互いに補いつつ、全地球規模的な霊的覚醒につながるように祈っていただきたい。
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