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保育の再発見

保育の再発見(29)カスハラの波に揺るがない保育環境を築くために

2025年4月8日14時30分 執筆者 : 千葉敦志
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保育園/幼稚園+
※ 写真はイメージです。(写真:FineGraphics)

あなたの重荷を主にゆだねよ、主はあなたを支えてくださる。(旧約聖書・詩編55編23節)

カスハラは双方の不幸

前回、カスタマーハラスメントに至る背景には、保護者が不安を解消できる場が少ないという問題が根本にあることを紹介しました。しかし、その一方で、保育施設は保護者の不安に向き合うことを求められます。冒頭の聖句が示すように、「子どもたちの成長はあくまで神に由来する」という理解に立つキリスト教主義保育では、神の代行者として立つことが求められます。保育施設は「保護者の重荷を預かり、保護者を支えること」が本分なのです。

現代の保育の困難性は、多くの場合、保護者がわが子の子育てで手いっぱいという状況が常態化していることにあります。これには、自分の生育歴などから来る子育て経験の不足や、社会が規格化されてきたことによる子育そのものの規格化などが、背景として挙げられます。些細な問題が絶えず押し寄せてくるような感覚にさいなまされ、日々目の前の問題に腐心するあまり、「子育てを楽しむどころではない」という状況に追い込まれている保護者を多く見かけます。「子どもをかわいいと思えない」と訴えるような保護者も増えてきました。

このような場合、まず必要なのは、「発達の経緯」などを適宜提示することです。事前に、子どもがどのように成長していくのか、そしてその成長に合わせて環境はどう変化していくのか、ということを予め提示することが大切です。

保育者が疲弊しない子育て支援

ここまで考えると、「カスハラに揺るがない仕組み」が保育施設に求められることは明らかです。もし仮に、保護者支援の大半を、個人対個人の信頼関係に頼ってしまっていると、その保育職が長期休業や退職したとき、対応が困難になります。また、保護者との年齢差や相性などの問題が、正常な支援の仕組みを常に脅かすことになります。かといって「全ての情報を共有しています」と案内すればいいという問題でもありません。それではプライバシーを気にする保護者が打ち解けてくることは期待できません。

また、そういう仕組みの中では、個々の保育職が問題を抱え込むことでつぶれてしまう危険性が高まってしまいます。そのため、求められるのは「チームによる能動的な子育て伴走支援」ということになります。

能動的な子育て支援とは

出産後1カ月くらいから、保健師の定期訪問が始まります。1歳になれば、集団健診、予防接種の実施などが始まり、3歳6カ月では発達健診、5歳になれば就学前健診と、行政的なイベントが目白押しになります。特に3歳6カ月健診では、発達検査が主になりますので、ここで自閉スペクトラム症などの疑いを指摘されることになります。このような細かな発育指導は、保護者のストレスを誘引する場合も多いので、入園時に予め伝えつつ、その都度事前に情報提供などを行うことが大切です。このことは、ロードマップ化することができれば理想的です。

子どもができることを感じてもらう

日々の保育の中で、発達を見せていく工夫も必要です。例えば、赤ちゃんに「かわいい、かわいい〇〇ちゃ〜ん」と呼びかけ、「はーい」と手を上げる芸を教え、保護者にそれができるようになったことを伝えれば、そこからしばらくの間は自宅でもそれを通した交流を楽しむようになるでしょう。

このように、ただ預かり、ただお返しするのではなく、成長に従った気付きをしっかりと送迎の時に伝えることにより、発達状況の把握と共通理解を構築していくことが、まずは大切になります。そして、このことは同時に、保育職の保育に興味を持ち、信頼を深めてもらう作用ももたらします。このようにして、保護者が漠然と持っている不安を不必要にふくらませる回路を遮断するのです。

保護者の不安にどう寄り添うか

保育施設は、発達の遅れや虐待の疑いなどに対して早期発見・早期対処を求められています。これは大切なことではありますが、一方で保護者が保育施設に対して全幅の信頼を置けない理由となっている場合も少なくありません。

よく受ける相談に、「発達の遅れを指摘し受診を勧めたら、保護者に激怒された」というものがあります。こうなってしまうと、せっかく築いた信頼関係は一気に吹き飛び、険悪なものになってしまうでしょう。保護者にしてみれば、「お宅の子は発達が遅れているので、私たちでは対応できない」というメッセージを発していると捉えてしまっている場合が多く、信頼を回復するには相当な時間と労力を要します。

こうならないためにも、保護者の保育に関する欲求を理解しておく必要があります。保護者は、自分たちにはどうにもできない問題を受け止め、解決してくれることを保育施設に求めているのです。だからこそ、まずは保護者の不安に寄り添うことから始めなくてはいけないのです。

有能な伴走者になる

伴走者は、ただ進むべき方向を把握し、それに至る道を知り尽くし、その道のりを共に走ることを常とします。しかし、有能な伴走者は、道順を教えるだけではなく、共に走る道中に、「あそこに花が咲いている」「あそこで応援している人がいる」「もう少しペースを上げよう」「頑張ろう」などと声をかけます。また、ランナーの様子を見極め、「少しペースを落とした方がいい」「水を飲んだら?」などと声をかけることで、ランナーのモチベーションや体力の維持をサポートします。必要であれば、「少し休もうか」という声がけも必要です。このように、道のりをしっかりと把握しつつ、自信を持って誘導していくのです。保育も同様です。時には冗談や笑い話などをすることが必要になることもあるでしょう。

保育者の負担を軽減するための組織的な対応

カスハラが頻発すると、保育職のバーンアウト(燃え尽き症候群)を引き起こし、人材流出につながる可能性があります。そのため、保育施設全体で職員を守る体制を作ることが不可欠となります。具体的な取り組みとしては、前述したような能動的な支援を行うための仕組みを作ることを心がけます。

まず、保育職が自由に書き込める「こころホットノート」を常備し、保育職が保育中に見聞きした心温まったり、癒やされたりした出来事を収集し、回覧する仕組みを作ることを提案します。保育施設には、事故予防の観点からヒヤリとしたり、ハッとしたりした出来事を記載・蓄積する「ヒヤリハットノート」が存在しますが、効果的な運用はあまりされていないのが実情です。

この運用を誤ってしまうと、責任の所在などを追及するあまり、心ならずも互いの行き過ぎた相互監視体制ができてしまう場合があります。「こころホットノート」はその予防ともなり、閲覧することで、保育職相互の信頼関係を維持することが望めます。また、こうした「こころホット事案」は、保護者に園便りなどを使って共有することで、保育の見える化などにも大いに貢献します。

保護者支援の充実を図る

現代の保護者が抱える子育てのプレッシャーは、「個人の責任」とされがちですが、本来は社会全体で支えるべきものです。このような状況は、保護者が「他者目線を気にし過ぎている」という現実によるものです。このことは、保育職の言動に対して過敏に反応する保護者が増えていることから見ても明らかです。「何か言われるのではないか」「モンスターペアレントだと思われないか」「虐待を疑われていないか」などという不安にさいなまれている保護者が多いのです。このことは、保護者支援の機能が見える化されていない現実を示しています。

さらに、弁護士やカウンセラーと提携し、問題が深刻化した場合の対応策を確保し、見える化しておくことも大切です。第三者が関わっている安心感は、保育職のみならず、保護者に対しても大きな安心感を提供するでしょう。(続く)

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◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

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