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保育の再発見

保育の再発見(30)もはやロマンで保育は語れない時代に

2025年5月2日17時01分 執筆者 : 千葉敦志
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保育士+
※ 写真はイメージです。(写真:FineGraphics)

わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。(旧約聖書・エレミヤ書29章11節)

保育職が負担にあえぐ保育の現場

以前、私がコンサルテーションで入った保育施設は、毎年退職を希望する保育職が多く、悲鳴を上げていました。その施設は、大手のコンサルテーション会社の支援を受けて働き方改革を2年越しでやっていましたが、それでもなお、このありさまだったのです。私がコンサルテーションに入った初日、園長に席を外してもらい、保育職一人一人と個別面談を行いました。すると、ほとんど全員が涙ぐみながら、つらい現状を語られたのです。

聞き取りをして明らかになったのは、仕事に関する要求が多過ぎることでした。記録の作成、園児に対する処遇、保護者に対する対応など、やるべきことが多く、さまざまなことで疲弊している様子が見て取れました。

大手のコンサルテーション会社が提案していたのは、ICT化や防犯カメラの設置など、ハード部分の改善がほとんどでした。それらは結局のところ、涙ながらに現状を語っていた保育職にとっては、メリットがないどころか、新たなプレッシャーになっていたのでした。パソコンに不慣れなベテランの保育職が、記録を作成するために四苦八苦しながらキーボードと格闘しなければならない、というようなことが起こっていたのです。

そして、異口同音に口から出てきたのが、「発達障害の子の手間がかかり過ぎる」ということでした。発達障害のメカニズムに関する十分な知識もなく、ただ担当を一人付けてしのいでいる状況は、保護者の不満を誘い、さらには、外部の支援施設からは従うことを強要されるという状況を作り出してしまっていたのでした。中には「この園はこの子に合わないので転園させてください」と言い出すような支援施設もあったそうです。保育職はそんな状況の中、プライドも何もかも打ち砕かれてしまっていたのです。

保育の専門性を取り戻そう、保育士は「士業」

認定こども園制度が始まってから、「保育教諭」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。これは、「保育士資格」と「幼稚園教諭免許」の両方を取得している人に対する呼称です。

幼稚園教諭とは、「満3歳から小学校に上がる前の幼児が通う幼稚園での生活全体を通して、子どもたちの心身の発達を促すための教育を行う」ことが仕事であり、それを行うには免許が必要です。

一方で保育士とは、「保育士の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」(児童福祉法第18条の4)と定められており、国家資格の一つです。

これは、保育士が弁護士や税理士、社会福祉士などといった「士業」であることを意味します。保育士の登録を受けないで保育士の名称を用いることはできません。これを「名称独占資格」と言います。「児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導」を「専門的知識及び技術をもって」行うことが、保育士の仕事なのです。

保護者支援を見える化するための「育児ロードマップ」

前回、保育施設の保護者支援の機能が見える化されていない現実があることをお伝えしました。これは裏を返せば、保護者支援の充実とは、「保護者支援の見える化」を土台とするものでなければならないということです。

ほとんどの保護者にとって、「あなたのお子さんにはこのような問題があります」と言われれば、それは青天の霹靂(へきれき)です。落ち込んだり(落胆)、諦めたり(諦観)、怒ったり(否認)、受け入れようと考えたり(受容)、保護者はさまざまな反応を示します。

これに対応するために「育児ロードマップ」を作成することを、私は提案します。例えば、健診の時期や種類、異常が見つかった場合の対応方法など、保護者支援を継続的に展開していくためのロードマップを準備するのです。入園時にしっかりとこのロードマップを示した上で、保護者一人一人の状況を見ながら、その都度しっかりと説明していくことで、信頼感を醸成することができるはずです。

保育施設が「保育士事務所」となる未来

圧倒的な少子高齢化社会が始まっている中で、今後さらに少子化は加速していきます。「たとえ保育施設の園児が一人になったとしても、その最後の一人まで給付費を給付する仕組みを作りました」と鳴り物入りで構築された現行の子ども・子育て支援制度の真価が問われ始めています。しかし、今まで通りの施設経営を続けるだけでは、もはや先はありません。最後の一人まで給付費をもらったところで、園児一人に対して数人の職員を確保し続けることなど、机上の空論だからです。

先日、ある保育施設の研修で、「少子化が15年前倒しで来ているというニュースが話題になっていましたが、15年前倒しということは、これから想定されたであろう勉強を15年分いっぺんにやらなければならないということです」と言いました。私が保育施設にコンサルテーションに入ると、もはや過去のものである十数年前の常識にしがみついていることが多くあることに気付かされます。そう考えると、現代との錯誤は、少なくとも30年分くらいのものになっているのです。現在は既に、「ここに子育て支援が必要な世帯がいる」ということを見える化し、「必要な支援をするにはどうすればよいか」と、実践する役回りを誰が担うかまで検討されているのです。

そこで例えば、保育施設が「保育士事務所」のような形になることを想像してみたらどうでしょうか。保育士が定期的に家庭訪問を行い、子育て資源の活用方法を教えたり、直接保育をしたり、あるいは育休取得などの交渉支援をしたりするのです。こうした未来は、もはや目の前にまで迫っているのです。「子育てケアマネージャー」という資格の創設が取り沙汰されているのはこのためです。

残念ながら、保育施設が保育を担う時代はもうすぐ終わりが来るでしょう。大都市地域でもない限り、保育施設が生き残る道は見いだせなくなっています。保育施設が続々と閉鎖する地域では、今後は職場内保育や地域の子育て世帯が連携して行う共同保育などが主流にならざるを得ないでしょう。ここに至って、私たちは子どもたちに何を残すことができるのかを、真剣に考えなければならない時代に来ているのです。(続く)

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◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

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