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不条理なる死を不可知の光で中和せよ

義はゴールではない ローマ書5章考察(その2)

2024年2月22日17時39分 コラムニスト : 藤崎裕之
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関連タグ:ローマの信徒への手紙藤崎裕之
不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(64)+

不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(64)

※ 前回「義はゴールではない ローマ書5章考察(その1)」から続く。

パウロはグレイトな人間を描いていない

「イエス・キリストによる神との平和」が、われわれに希望を与えるとパウロは言う。神との平和とは、何ともつかみようのない言葉ではある。私が思うに、真のグレイトな人間というのは、神との平和よりも、神に打ち勝つことを目指すのではないか。そういうことを書きながら、何となくニーチェを思い出したりもする。ニーチェは牧師の家庭に生まれたが、キリスト教に失望し、いわゆるアンチキリストの人生を歩んだ人物であった。

彼がグレイトを目指していたかどうかは不明ではあるが、キリストへの信仰抜きで、正確に言えば、キリスト教会抜きで人生を構築しようと奮闘したのは間違いなかろう。それはとても息苦しい生き方であったとは思うのではあるが。無論、ニーチェが生きた時代の欧州の人たちが「ウィズ・キリスト」であったかどうかは怪しいと思う。それでも、表面的には誰もがキリスト教徒で生きていたというのは事実であろう。信仰がなくても、信仰者を装って生きる方が楽な時代、それが19世紀の欧州の現実であったのであろう。

とにかくニーチェは神を超えようとする「不遜」を大胆に提案した人物なのだ。それくらいの迫力がなければ、グレイトではない。神に劣らないとか、神に並ぶとか、そういう次元ではないのだ。だからしばしば、世の英雄たちは神と争うものとして描かれてきたのだ。

一歩譲って、神から試練を与えられ、一時はその試練に敗れ去るものの、そこから大挽回して成功を収めるというのはアリだ。逆境をくぐり抜けるという点で、少しだけ神を超える瞬間があるかもしれない。それでこそ、真にグレイトな人間といえよう。

しかし、パウロの描く人間というのは、イエス・キリストよって神との平和を得るのであり、このイエス・キリストのおかげで「今の恵み」に信仰によって導き入れられるという、まことに受動的な存在なのである。つまり、何か弱っちいのだ。全くグレイトじゃない。むしろ、何から何まで「キリストのおかげで」と言わなきゃいけない。それはそれでなかなか難しいとは思うが。

名を残す

果たしてローマの信徒たちは、このパウロの言葉をどのように受け止めたのであろうか。パウロの手紙がローマの信徒たちの元に届いたのは、紀元45~50年ごろといわれている。カエサル、アウグストゥスの時代を経て、ローマの帝政も半世紀が過ぎている。ローマは強い国になった。もちろん、カエサル以前から偉大な国家として地中海世界を凌駕(りょうが)していたし、北はブリテン島(今の英国)の一部まで支配するようになっていた。

エジプトを含む北アフリカもローマの領土だ。当然のことながら、そこに至るまでローマには数々の英雄が生まれた。グレイトと呼ばれるに値する人々である。それでも、ローマの人々は知っていたのだ。その英雄の最たる存在であったカエサルが暗殺されたことを。アウグストゥスも3度暗殺の企てがあったといわれる。その他にも、かなり大勢のローマ皇帝が暗殺されたのは有名な話だ。つまり、彼らの存在を望まない人々がいたということである。

皇帝の名に勝る名

英雄の名は忘れられない。しかし、どのような名声も結局はローマではある人物の名に勝ることはなかったのだ。彼はローマ人ではなかったが、ローマが支配するユダヤで生まれた。都エルサレムで十字架によって処刑された。これだけなら誰のことか特定できないはずであるが、大抵の人はその意味するところを知っている。イエス・キリストその人である。

キリスト教徒でなければ、イエスの「実績」というものはほとんど知らない。教えを説いた、ということに関していえば、ローマにはギリシャ人から受け継いだ哲学があったし、奇跡に関していえば、カエサルが成し遂げた「野蛮人」からローマを救う偉業には及ばない。イエスが100人を助けたとしたら、カエサルは100万人の命を守ったといってもよい。ローマ市民は働かず、パンとサーカスを与えられた。イエスならせいぜい5千人への給食くらいである。

まあ、こうした比較はどうでもよいが、とにかくイエス・キリストはその程度の「実績」だったが、カエサルやアウグストゥスを遥かに超えたのである。ローマ人にとってイエス・キリストは、ついに4世紀には「神」そのものとなったのだ。それがキリスト教のローマ国教化ということでもある。

あり得そうなシナリオとして

で、その帝国ローマであるが、もちろん都はイタリア半島にあるあの都市ローマである。その都市ローマに、いつ、誰が、キリスト教を伝えたのかというのはいまだにはっきりしない。パウロでもない。確かにパウロはローマの信徒を気遣って手紙を書いたくらいであるから、その影響は大きかったのであろうが、それは一つの結果である。

ペトロはローマ教会の初代主教であったから、パウロよりも格式としては上ということになるが、だからといって、ペトロが最初の伝道者ということでもなさそうである。とにかくローマにはキリスト教がかなり早くから伝わっていたようである。

私が直感的に考えるには、どうも信仰の伝達者はローマ兵ではなかったかと。しかも、士官クラスと思うのである。福音書には百人隊長について、ああだこうだ書かれているわけだが、どうも悪意は感じられない。百人隊長クラスは貴族出身者が多かったらしい。故にローマの場合は知識階級でもある。

だからどうしたと思われるだろうが、一つには彼らはギリシャ語ができた可能性が高い。旧約聖書には当時からギリシャ語訳があったので、その気になればいくらでも読むことができた。初期のキリスト教会にも断片的ではあるが、イエスの行動記録や教えの記録、また簡単な信仰告白のようなものもあったと想定すべきである。ユダヤに派遣されていたローマの士官たちは、直接的にも間接的にもイエス・キリストについて知る機会はあったし、異邦人にも門戸を開いていた初代教会では、入信するローマ人もいたかもしれない。それが少人数であったとしても、ローマに帰還したときに家族にその教えを伝達することもできたのである。

ここまで書いたことは想像の産物なので実証はされないのであるが、私はあり得そうなシナリオだと思っている。ローマ人は文化的にはオープンマインドであったので、主流派ユダヤ人によるキリスト教に対する拒絶に比べれば、いとも簡単に家族や知人の間に広まったと考え得るのだ。カエサルという軍神とは全く違うタイプではあるが、イエスという人物もまた偉大な方であるという認識が、少しずつローマ市民の中に浸透していったことは間違いのない事実なのだ。その少しずつという部分が、われわれが想像している以上に速かったのではないかと私は考えているのだ。(続く)

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◇

藤崎裕之

藤崎裕之

(ふじさき・ひろゆき)

1962年高知市生まれ。明治から続くクリスチャン家庭に育つ。88年同志社大学大学院神学研究科卒業。旧約聖書神学専攻。同年、日本基督教団の教師となる。現在、日本基督教団隠退教師、函館ハリストス正教会信徒。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ローマの信徒への手紙藤崎裕之
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