Skip to main content
2026年1月7日19時38分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
エイブラハム・リンカーンの生涯

奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(6)小さな命を守る

2023年11月15日07時50分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:エイブラハム・リンカーン
奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して+
エイブラハム・リンカーン(1863年撮影)

最初の財産となった『ワシントン伝』を手にしたエイブは、畑仕事の最中も、薪割りをしているときも、いつもこれを読んでいた。

「アメリカに、こんな偉い人がいたんだなあ」。彼は、何度もつぶやくのだった。

そんなある初夏の夕暮れだった。エイブは畑仕事に疲れた肩にくわをかついで家路をたどっていた。すると、トウモロコシ畑の片隅で、男の子たちが数人、ワイワイ言いながら騒いでいる。

何をしているのだろうとのぞき込むと、15、6歳くらいの少年たちが小さなハリネズミをいじめて遊んでいた。彼らは木の枝で突いたり、蹴ったり、踏んづけたりして叫んだ。「ほら、駆けろ!駆けるんだ!」ハリネズミはもうかなり弱っており、ヨタヨタと少し動くと、身を守るように丸くなってしまった。

「怠け者め!どうだ!走ってみろ!」体の大きな子が、棒で力いっぱい打ちすえた。するとハリネズミは、おびえたようにチョロチョロと走ったが、すぐに転がってしまった。

「死んだふりをしているぞ!」その時、顔にあばたのある子が憎々しそうに顔を歪めると、燃えさしを持っていた仲間の手からそれを奪い取り、ハリネズミの背中に押しつけた。すると、ハリネズミは飛び上がり、走り出した。しかし、すぐに動かなくなってしまった。これを見ていた別の仲間が、自分にもやらせろと言った。

これを見ているうちに、エイブの心の中から激しい怒りが込み上げてきた。こうした激しい感情を燃やすのは生まれて初めてだった。

「もうやめろ!かわいそうに」。彼は少年たちをかき分けて中に入った。「かわいそうなものか。これはおもちゃなんだぞ。こんなハリネズミなんか死んだっていいんだ」。一人が唇を歪めて言った。

「おい!よく聞け」。エイブはその子の腕をつかむと、じっとその顔を見つめて言った。「生きものは神様がお造りになったものだぞ。人間が遊び半分に殺していいわけがない」

それから、また燃えさしでハリネズミの背中を突こうとした子に飛びかかると、その手から燃えさしをもぎとって遠くに投げた。少年たちは、一度にエイブに踊りかかってきて、そのまま激しい乱闘になった。

エイブは一人の頬を殴りつけ、別の一人を投げ飛ばした。「さあ、いくらでもかかってこい!」彼は次々に飛びかかってくる少年を投げながら叫んだ。しかし、彼はどんな場合でも相手にけがをさせることはすまいと心に誓っていた。彼らは起き上がると、逃げ去っていった。

「何をしているの、エイブ。弱い者をいじめてはいけませんよ」。気が付くと、すぐそばに姉のサラが立っていた。「違うよ、姉さん。それはあいつらに言ってやらなきゃいけないんだ」。そう言った瞬間、彼の目から涙があふれ出してきた。「あいつらは、このかわいそうな生きものにひどいことをしたんだもの」

「まあ、かわいそうに」。サラは、丸くなって動かないハリネズミを見て言った。そして2人は、ハリネズミを帽子の中にそっと入れて家に持ち帰った。それから母親の薬箱からやけどによく効く薬をもらって背中に塗ってやったり、水にひたしたタオルの上に置いてやったりと世話をした。

ハリネズミは、一時は身動きしたり、手足を伸ばしたりしたが、やがて間もなく死んでしまった。サラとエイブは、畑の片隅にその亡きがらを埋めてやった。

その時だった。エイブの体内から今まで知らなかった激情が湧き上がってきたのは。それは、身を守るすべも知らない弱いものを虐げる人間に対する憤りと、どんなことがあろうと身をていしてかわいそうな生きものを守り抜こうという決意だった。

その翌日。エイブが畑仕事を終えて帰ろうとすると、家が見えるあたりの道端に、あのあばた面の少年と2人の仲間が立っているのが見えた。またけんかを仕掛けてくるのかと身構えたエイブに、彼らはつかつかと近寄ってきてこう言ったのである。

「弱い生きものをいじめることがどんなに卑劣で悪いことか自分たちはよく分かった。昨日のことはどうか赦(ゆる)してくれたまえ」

「分かってくれればいいんだよ」。エイブは、がっしりした手を差し出して彼らと握手をしたのだった。

*

<あとがき>

ある人物の人柄を評価する場合、私たちはとかく、その人が生きものに対して優しい心を持っているか――ということを基準として考えてしまいます。

というのは、人間に対して親切であり、弱者に寄り添うことのできる人というのは、必ず人間以外の生きもの(動物や小鳥など)に対しても配慮できる寛容な心を持っているからです。

エイブ・リンカーンは成人してから弁護士として弱い立場の人に味方し、ほとんど料金を取らずに弁護してあげたといわれています。そして、大統領になったとき、白人のために虐待されている黒人奴隷たちを解放するという偉業を成し遂げたのですが、それというのも、少年の頃から、弱者への虐待を絶対に許さない正義感を強く持っていたからでありましょう。

ここに紹介した小さなハリネズミの命を助けようとした逸話がそれを物語っています。彼の燃えるような人道の火は、いじめっ子たちの心を打ち、改心させるだけの力があったのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:エイブラハム・リンカーン
  • ツイート

関連記事

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(5)ぬれた『ワシントン伝』

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(4)神に感謝、人に親切

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(3)新しい母

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(2)神はあわれみ深い方

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • いのちのことば社、元職員の不適切な会計処理巡る質問・意見への回答を公表

  • 米のベネズエラ攻撃・大統領拘束に対する現地の福音派キリスト者の反応

  • ワールドミッションレポート(1月6日):イラク 今も生きて働く神―絶望の地下牢を征服する福音の光⑤

  • 韓国の国民的俳優、アン・ソンギ氏死去 カトリック信者、教皇司式のミサで聖書朗読も

  • ワールドミッションレポート(1月5日):イラク 今も生きて働く神―絶望の地下牢を征服する福音の光④

  • 聖書のイエス(25)「なぜ泣いているのですか」 さとうまさこ

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(260)聖書と考える「2026年・令和8年・午年」

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(36)あなたを赦します

  • スイスのスキーリゾートで火災、新年祝う若者ら約40人死亡 WCC総幹事が哀悼の書簡

  • いのちのことば社元職員が不適切な会計処理、数千万円規模か 社長は引責辞任へ

  • 米のベネズエラ攻撃・大統領拘束に対する現地の福音派キリスト者の反応

  • いのちのことば社、元職員の不適切な会計処理巡る質問・意見への回答を公表

  • ノートルダム大聖堂のステンドグラス変更に33万人以上が反対 マクロン大統領の肝いり

  • 韓国の国民的俳優、アン・ソンギ氏死去 カトリック信者、教皇司式のミサで聖書朗読も

  • 東京女子大学、次期学長に東大副学長の太田邦史氏

  • 【クリスマスメッセージ】この世に来られた救い主―イエス・キリスト 渡部信

  • ワールドミッションレポート(1月3日):イラク 今も生きて働く神―絶望の地下牢を征服する福音の光③

  • 京大などのチームがキリスト教AIの開発開始 「プロテスタント教理問答ボット」を発表

  • イーロン・マスク氏、最も尊敬するのは「創造主」 宇宙を創造した神の存在を肯定

  • いのちのことば社元職員が不適切な会計処理、数千万円規模か 社長は引責辞任へ

  • 米のベネズエラ攻撃・大統領拘束に対する現地の福音派キリスト者の反応

  • いのちのことば社、元職員の不適切な会計処理巡る質問・意見への回答を公表

  • ノートルダム大聖堂のステンドグラス変更に33万人以上が反対 マクロン大統領の肝いり

  • 【クリスマスメッセージ】この世に来られた救い主―イエス・キリスト 渡部信

  • 戦争と不安の時代、一年の初めに神の名を心に留める意味 山崎純二

  • スイスのスキーリゾートで火災、新年祝う若者ら約40人死亡 WCC総幹事が哀悼の書簡

  • ワールドミッションレポート(1月3日):イラク 今も生きて働く神―絶望の地下牢を征服する福音の光③

  • 東京女子大学、次期学長に東大副学長の太田邦史氏

  • 2025年のトップ10ニュース(国内編)

編集部のおすすめ

  • 給食で子どもたちに笑顔と教育の機会を 最貧国マラウイを支援する「せいぼじゃぱん」

  • 日本聖書協会が恒例のクリスマス礼拝、聖書普及事業150年を感謝しコンサートも

  • 「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」

  • 15人の演者でマルコ福音書を再現、観客をイエスの物語に引き込む「マルコドラマ」

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2026 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.