Skip to main content
2026年6月8日11時44分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
エイブラハム・リンカーンの生涯

奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(6)小さな命を守る

2023年11月15日07時50分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:エイブラハム・リンカーン
奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して+
エイブラハム・リンカーン(1863年撮影)

最初の財産となった『ワシントン伝』を手にしたエイブは、畑仕事の最中も、薪割りをしているときも、いつもこれを読んでいた。

「アメリカに、こんな偉い人がいたんだなあ」。彼は、何度もつぶやくのだった。

そんなある初夏の夕暮れだった。エイブは畑仕事に疲れた肩にくわをかついで家路をたどっていた。すると、トウモロコシ畑の片隅で、男の子たちが数人、ワイワイ言いながら騒いでいる。

何をしているのだろうとのぞき込むと、15、6歳くらいの少年たちが小さなハリネズミをいじめて遊んでいた。彼らは木の枝で突いたり、蹴ったり、踏んづけたりして叫んだ。「ほら、駆けろ!駆けるんだ!」ハリネズミはもうかなり弱っており、ヨタヨタと少し動くと、身を守るように丸くなってしまった。

「怠け者め!どうだ!走ってみろ!」体の大きな子が、棒で力いっぱい打ちすえた。するとハリネズミは、おびえたようにチョロチョロと走ったが、すぐに転がってしまった。

「死んだふりをしているぞ!」その時、顔にあばたのある子が憎々しそうに顔を歪めると、燃えさしを持っていた仲間の手からそれを奪い取り、ハリネズミの背中に押しつけた。すると、ハリネズミは飛び上がり、走り出した。しかし、すぐに動かなくなってしまった。これを見ていた別の仲間が、自分にもやらせろと言った。

これを見ているうちに、エイブの心の中から激しい怒りが込み上げてきた。こうした激しい感情を燃やすのは生まれて初めてだった。

「もうやめろ!かわいそうに」。彼は少年たちをかき分けて中に入った。「かわいそうなものか。これはおもちゃなんだぞ。こんなハリネズミなんか死んだっていいんだ」。一人が唇を歪めて言った。

「おい!よく聞け」。エイブはその子の腕をつかむと、じっとその顔を見つめて言った。「生きものは神様がお造りになったものだぞ。人間が遊び半分に殺していいわけがない」

それから、また燃えさしでハリネズミの背中を突こうとした子に飛びかかると、その手から燃えさしをもぎとって遠くに投げた。少年たちは、一度にエイブに踊りかかってきて、そのまま激しい乱闘になった。

エイブは一人の頬を殴りつけ、別の一人を投げ飛ばした。「さあ、いくらでもかかってこい!」彼は次々に飛びかかってくる少年を投げながら叫んだ。しかし、彼はどんな場合でも相手にけがをさせることはすまいと心に誓っていた。彼らは起き上がると、逃げ去っていった。

「何をしているの、エイブ。弱い者をいじめてはいけませんよ」。気が付くと、すぐそばに姉のサラが立っていた。「違うよ、姉さん。それはあいつらに言ってやらなきゃいけないんだ」。そう言った瞬間、彼の目から涙があふれ出してきた。「あいつらは、このかわいそうな生きものにひどいことをしたんだもの」

「まあ、かわいそうに」。サラは、丸くなって動かないハリネズミを見て言った。そして2人は、ハリネズミを帽子の中にそっと入れて家に持ち帰った。それから母親の薬箱からやけどによく効く薬をもらって背中に塗ってやったり、水にひたしたタオルの上に置いてやったりと世話をした。

ハリネズミは、一時は身動きしたり、手足を伸ばしたりしたが、やがて間もなく死んでしまった。サラとエイブは、畑の片隅にその亡きがらを埋めてやった。

その時だった。エイブの体内から今まで知らなかった激情が湧き上がってきたのは。それは、身を守るすべも知らない弱いものを虐げる人間に対する憤りと、どんなことがあろうと身をていしてかわいそうな生きものを守り抜こうという決意だった。

その翌日。エイブが畑仕事を終えて帰ろうとすると、家が見えるあたりの道端に、あのあばた面の少年と2人の仲間が立っているのが見えた。またけんかを仕掛けてくるのかと身構えたエイブに、彼らはつかつかと近寄ってきてこう言ったのである。

「弱い生きものをいじめることがどんなに卑劣で悪いことか自分たちはよく分かった。昨日のことはどうか赦(ゆる)してくれたまえ」

「分かってくれればいいんだよ」。エイブは、がっしりした手を差し出して彼らと握手をしたのだった。

*

<あとがき>

ある人物の人柄を評価する場合、私たちはとかく、その人が生きものに対して優しい心を持っているか――ということを基準として考えてしまいます。

というのは、人間に対して親切であり、弱者に寄り添うことのできる人というのは、必ず人間以外の生きもの(動物や小鳥など)に対しても配慮できる寛容な心を持っているからです。

エイブ・リンカーンは成人してから弁護士として弱い立場の人に味方し、ほとんど料金を取らずに弁護してあげたといわれています。そして、大統領になったとき、白人のために虐待されている黒人奴隷たちを解放するという偉業を成し遂げたのですが、それというのも、少年の頃から、弱者への虐待を絶対に許さない正義感を強く持っていたからでありましょう。

ここに紹介した小さなハリネズミの命を助けようとした逸話がそれを物語っています。彼の燃えるような人道の火は、いじめっ子たちの心を打ち、改心させるだけの力があったのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:エイブラハム・リンカーン
  • ツイート

関連記事

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(5)ぬれた『ワシントン伝』

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(4)神に感謝、人に親切

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(3)新しい母

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(2)神はあわれみ深い方

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「聴く隣人のいるところ」 キリスト教高校の1年間が伝える「自由とは何か」問う大切さ

  • ワールドミッションレポート(6月7日):ブータン ヒマラヤの仏教王国が真の「幸せの国」となるように祈ろう

  • 「ありがとう」か「あたりまえ」か 佐々木満男

  • 米メガチャーチがビーチで洗礼式、過去最多の2552人が受洗

  • 聖書全巻の翻訳、800言語で完成 飛躍的に加速する聖書翻訳

  • 日本福音同盟、新理事長に北野献慈氏

  • 神学の限界と突破口(4)第1章 主な論争と解決─「贖罪論」の論争 三谷和司

  • 着工140年以上のサグラダ・ファミリア、主塔「イエスの塔」完成 NHKが特番

  • 戦後のキリスト教ブームの中で生まれた口語訳聖書、今にも生きるキリシタン時代の聖書訳

  • 毒麦はそのままに 穂森幸一

  • 米メガチャーチがビーチで洗礼式、過去最多の2552人が受洗

  • 「祈りなくしてリバイバルは起こらない」 日本リバイバル同盟が創立30周年

  • 着工140年以上のサグラダ・ファミリア、主塔「イエスの塔」完成 NHKが特番

  • 戦後のキリスト教ブームの中で生まれた口語訳聖書、今にも生きるキリシタン時代の聖書訳

  • 「聴く隣人のいるところ」 キリスト教高校の1年間が伝える「自由とは何か」問う大切さ

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(249)日本人に天国の希望を届けたい 広田信也

  • 人を慰められる人に 菅野直基

  • 芥川賞作家の鈴木結生氏らが登壇、青山学院大学で口語訳聖書刊行70周年記念講演会

  • 同志社国際高校の辺野古移設工事巡る学習、文科省が「教育基本法に違反」と認定

  • 【書評】ディートリッヒ・ボンヘッファー著『行為と存在 組織神学における超越論哲学と存在論』

  • 米メガチャーチがビーチで洗礼式、過去最多の2552人が受洗

  • 「聴く隣人のいるところ」 キリスト教高校の1年間が伝える「自由とは何か」問う大切さ

  • 着工140年以上のサグラダ・ファミリア、主塔「イエスの塔」完成 NHKが特番

  • 戦後のキリスト教ブームの中で生まれた口語訳聖書、今にも生きるキリシタン時代の聖書訳

  • 「祈りなくしてリバイバルは起こらない」 日本リバイバル同盟が創立30周年

  • 人を慰められる人に 菅野直基

  • 芥川賞作家の鈴木結生氏らが登壇、青山学院大学で口語訳聖書刊行70周年記念講演会

  • 神学の限界と突破口(4)第1章 主な論争と解決─「贖罪論」の論争 三谷和司

  • 聖書全巻の翻訳、800言語で完成 飛躍的に加速する聖書翻訳

  • 毒麦はそのままに 穂森幸一

編集部のおすすめ

  • 四国の教会が教団教派超え一致 「愛と希望の祭典・四国」閉幕、延べ3千人以上が参加

  • 「あなたの人生は、必ずよみがえる」 第63回首都圏イースターのつどい

  • 「絶望の隣は希望」 在日ウクライナ正教会、ロシアの軍事侵攻4年で祈りの集会

  • 「罪のない最も弱い存在を殺す行為」 中絶反対を訴え行進、マーチ・フォー・ライフ

  • AIに心を持たせることは可能なのか クリスチャンの東京科学大学名誉教授が解説

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • Threads
  • RSS
Copyright © 2002-2026 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.