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エイブラハム・リンカーンの生涯

奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(2)神はあわれみ深い方

2023年9月20日14時53分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:エイブラハム・リンカーン
奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して+
エイブラハム・リンカーン(1863年撮影)

翌日から、エイブは父親を手伝って小屋を作り始めた。手頃な木を切り倒すと、枝葉を払い落とし、柱を建てた。それから、木の皮や枝で周りを囲い、屋根を作った。

窓もなく、入り口にはドアもなく、床板もない土間でたき火をしての生活だったが、何とか新しい丸木小屋の完成である。

「何て素敵なおうちでしょう」。ナンシーはうれしそうに言った。姉のサラは、母親と一緒に枯れ葉でベッド作りをした。それぞれの布団もこしらえた。

「これで温かく寝られるね」。エイブはうれしくてたまらなかった。彼は毎日父親と一緒に畑を耕し、トウモロコシやジャガイモ、大麦、小麦の種をまいた。その間に父トーマスは猟銃を持って森に行き、カモシカやキジ、シチメンチョウなどを撃ち落として、それをナンシーが料理するのだった。

そのうちに、遠くの農家から乳牛を買うことができ、一家の生活は少しずつ豊かになっていった。

この森に住んで2年後。エイブも9歳になった。母ナンシーは子どもたちの学校のことが心配になり、トーマスに言った。「あの子たちもそろそろ学校に行かせてやりたいですねえ」

「なあに、農家の子どもに学問はいらん。木を切り倒したり、種をまいたりすることを知っていればそれでいいんだ」。「いいえ、これからは子どもたちも学問が必要ですわ。私が家で教えましょう」

こうしてナンシーは、2人の子どもに読み書きを教え始めた。彼女はまず、子どもたちが自分の名前をきちんと書けるように文字を教えることから始めた。

「ぼくの名前はエイブじゃないの?」「あなたの正式な名前はエイブラハム・リンカーンというんですよ。おじい様は立派な開拓者で、その名前をもらったの。でもね、聖書にはアブラハムは信仰の父と書かれています。素晴らしい名前でしょう?」

そしてナンシーは、彼にエイブラハム・リンカーンという名前をつづらせた。

それから姉のサラにもその名前のつづりを教えた。「サラというのはね、アブラハムの妻の名前なんですよ。あなたもサラのようにいつも神様を信じる優しい人になりましょうね」

2人の子どもは、母に教えられて、少しずつ読み書きができるようになった。

そんなある日。ナンシーは自分がいつも肌身離さず持っている小さな聖書を2人に見せて言った。「あなたたちは、もう読んだり書いたりできるようになったから、これからは聖書の言葉を教えてあげましょうね」

そして彼女はその小さな聖書を開くと、ゆっくりと読んだ。

空の鳥を見なさい。種蒔(ま)きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。それでも、あなたがたの天の父は養っていてくださいます。(マタイ6:26)

「神様のお守りがなかったら、お父さんもお母さんもあなたがたもこの土地に来ることができなかったでしょう。神様は、私たちが考えることもできないほどあわれみ深い方なんですよ。だから、どんな時も私たちを守ってくださるんです。それを覚えて、私たちも弱い人や苦しんでいる人を見たら助けてあげなくてはいけませんよ」

それから1カ月後。ナンシーは突然マラリヤ熱にかかり、床に就いてしまった。サラはトウモロコシを焼いて食事の支度をし、エイブは父が割る薪をせっせと倉に運んでいた。

「エイブ、ちょっとおいで」。その時、父が彼を呼んだ。ナンシーは貧しい寝床の中で苦しそうにあえいでいたが、次第に弱ってきた。

「エイブだよ、分かるかい?」父は彼を母の胸の中に抱かせた。「・・・エイブや・・・もうお別れ」。母は彼を抱きしめて言った。「よく聞いて。人間にとって尊いのはお金持ちになることでも、高い身分に就くことでもありません。心がけです。正しい心がけを持つこと――それが本当に尊い人間なのです」

息がだんたん苦しそうになってきた。

「エイブ。貧しいので学校に行かせてあげられなかったけど、あなたに聖書を読むことを教えました。いいですか。大きくなってからも、毎日聖書を読むんですよ。お母さんは・・・天国から見守っています」

そして、父トーマスに「エイブとサラをお願いします」と言い残して、ナンシーの気高い魂は天国に飛び去っていった。

*

<あとがき>

リンカーンの生みの親ナンシーは、2人の子どもたちがまだ幼い頃から、折に触れて聖書の言葉を読み聞かせていたといいます。幼いエイブが母から聞いた初めてのメッセージは、「神様は想像もできないほどあわれみ深い方」だということでした。

この母は、エイブが9歳の時に亡くなりますが、エイブに「毎日聖書を読むこと」を約束させ、天国に旅立ちました。エイブは母との約束を守り、毎日聖書を読み、家族との祈りを欠かしませんでした。それがいつしか彼の魂を養い育て、やがてはあの偉業を成し遂げる力となったのです。

思えば、正規の教育を修めたこともない貧しい家の主婦が、日常生活の中で聖書の言葉を口にしていたことは驚くべきことです。しかし、英国から新大陸に渡ってきた開拓者たちが、信仰だけを頼りに生活していたことを思うとき、米国にはこうしたキリスト教がしっかりと土着していることを思わずにいられません。

日本でも、子どもたちがまず聖書によって養われるようになったら、どんなに素晴らしい社会が実現するでしょう。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:エイブラハム・リンカーン
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