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エイブラハム・リンカーンの生涯

奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(3)新しい母

2023年10月4日20時32分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:エイブラハム・リンカーン
奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して+
エイブラハム・リンカーン(1863年撮影)

母ナンシーの死から1年後の1819年。エイブは10歳、サラは12歳になった。それは雪の降る寒い日だった。突然トーマスは子どもたちに言った。「おまえたち、母さんがいなくて寂しいだろう。母さんが欲しくないか?」

「それは・・・」サラが言いかけると、エイブは続けて言った。「欲しいよ、父さん」。「よし。それではこれから父さんが新しい母さんを迎えに行くから待っておいで」。そう言って出かけて行った。2人の子どもたちは、半分期待と、半分不安な気持ちを抱えて入り口の前に立ち、父親が帰るのを待っていた。

やがてほろ馬車がやって来て、中から一人の女性が降りた。「ほら、新しい母さんだよ」。トーマスは、手を貸してその女性を助け降ろしてから言った。

「まあ、かわいい」。その女性は、2人を抱き上げて頬ずりして言った。「私があなたがたのお母さんよ。サリーと言います。よろしくね」。2人はすぐに新しい母が大好きになった。彼女は優しく、心の温かい人だった。

やがて父と母はほろ馬車の中からいろいろな家財道具を運び出した。たんす、戸だな、鍋、釜、たくさんの皿やカップ、それから布団もあった。小さな丸木小屋はたちまち住み心地のいい家に変わった。

今まで熊の皮を下げていた入り口には、父とエイブが力を合わせて作ったドアが取り付けられた。床には板も張られ、柱は雑巾がけされピカピカに輝いた。

少し生活が落ち着いた頃、2度目の母サリーは子どもたちに勉強を教え始めた。

「あなたがたの前のお母さんは、いつも聖書を読むようにと言っていたでしょう? 私はお母さんから、その願いを引き継いだの。だから、毎日一緒に聖書を読みましょうね。聖書を読んで育った人は、大きくなって立派な人間になれるんですよ」

それから、エイブに言った。「前のお母さんからもらった聖書を出してごらんなさい」。そこでエイブは、前の母の形見である小さな聖書を新しい母に渡した。サリーはにっこり微笑すると、両手で子どもたちを抱き寄せて読み始めた。

あわれみ深い者は幸いです。
その人たちはあわれみを受けるからです。
心のきよい者は幸いです。
その人たちは神を見るからです。
平和をつくる者は幸いです。
その人たちは神の子どもと呼ばれるからです。(マタイ5:7〜9)

こうして、新しい母とリンカーン家の子どもたちは毎日一緒に聖書を読んだ。エイブはこの時間が何より好きだった。(何だか2人のお母さんは、僕たちにとって一緒のお母さんみたいだな)エイブはしみじみ思うのだった。

そのうち、新しい母サリーの願いで、トーマスは何とかお金を工面して、子どもたちを学校に行かせることにした。ちょうどピジョン川のすぐ近くに住む人が、新しい学校を作ったので、エイブは家から6キロもある道を歩いて学校に通った。

勉強できるのがうれしくて、雨の日も雪の日も、休まずに通った。そして夢中で勉強したので、たちまちクラスで一番になったのだった。

「エイブ、今日はどんなことを教わったの?」彼が帰ってくると、必ずサリーはそう尋ねるのだった。エイブは学校であったことを母に話すのがとても楽しみだった。

春になると、畑仕事の手伝いが忙しくなるため、エイブは学校に行けなくなった。畑にするために、森の大きな木を切り倒すのが彼の仕事だったのである。

1年ごとに体が頑丈になってきたエイブは、薪割りが得意で、始めると夢中になった。彼ほど早く、たくさん割る人はいないと村中の評判になり、時々手伝いを頼まれることもあった。

エイブは働きながらも、寸暇を惜しんで一生懸命に勉強した。ノートやペンなどを買ってもらえなかったので、彼はいつもポケットに消し炭を持っていて、木の切り株に算数の計算を書いたりして勉強した。

また、彼は本を読むのが大好きで、本を持っている人がいると、どんな遠くでも借りに行ったのだった。

父のトーマスはエイブが自慢で、つい人々に息子の自慢をするのだった。

*

<あとがき>

生みの母ナンシーを失って悲しみにくれていたエイブですが、一家の所に新しい母が来ることになりました。この2度目の母サリーがいかに素晴らしい女性であったかは、多くの人々が敬意を込めて語っています。

不思議なことですが、この新しい母もエイブに毎日聖書を読むことを勧め、聖書に親しんだ人は将来立派な人間になることができると教えたのでした。

そして、彼女は言います。「私は前のお母さんから、その願いを引き継いだのですよ」と。こうして聖書は、エイブの血となり、肉となって人格形成がなされていったのでした。

弱い者の痛みが分かり、共感できる心、弱者が虐げられているのを見たとき、身を捨てて助けようとする勇気、そして、いかなる困難の中にあっても、神を信じ、その中で最大の努力をしてゆく心意気――そうした精神が養われることによって、リンカーンの前には、誰も経験したことのない名誉に輝く任務が用意されたのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:エイブラハム・リンカーン
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