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エイブラハム・リンカーンの生涯

奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して

2023年9月6日11時09分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:エイブラハム・リンカーン
奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して+
エイブラハム・リンカーン(1863年撮影)

1809年2月12日。アメリカ合衆国ケンタッキー州のロック・スプリングという村の丸木小屋に、一人の男の子が生まれた。

「おお、元気な子だ。良い子を産んでくれてありがとう」。この家の主人トーマス・リンカーンは、妻ナンシーの手を握ってうれしそうに言った。

「名前は何としようか?」「おじいさまのように立派な開拓者になれるように、エイブラハムはどうかしら?」「よし、そうしよう」

その傍らには、2歳になる長女サラがすやすやと眠っていた。

こうして、祖父の名前をもらった男の子は、それから病気一つせずにすくすくと育っていった。父トーマスは、わずかばかりの畑を耕したり、大工仕事をして働いたりしたが、なかなか暮らしは楽にならなかった。

この丸木小屋は人里離れた寂しい場所にあったが、それでも良いことは家のすぐそばにきれいな水が湧いて出る泉があることだった。トーマスが猟銃を持って森に鳥やけものを撃ちに行っている間に、母ナンシーは2人の子どもを連れて泉に水汲みに行き、2人を膝に抱いて美しい声で賛美歌を歌うのだった。

幼いエイブ(エイブラハムの愛称)は母の手に揺すられてそれを聴くうちに、歌の意味は分からなかったが、その清らかで美しいメロディーは魂の中に刻まれていったのだった。

エイブが2歳になった春。トーマスは家族を連れて15キロ離れたノッブ・クリークという場所に引っ越し、また丸木小屋を建てた。

少し大きくなったとき、エイブは大きなくわを肩にかついで父親と一緒に畑に出かけ、父が耕したあとにトウモロコシやカボチャの種をまいた。しかし、この土地は畑に向かない荒れ地で、作物は少しも育たなかった。

また、トーマスが買った土地を自分の所有する土地だと言って取り返しに来た人もいて、いざこざが起こった。そんな時、三男のトーマスが生まれたが、よちよち歩きをする頃、急病で死んでしまった。

そんなことから、すっかりこの土地が嫌になってしまった父親は、家族と共に二度目の引っ越しをする決心をした。

「また別の所に行くの?」7歳になったエイブは不安そうに言った。「ここは畑の土が悪いし、作物が育たない所だからね。ここにいたら生活できなくなってしまうんだよ」。父は答えた。

こうして、エイブラハム・リンカーンの生涯は、厳しい荒野への旅から幕開けとなったのであった。

一家は、わずかな家財道具を荷車に積み込み、寒風吹きすさぶ中出発した。目指すはインディアナ州のオハイオ川を北に5キロ行った開拓地であるが、山道を越え、深いやぶに入ると、木の枝を切り払いながら進んでいった。

夜になると、野原の中に荷車を止め、その下に枯れ草を敷いてベッドにし、毛布をかけた上に家族は身を寄せ合って眠った。

三日三晩旅を続けて、次の夕方だった。どこからか水音が聞こえてきた。

「あっ、川だ! 川が見えるよ」。エイブは飛び上がって叫んだ。「ああ、あれがオハイオ川だ。あの川を渡れば、われわれの土地に着くよ」。トーマスは息子の肩に手を置いて言った。

川のそばに舟付き場があったので、一家は渡し舟を借り、それに荷車も一緒に乗せて向こう岸に渡った。

そこには、見渡す限り荒野が広がっていた。道などなく、どこまでも深い森が続いている。トーマスがおので木の枝を切り払うと、エイブもそれを手伝って小さな手おので木の枝を切り、道をつけていった。

カエデやポプラ、それにブドウのつるなどが道をふさいでおり、地面にはクリやドングリが一面に落ちていた。こうして25キロほどの道を進むと、ようやく丘の上に出た。

「やっと着いたぞ」。トーマスは家族に言った。しかし、そこは見渡す限りの原野であり、人の住めるような所ではなかった。こんな所でどうやって生きていけるのだろうか。

その時、母ナンシーの口からいつも慣れ親しんでいる聖書の言葉が流れ出した。

主は私の羊飼い。
私は乏しいことがありません。
主は私を緑の牧場に伏させ
いこいのみぎわに伴われます。(詩篇23:1、2)

その時、家族はトーマスを中心として輪になって手を握り合い、神に祈りをささげたのであった。

*

<あとがき>

いよいよ「奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯」の連載が始まります。この偉人が生まれたのは、まだ米国が十分に開拓されていない時代で、彼はケンタッキー州のロック・スプリング村の丸木小屋にトーマスとナンシーの長男として生まれました。

母ナンシーは、彼の名前に強いこだわりを持っており、聖書の中の「信仰の父アブラハム」にあやかって、エイブラハムという名を付けました。これは大変意味があり、将来アメリカ合衆国の大統領となり、気の毒な奴隷たちを解放するという偉業を行う者にふさわしい名前です。

しかし、彼をよく知る人は、彼が生涯を通して悲しみの人であったと言っています。それは搾取され、虐待される者の苦しみや悲しみを受け止め、一生涯それに寄り添ったためでしょう。

彼の肖像画を見て「イエス様に似ている」と言った子どもがいたそうですが、リンカーンもまたキリストのしもべにふさわしく、暗殺されて非業の死を遂げたのでした。

次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:エイブラハム・リンカーン
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