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ジョン・バンヤンの生涯

天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(15)『天路歴程』

2023年7月26日15時45分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(1)鋳掛屋の子+
ジョン・バンヤン(1628〜88)の肖像画(英国立肖像画美術館所蔵)

1672年。チャールズ2世は、5人の外交委員の進言を受け入れ、自らがカトリック教会に改宗することを約束した上で「信教自由令」を発令した。バンヤンは、この発令が出たことで、その年の9月に釈放された。実に、12年間服役していたのだった。

出獄した彼は、背は縮み、長いこと日の目を見なかったために顔は青白く、足を引きずるようにしなければ歩けなかった。しかし、その顔は輝き、あたかもその目で天の都を眺めたかのように晴れやかだった。

12年ぶりにわが家に帰ったバンヤンは、家族に喜び迎えられた。彼らはしばらくの間堅く抱擁し合って離れなかった。

「お父さん痩せたねえ。でも、ひげが濃くなったから前より素敵だよ」。18歳になって、父親に代わって店をやっている長男ジョンが、彼の腕に触ってこう言うと、バンヤンは肩をすくめた。

「お父さんはな、前から男前なんだぞ。牢獄の中じゃそれはもう人気者だったのさ」。家族は大笑いした。盲目のメアリーは22歳になっており、すでに母親を助けて家事全部をこなし、修理済みの鍋や釜を注文主に届けることもしていた。

そして彼女は盲目であるにもかかわらず、家族が心地よく過ごせるように心を配り、居間のカーテンや布団をいつもきれいに整え、良い香りのする花を生け、掃除を怠らなかった。

さらに、彼女は亡き妻のマーサをしのぐほどの料理の達人で、いろいろな食材を使っておいしい料理を家族のために作った。

こうして、父親が帰ってきた晩は、彼を囲んでパーティーとなった。次女のエリザベスは姉のメアリーほどではなかったが、絶えず菓子作りの研究をしており、この晩も見事なアップル・パイを作って皆に振る舞った。

ジョゼフとセアラはもう13歳になっていたので、この晩に限り、甘いリンゴ酒を飲んでもいいことになった。

バンヤンが釈放されたというニュースは野火のように町に広まり、大勢の友人たちやバプテスト教会の人々が小さな鋳掛屋の店に押しかけてきた。

「バンヤンさん、おめでとう! あなたの上に祝福が長く留まりますように」。彼らはそう叫ぶのだった。

翌年1月21日。バンヤンは「ベッドフォード・バプテスト教会」の牧師に任ぜられ、5月9日、投獄されて以来久しく語ることのなかった福音を語った。すると前よりも多くの人々が各地からやって来て、喜んでそのメッセージを聞くのだった。

バンヤンは、依頼されれば教会で説教したが、彼自身としては野外の青空の下で語るほうが好きだった。そんな時、バプテスト教会の信徒である乾物屋のボブが、自分の家に広い納屋があるのでそこに来て話をしてほしいと申し出た。

そこでバンヤンは、いみじくも自分を導いてくれたジョン・ギフォード師と同じテーマ「罪人を訪ね求める神」と題して自分の体験談も交えて語ったところ、人々は涙を流して聞き入るのだった。

一方、著書の執筆のほうも忙しくなり、1673年から74年の間に『水による浸礼に関する判断の相違は信仰をともにする妨げにあらず』『不毛なイチジクの木』『平和的かつ真実なる原則』、1675年に『無知なる者たちのための教え』『闇の中にいる者たちのための光』などが出版された。

さて、それは翌年1673年3月4日のことだった。ウィリアム・フォスターをはじめとする13人の法律家が署名した逮捕状が発せられ、再びバンヤンは獄に送られることになった。

これは聖職者に国教会への従順を要求する「宣誓令」が議会で可決し、信仰の自由に対する反動が高まったためであった。今回は6カ月の禁固刑だった。バンヤンは、再び家族から引き離され、獄中の人となった。

しかし、この2回目の入獄は素晴らしい恵みを彼にもたらした。暗い土牢に入った瞬間、彼の目に天の都が映ったのである。そして、今までの自分の信仰の歩みが、一つの物語となるのを感じた。

目を凝らすと、一人の男が罪という大きな荷物を背負ったまま、「滅びの町」から逃げ出してくるのが見えた。「ああ、どうしたらいいのだろう!」と叫びながら。

バンヤンはペンを取り、物語を書き始めた。「クリスチャン」という名前のかつての自分の分身は、その後、伝道者の導きで「虚栄の市」「絶望の沼」「死の陰の谷」などを経巡りながら、ついに最後に壮麗な神の住居――天国へと入ることができたのである。

『天路歴程』と題するこの小説は1678年に出版され、英文学史上最も優れた作品として評価されたのだった。

*

<あとがき>

1672年9月。待ちに待った釈放の日を迎えたバンヤンは、12年にわたる獄中生活を終え、わが家へと帰ってきました。家族は大喜びで彼を迎え、再び元通り平穏な日々が戻ってきました。

バンヤンの釈放を知って友人や教会の人たちも祝いの言葉を述べるために駆けつけ、互いに喜びを分かち合ったのでした。

翌年1月。バンヤンは「ベッドフォード・バプテスト教会」の牧師に任ぜられ、久しぶりに聴衆の前で福音を語りました。彼はただ会堂で語るだけでなく、教会員の家の納屋を借りて、その前でも語りました。

バンヤンの言葉には重みが増し、人々は涙を流して聴き入るのでした。

そんな時、彼の人生はまたしても逆転します。1673年3月4日。彼に再び逮捕状が出、牢獄に送られたのです。国教会への従順を要求する「宣誓令」に反するとの理由からでした。

しかし、この二度目の投獄は、素晴らしい恵みをもたらしました。この獄中で、不朽の名作『天路歴程』を完成することができたからです。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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