Skip to main content
2025年10月14日21時24分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
ジョン・バンヤンの生涯

天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(15)『天路歴程』

2023年7月26日15時45分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(1)鋳掛屋の子+
ジョン・バンヤン(1628〜88)の肖像画(英国立肖像画美術館所蔵)

1672年。チャールズ2世は、5人の外交委員の進言を受け入れ、自らがカトリック教会に改宗することを約束した上で「信教自由令」を発令した。バンヤンは、この発令が出たことで、その年の9月に釈放された。実に、12年間服役していたのだった。

出獄した彼は、背は縮み、長いこと日の目を見なかったために顔は青白く、足を引きずるようにしなければ歩けなかった。しかし、その顔は輝き、あたかもその目で天の都を眺めたかのように晴れやかだった。

12年ぶりにわが家に帰ったバンヤンは、家族に喜び迎えられた。彼らはしばらくの間堅く抱擁し合って離れなかった。

「お父さん痩せたねえ。でも、ひげが濃くなったから前より素敵だよ」。18歳になって、父親に代わって店をやっている長男ジョンが、彼の腕に触ってこう言うと、バンヤンは肩をすくめた。

「お父さんはな、前から男前なんだぞ。牢獄の中じゃそれはもう人気者だったのさ」。家族は大笑いした。盲目のメアリーは22歳になっており、すでに母親を助けて家事全部をこなし、修理済みの鍋や釜を注文主に届けることもしていた。

そして彼女は盲目であるにもかかわらず、家族が心地よく過ごせるように心を配り、居間のカーテンや布団をいつもきれいに整え、良い香りのする花を生け、掃除を怠らなかった。

さらに、彼女は亡き妻のマーサをしのぐほどの料理の達人で、いろいろな食材を使っておいしい料理を家族のために作った。

こうして、父親が帰ってきた晩は、彼を囲んでパーティーとなった。次女のエリザベスは姉のメアリーほどではなかったが、絶えず菓子作りの研究をしており、この晩も見事なアップル・パイを作って皆に振る舞った。

ジョゼフとセアラはもう13歳になっていたので、この晩に限り、甘いリンゴ酒を飲んでもいいことになった。

バンヤンが釈放されたというニュースは野火のように町に広まり、大勢の友人たちやバプテスト教会の人々が小さな鋳掛屋の店に押しかけてきた。

「バンヤンさん、おめでとう! あなたの上に祝福が長く留まりますように」。彼らはそう叫ぶのだった。

翌年1月21日。バンヤンは「ベッドフォード・バプテスト教会」の牧師に任ぜられ、5月9日、投獄されて以来久しく語ることのなかった福音を語った。すると前よりも多くの人々が各地からやって来て、喜んでそのメッセージを聞くのだった。

バンヤンは、依頼されれば教会で説教したが、彼自身としては野外の青空の下で語るほうが好きだった。そんな時、バプテスト教会の信徒である乾物屋のボブが、自分の家に広い納屋があるのでそこに来て話をしてほしいと申し出た。

そこでバンヤンは、いみじくも自分を導いてくれたジョン・ギフォード師と同じテーマ「罪人を訪ね求める神」と題して自分の体験談も交えて語ったところ、人々は涙を流して聞き入るのだった。

一方、著書の執筆のほうも忙しくなり、1673年から74年の間に『水による浸礼に関する判断の相違は信仰をともにする妨げにあらず』『不毛なイチジクの木』『平和的かつ真実なる原則』、1675年に『無知なる者たちのための教え』『闇の中にいる者たちのための光』などが出版された。

さて、それは翌年1673年3月4日のことだった。ウィリアム・フォスターをはじめとする13人の法律家が署名した逮捕状が発せられ、再びバンヤンは獄に送られることになった。

これは聖職者に国教会への従順を要求する「宣誓令」が議会で可決し、信仰の自由に対する反動が高まったためであった。今回は6カ月の禁固刑だった。バンヤンは、再び家族から引き離され、獄中の人となった。

しかし、この2回目の入獄は素晴らしい恵みを彼にもたらした。暗い土牢に入った瞬間、彼の目に天の都が映ったのである。そして、今までの自分の信仰の歩みが、一つの物語となるのを感じた。

目を凝らすと、一人の男が罪という大きな荷物を背負ったまま、「滅びの町」から逃げ出してくるのが見えた。「ああ、どうしたらいいのだろう!」と叫びながら。

バンヤンはペンを取り、物語を書き始めた。「クリスチャン」という名前のかつての自分の分身は、その後、伝道者の導きで「虚栄の市」「絶望の沼」「死の陰の谷」などを経巡りながら、ついに最後に壮麗な神の住居――天国へと入ることができたのである。

『天路歴程』と題するこの小説は1678年に出版され、英文学史上最も優れた作品として評価されたのだった。

*

<あとがき>

1672年9月。待ちに待った釈放の日を迎えたバンヤンは、12年にわたる獄中生活を終え、わが家へと帰ってきました。家族は大喜びで彼を迎え、再び元通り平穏な日々が戻ってきました。

バンヤンの釈放を知って友人や教会の人たちも祝いの言葉を述べるために駆けつけ、互いに喜びを分かち合ったのでした。

翌年1月。バンヤンは「ベッドフォード・バプテスト教会」の牧師に任ぜられ、久しぶりに聴衆の前で福音を語りました。彼はただ会堂で語るだけでなく、教会員の家の納屋を借りて、その前でも語りました。

バンヤンの言葉には重みが増し、人々は涙を流して聴き入るのでした。

そんな時、彼の人生はまたしても逆転します。1673年3月4日。彼に再び逮捕状が出、牢獄に送られたのです。国教会への従順を要求する「宣誓令」に反するとの理由からでした。

しかし、この二度目の投獄は、素晴らしい恵みをもたらしました。この獄中で、不朽の名作『天路歴程』を完成することができたからです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(14)恩寵あふれる

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(13)地の底から、賛美が響く

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(12)牢獄につながれて

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(11)新しい家族

  • 天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(10)鋳掛屋の説教者

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • ビリー・グラハム伝道協会とサマリタンズ・パース、福音主義財務責任協議会を脱退

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • グラミー賞受賞のクリスチャンソングライター、飛行機事故で死亡

  • シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦

  • 聖霊の働きを妨げるもの 万代栄嗣

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • 愛と赦し 佐々木満男

  • 加速する聖書翻訳、3日に1つのペースで新しい言語訳の聖書が誕生

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(248)聖書と考える「終末ツーリング」

  • グラハム氏の伝道集会に1万4千人が参加、言語的分断超え620教会が協力 ベルギー

  • グラミー賞受賞のクリスチャンソングライター、飛行機事故で死亡

  • ビリー・グラハム伝道協会とサマリタンズ・パース、福音主義財務責任協議会を脱退

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • マルコの証言を通してイエスと出会う90分 「マルコドラマ」日本で初上演

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 愛と赦し 佐々木満男

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • グラハム氏の伝道集会に1万4千人が参加、言語的分断超え620教会が協力 ベルギー

  • チャーリー・カーク氏の妻、殺害者を赦す 「キリストはそうしたし、夫もそうする」

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(14)哲学と聖書(前半) 三谷和司

  • チャーリー・カーク氏の妻、殺害者を赦す 「キリストはそうしたし、夫もそうする」

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される

  • 中国東部で教会活動に対する大規模取り締まり、キリスト教徒70人以上拘束

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 『奇跡の人生』 20世紀の英国を代表する新約聖書学者が遺した「信仰の置き土産」

編集部のおすすめ

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.