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ジョン・バンヤンの生涯

天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(14)恩寵あふれる

2023年7月13日19時31分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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天国への旅―ジョン・バンヤンの生涯(1)鋳掛屋の子+
ジョン・バンヤン(1628〜88)の肖像画(英国立肖像画美術館所蔵)

バンヤンは、土牢の中に横たわっているときでも家族のことを思わない日はなかった。特に、自分の帰りを待ちわびている盲目の娘メアリーの姿を思い浮かべると、たまらない気持ちになった。

「エリザベスは、どうしているだろう?」彼はまた、家事や育児の間に、自分に代わって鍋や釜の修理をし、わずかな賃金をもらって生活する彼女を思うにつけ、何とかして家族を支えてやりたいと思うのだった。

そんな時、この刑務所に収容されているアンナという女囚がレース編みを教えてあげようと言ってきた。彼女はスリの仲間とけんかをして相手に傷を負わせ、傷害罪で服役していたのだが、バンヤンの説教を聞いて改心し、彼を特別に尊敬するようになったのだった。

「バンヤンさん、これは結構いいお金になるんだよ。ここで内職をして代金を奥さんに送ってあげなさるといい」。彼女がこう言うので、早速バンヤンは彼女からレース編みの手ほどきを受けることにした。

そしてすっかり修得すると、刑務所に出入りする業者に頼んでレースを山のように仕入れ、それを独房の中に引き入れ、毎日せっせと編み始めた。もともとバンヤンは手先が器用だったので、長い房の付いたレース編みをじきに何百本、何千本と仕上げ、それを知り合いの商人を通して市場に流してもらったのだった。

程なくして、バンヤンの手にはかなりのお金が入ってきたので、彼はそれを家族に送り届けたのだった。

それは1662年、バンヤンが投獄されて2年目のクリスマスだった。家族がそろって面会に来た。

「お父さん、クリスマスおめでとう!」盲目のメアリーが、妻エリザベスの手からプレゼントを受け取るとバンヤンの手に渡した。それは皆で少しずつ交代で編んだ靴下とチョッキだった。

「ありがとう、みんな」。バンヤンは妻エリザベス、長女メアリー、長男ジョン、次男トマス、次女エリザベス、そして手押し車に乗せた幼い三女セアラと三男ジョーゼフに至るまで、次々と抱きしめた。

この面会は刑務所長バーローの特別な取り計らいであった。しかもバンヤンは家族との面会のために特例として入り口横の面会室を使わせてもらったのだった。

「皆さん、クリスマスおめでとう!」バンヤンはこう言うと、家族と抱き合ったまま、クリスマスのための賛美歌『御子は生まれたまいぬ』を合唱した。するとどうだろう! 下の土牢から、これに合わせて囚人たちの歌声が響いてきたではないか。

そして気が付くと、所長バーローも、4、5人の刑務官も声を合わせて歌っていたのである。まことに祝福されたクリスマス・イブだった。

こうしてバンヤンは、家計を支えるために刑務所内でレース編みの内職をし、乞われれば説教をしたり、悩みを抱える者の相談に乗ったりと忙しい毎日を過ごしていた。

さらに彼が神から委託されたもう一つの仕事があった。それは著述の仕事で、服役しながらも、折に触れて感じたことや随想をメモにとっていた。それがたまってくると、ペンをとって執筆に専念するのである。

この作業も毎日獄の中で少しずつ始められていた。昼は他の仕事に忙殺されていたので、夜更けになって他の人たちが寝静まる頃に、ろうそくの光の中でペンを走らせたのだった。

1661年に『有益な随想』、1662年『私は聖霊と共に祈る』、1663年『キリスト教徒の振る舞い』『祈祷論』『獄中の黙想』、1663年から65年にかけて『4つの最後のもの』『エバルとゲリジム』『聖都』『死者の復活』『なくてはならぬ唯一のもの』と次々に出版し、獄中に収容されている間に9冊もの著書を世に送ったのだった。

「私は、何と恵まれた人間なのだろう」。彼は今までの人生を振り返って思うのだった。いたずらばかりして周囲の大人を困らせてばかりいた少年時代。地獄の幻影におびえつつも神を冒瀆(ぼうとく)する言葉を吐き散らし、酒場に入り浸って賭博に興じていた若者時代。自分は人生を呪い、人を憎んですねた思いで世を見返していたのだ。

そんな自分があの素晴らしい女性マーサと出会って家族を持ち、聖書を読むことを学び、やがてギフォード師のバプテスト教会に導かれた。そして救われて「鋳掛屋の説教者」となり、二度目の妻エリザベスと子どもたちに支えられながら豊かな人生を歩むことになったのだ。

さらに、投獄されたが、この土牢をも神は宮殿に変えてくださり、祝福を注いでくださった。これが恩寵でなくて何だろう。バンヤンは自伝『あふれる恩寵』を世の人のために執筆し、これは1666年出版された。

*

<あとがき>

バンヤンは牢獄の中にあっても、家族を思い、彼らを養うことを忘れませんでした。彼は女囚に教わったレース編みの内職をし、その代金を家族に送り、生活を助けたのです。

その年のクリスマス・イブには素晴らしいことが起こりました。家族がそろって面会に来て、バンヤンに皆で編んだ靴下とチョッキのクリスマス・プレゼントを渡したのです。そして、バーロー所長の計らいで面会室を使わせてもらい、彼らは抱き合って賛美歌を歌いました。

すると、地下に幽閉されている囚人たちも声を合わせて歌いました。さらにバーロー所長も、4、5人の刑務官もそれに合わせて歌ったのです。まことに、クリスマスというのは神様の和解の贈り物であることを思わしめられます。

さらに、バンヤンは幽閉生活の間に9冊もの著書を書いたのでした。彼にとっては全てが、あふれる恩寵でした。そしてその恩寵の御手は、地獄のような牢獄をも宮殿に変える力を持っていたのです。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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