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不条理なる死を不可知の光で中和せよ

共に苦しむのか、共に暴れるのか ガダラ考察(その1)

2023年5月11日14時43分 コラムニスト : 藤崎裕之
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関連タグ:マタイによる福音書マルコによる福音書藤崎裕之
不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(45)+

不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(45)

4つの福音書はいつ書かれた?

4つの福音書がいつどこで誰によって書かれたのか、誰もが興味を抱くことであろう。また、それぞれの内容は似ているところもあるが、出来事の細部には相当な違いもある。共通する記述が多く、いわゆる「共観福音書」と呼ばれているのは、マタイ、マルコ、ルカの各福音書であるが、書かれた順番はマルコ、マタイ、ルカである、というのが学問上の定説になっている。

マタイとルカは、マルコが書いた福音書を手本にしながら、それぞれ固有の情報を入手して書き加えたり、また、同じ出来事の一部を書き換えたりしているといわれている。そのような定説に従えば、マルコ福音書は紀元70年以降、つまりエルサレムがローマによって破壊された事件の後に、それもわりと早い時期に書かれたとされる。それでもイエスの時代からは40年ほど経過しているし、イエスの直接の弟子たちも、その多くがその時代までは生きていなかったであろうと考えられている。

つまり、それぞれの福音書はいずれも、イエスの十字架と復活の出来事を直接経験した人たちの多くが世を去った後に書かれたということになる。目で見て、耳で聞き、直にキリストを味わった使徒やその周りの人たち、あるいはまた、パウロのようにキリストと霊的な接触をした人たち、つまり第一世代による直接伝道が途切れた時代に、これらの福音書が書かれたのだという。それが聖書歴史学の定説になっている。

このような考えを合理的と言うべきかどうかは別として、証言者による直接伝道から、文章を媒体とした伝道の時代に切り替わったということになるであろうか。とはいえ、実のところ、上記の定説を確定するほどの証拠はないのである。もう少し掘り下げると、このような歴史観は「聖書のみ」を標榜しているプロテスタント教会の自己肯定の産物といえるのかもしれない。

パウロも当然、キリストの福音の上に立つ

新約聖書における最古の文章は、パウロの手紙であるとされているが、ではパウロは、資料を全く用いることなくそれぞれの手紙を書き上げたのであろうか。パウロは、自分がキリストから受けた教えというものは、誰か他の者から伝授されたものではなく、キリストご自身から与えられたものであると語っている。

それはある程度は信用するとして、ではパウロは「自分だけを頼り」に手紙を書いて諸教会へ送ったほどに自信過剰であったのだろうか。もちろん、パウロは、自身の信仰も自身が伝えるキリストの教えも、それが他の使徒たちに依存していないと言ってはいるが、他の使徒たちから独立したものであるとは言っていない。自分自身の中に確たるものがあるというのは大事だ。それが「霊的にキリストから刻印された者」というものであるとして、そのこと自体を疑う必要はない。でなければ「聖霊」の働きというものを比喩的なこととしか受け止められなくなる。

ではパウロは、12使徒に由来する直接的なキリスト体験を全く無視していたのであろうか。確かにパウロは、福音書に記されているような物語的に語られたキリストを伝えることはない。むしろパウロの文章は、福音書をどのように理解したらよいのかを示してくれるお手本のようなものであるように思う。つまり、パウロの文章を読むにしても、キリストの福音はその多くが福音書に書かれているのであって、その事実を忘れてしまっては、パウロの語る福音は間違った方向に読み取られてしまう気がしてならない。

一つの考えとして

『古代キリスト教研究論集』(北海道大学大学院文学研究院研究叢書)において、著者の戸田聡は大胆な仮説を展開している。それは、パウロもまた、使徒と関係の深い書物を目の前に置きつつ手紙を書いたというものである。戸田は、パウロが手紙を書き始めたころには既にマタイ福音書が存在していただろうとしている。これが本当なら、マルコ福音書を参考にしてマタイ福音書が書かれたという説は怪しくなるようだ。

むしろ、こう考えるべきだというのだ。それは、マルコ福音書はマタイ福音書の短縮版として主に異邦人に向けて書かれたものだと。だとしたら、マタイが「律法と預言の成就者であるキリスト」を強調しているのに対して、マルコは大胆にも律法に関わる部分を相当に削除し、ユダヤ教の延長線上のキリストではなくて、世の中で軽んじられてきた異邦人や女性に焦点を当てることで、ユダヤ教からキリストを切り離したと考えるべきかもしれない。マルコ福音書がマタイ福音書の短縮版あるいは合理化版という発想は古いものではないらしいが、なるほどそれも興味深い考えではないだろうか。

短縮か延長か

というわけで、前置きが長くなったが、今回は、マルコ福音書では5章1~20節に書かれ、マタイ福音書では8章28~34節に書かれている出来事、つまり、悪霊に取り憑(つ)かれ、墓場で生きていた人物(マルコ福音書では「レギオン」と名乗っている)に関する話を取り上げることにしよう。

マルコ、マタイの各福音書に書かれているそれぞれの話は、まず地名が違い、それから登場する人物が1人か2人かの違いもある。文章量そのものは、マルコ福音書の方がはるかに長い。つまり、この箇所に限れば、マルコ福音書がマタイ福音書の短縮版とは考えにくい。もしマタイ福音書の方が先に書かれ、それを参考にしながらマルコ福音書が書かれたとするなら、マルコは地名を変え、人物を2人から1人に書き換え、そして、この出来事を伝える話そのものを延長していることになる。この点をどう考えるべきか、今のところ私には想像できていない。マタイが、マルコ福音書の話を短縮させたと考える方が簡単なのだが・・・。次回からいろいろと考えていくことにしよう。(続く)

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◇

藤崎裕之

藤崎裕之

(ふじさき・ひろゆき)

1962年高知市生まれ。明治から続くクリスチャン家庭に育つ。88年同志社大学大学院神学研究科卒業。旧約聖書神学専攻。同年、日本基督教団の教師となる。現在、日本基督教団隠退教師、函館ハリストス正教会信徒。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:マタイによる福音書マルコによる福音書藤崎裕之
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