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夜明け前

夜明け前(2)「君は愛されるために生まれた」 星野ひかり

2023年1月5日15時18分 コラムニスト : 星野ひかり
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夜明け前(1)世界の出口 星野ひかり+

34歳の頃でしょうか。とある街の教会で、信徒の方たちが高らかに、私にこの歌を歌ってくれたことがありました。

「君は愛されるために生まれた。君の人生は愛で満ちている・・・」

私は心が裏返るような居心地の悪さを感じました。愛されるために生まれたというには、あまりに人に裏切られてきた気がします。あまりにも利用されたり、だまされたり、仕事も簡単にクビになってきたような・・・。何より私自身が私を愛しているとは口が裂けても言えず、自分を呪って生きているような体たらくでありました。

しかしその頃の私の手を、ぎゅっと握りしめてくれたか細い腕がありました。「イエス様が、ひかりちゃんと一緒に、泣いてくれているわ」。そう私の手を握りしめ、涙を流して祈ってくれる婦人がいました。この頃から、私はキリスト教に救いを求めて、キリスト教を信じる人たちの輪に入り浸るようになっていたのです。

信仰者の婦人たちは教えてくれました。「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ43:4)それが神様の私へのメッセージなのだ、と。私は今までの人生を思い返しても、そんなふうに扱われた覚えはなく、「ふうん・・・」と首をかしげるばかりでした。

この聖句のように、またはあの歌のように、「君は愛されるために生まれた」・・・そんなとんでもないことがもし本当だというならば、ぜひ知りたい、教えてほしい、と私はキリスト教にしがみついてゆきました。

私は17歳で家を出た後も、精神病院で睡眠薬をはじめとしたいろいろな薬をもらっていました。家を出た頃に告げられた病名のことは忘れ、ただ自分は少し敏感で、傷つきやすいだけなのだと思ってきました。

当時の私を診てくださった病院の先生も、特に病名をつけることはなく、その時に苦しんでいる症状に合わせて薬を出してくれました。多剤処方のまかり通っていた時代でもあり、気が付けばどんどん薬は増えて、一日に20錠近い薬を飲む生活にも慣れてしまっておりました。

20代の頃は仕事を転々としながらも、絵や音楽、文学、さまざまな表現を使って自分を表そうとしたこともありました。相変わらず ‘変わり者’ として人に面白おかしく受け入れられることも多かった私は、その期待に応えようとしました。

「キミは面白いね」そんな好奇のまなざしは、私を踊らせるのに十分でした。そして、自由人を気取ってみては、バックパッカーの流行に乗って外国を旅したこともありました。しかし、どこに行ってもこの人生に逃げ場などないと知るばかりで、表現したいことも何もなく、人のまなざしに応えようとするだけの、振れば音がするほどに私は空っぽでありました。

30歳も近づいた頃、発達障害や軽度の知的障害、精神障害、精神障害の二次障害、HSPなど、さまざまな生きづらさを抱えて生きている人たちの本を読み漁りました。どうしてこうも、人と同じように生きたいのに簡単なこと一つも人と同じようにできないのだ、と不思議でした。

小学校の時に知能テストが行われ、私は普通学級に振り分けられました。それなのに、私の日常は困難であふれており、人並みに生きていくことはあまりに大変なことでした。

私は「愛されるために生まれた」というには、あまりに人に裏切られてきたと冒頭で言いました。あまりにも利用されたり、だまされたり、仕事も簡単にクビになってきた・・・と。しかしそれはまた、私が相手にそうさせてきたことでもあったのでしょう。私は、信頼関係や友情や愛情・・・つまりは人間が・・・分からなかったのです。

私は求道しながら仕事に通っておりました。ここがひどい職場であって、愛のあふれる介護施設とうたっておりながら、パワハラやいじめの嵐でした。私が不出来なために、上司もたくさんいら立ったことと思います。しかし私も、どんな小さなミスも許されない恐怖におびえて一つ一つの業務を行うようになっていました。

ある日、夜勤のさなかに聖書を抱きしめて「神様、なぜですか?」とうめきました。すると教会の恩師や、私の手を握りしめて祈ってくれた婦人たちの祈りがホームの中に響いてくるようであったのです。私はその時初めて、「祈られている」こと「愛されている」ことを信じられる気持ちになったのです。

人など身勝手な生き物で、祈りだって気まぐれで、信じられたものではないと思っていました。しかしこの夜感じた祈りは、まるで人間の発せられるものではなく、聖らかであり、真剣であり、何一つ陰りのないものであったのです。

「まことに、まことに、あなたがたに言います。わたしを信じる者は、わたしが行うわざを行い、さらに大きなわざを行います。わたしが父のもとに行くからです」(ヨハネ14:12)

私は人間を・・・愛を信じ始めたのです。愛を信じるということはすなわち、愛であられる神様が、この地表に肉の体をもって生まれてこられ、己を呪いの木にかけるようにして、十字架の上で私たちの罪の呪いを引き受けて死んでくださったことを信じられる思いへと、少しずつつながっていきました。

「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれも父のみもとに行くことはできません」(ヨハネ14:6)

全くその通りでありました。今となっては、愛は永遠性を持った真の命となって私のうちに宿りました。それは、イエス・キリストの命でした。

どこか上滑りしていた聖書の言葉は、愛を知るごとに根を持って、心に植え付けられてゆきました。それは愛を知らなければ信じることのできなかった御言葉でありました。

「愛が分からなければ、聖書は分からない。罪が分からなければ、十字架は分からない」。私を教えてくださった恩師は、そのように私を導いてくださいました。愛が分かるように、罪が分かるように・・・。それは愛と忍耐を要した導きであり、あまたいる牧師先生の中でも、私のようにほうほうの体でキリスト教の門をたたいたひねくれ者を導けたのは、この恩師しかいなかったのではないかと思うほど、重要な出会いであったのです。

この恩師の他にも、兄弟姉妹・・・何が何でも私の魂を、人生を救おうとする霊の家族が、天から財宝が降るようにふんだんに与えられてゆきました。

しかし、バプテスマを受けて教会に属し、キリストの体とされるまでは、長い時間を要しました。私は学び続けながらも、本当に神様を信じるまで、まだ葛藤しなければなりませんでした。

今となっては夫という家族も与えられ、家庭生活と教会生活にいそしむまぶしい日々を生きています。今は夜中の3時過ぎ。いつもの私が起きて、パソコンを開く時間です。冷え込む夜更けにストーブをつけて揺り椅子に腰かけると、猫たちがにゃんにゃんすり寄って甘えてきます。

静寂の中でパソコンを立ち上げると、イエス様の御手がおりてきて私の頬を包み込み、私は愛されていることを知るようです。心は蜜が滴るように甘い気持ちで満たされてゆき、イエス様への愛を告白するようにキーボードを打つのです。

・・・今日もイエス様と生きる、新しい一日が始まります。イエス様と出会った今、私はもはや ‘永遠の命’ を生き始めており、一日ごとに御国に近づいてゆく希望を踏みしめて歩んでいます。

今日も特段予定のない一日ですが、心を込めて家事をして、夏に伸びた庭草を整えて、オルガンを弾いてイエス様をたたえたり、モップをかけて家の掃除、洗濯をしたり、一人でヨガに興じたり、そんなふうに自分を愛でて過ごせる日が与えられていることでしょう。今日の天気予報は、晴れのち曇り。雨は降らないようですから、散歩に出て足腰を鍛えるのもいいでしょう。

または車を使って実家に帰り、祖母に会いに行きましょうか。2年半前に介護のために私の実家に引き取った母方の祖母は91歳になり、実家の日当たりのよい和室で寝たきりの生活を送っています。

うちに来た頃はまだ自分で歩け、話も楽しくできました。しかし今は寝たきりで、鼻に酸素のチューブをし、毎日点滴を受け、記憶もすぐになくなり、言葉もほとんど出なくなりました。それでも今日も、神様の御手のうちに生かされています。

言葉は出ずとも、顔を見せるとほほ笑んで、手ぶりで喜びを表現します。母が祖母を引き取り、つききりで介護をしてくれているおかげで、大切な祖母との限られた時間を過ごすことができています。

一歩一歩天国に近づいていっている祖母は、日々透明性を増して清らかに、人生の重荷を下ろしながら軽々としてイエス様のもとに歩んでいるように見えました。老いというものは、その先の死というものは、こんなに自然に訪れるものなのか、と長寿の恵みを見るようです。

これから私にも、実の両親や義理の両親を天へと見送ってゆく役目が待っています。母のように時間も労力もささげて尽くすことはできないけれど、それでもできることに心を込めて、悔いなく天に送ってゆきたいと願うようになりました。

それは恵みの時、収穫の時となるかもしれません。

心が狭く、愛のない・・・まして病者であり、使い物にならないと言われ続けた私に、できることなどなきに等しいことでしょう。しかし私にも、御霊が与えられているのです。御霊・・・イエス様が私たちを孤児とはしないとおっしゃって、この地の私たちに与えてくださった御力が。

母はもともと体力もあり、忍耐強い人でしたが、母も御霊に支えられていることでしょう。そして私たちはこれほどに美しく老いながら、天に少しずつ近づいてゆく祖母の姿を見ています。それはまるで、生と死に境目などないことを目の当たりにするような、神秘的な目撃であるのです。

「まことに、まことに、あなたがたに言います。わたしを信じる者は、わたしが行うわざを行い、さらに大きなわざを行います。わたしが父のもとに行くからです」(ヨハネ14:12)

私の実家は、暗く、悪魔の滴らせるよだれに絡め取られているような、それは不穏な家でありました。乱暴な言葉が飛び交って、家族はののしり合い傷つけ合っておりました。悪魔の足跡が、壁や床、至る所にベタベタと残っているような家であったのです。私のきょうだいたちも、いまだに癒えぬ傷を抱えながら、おびえた心にふたをして生きているかもしれません。

恩師と出会って6、7年の間に、私を初穂にして母も信仰を告白し、祖母も信仰を告白しました。同じく信仰告白をした叔母や大伯母が、祖母の好きな花を携えて訪れます。今私の実家は、神様から降りてくる光の粒できらきらと輝き出したのです。

「わたしは、あなたがたを捨てて孤児にはしません。あなたがたのところに戻って来ます。あと少しで、世はもうわたしを見なくなります。しかし、あなたがたはわたしを見ます。わたしが生き、あなたがたも生きることになるからです」(ヨハネ14:18、19)

祖母は恵みを携えて、わが家に来てくれました。祖母の透明な皮膚の向こうに、イエス様が見えます。祖母のほほ笑みの中に、イエス様が見えます。イエス様がにこりと笑って、祖母と共にあり、天の御国までいつも祖母と共にいてくださっていることを見るのです。イエス様は語るようです。

「見よ。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいます」(マタイ28:20)

(つづく)

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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