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小菊時計

小菊時計(最終回)目に見えないもの 星野ひかり

2022年12月8日16時48分 コラムニスト : 星野ひかり
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小菊時計 星野ひかり+

「そして主は彼を外に連れ出して言われた、『天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみなさい』。また彼に言われた、『あなたの子孫はあのようになるでしょう』。アブラムは主を信じた。主はこれを彼の義と認められた」(創世記15章)

空一面の星くずを見上げて、主の言葉を信じた父祖アブラハムは、なんと孤独であったことでしょう。土煙が立ち上る深い夜に、蜜のように甘い草木の香りが漂う中で、ひらけた空の下にたたずんで、今では見ることのできないほどに輝いた星くずを見上げたアブラハムの姿が目に浮かびます。アブラハムは、孤独でありながら、その心はどんなにか満たされていたことでしょうか。

この世と己を切り離して、主との道を歩む・・・私もそのように己を聖別して、この世を歩いてみたいと願います。

夜勤明けの翌日、私は列車に乗っていました。窓の向こうには田んぼが広がり、まだ短い青々とした稲が日に照らされてキラキラと輝いておりました。ガタンゴトンと列車が進むごとに、たくさんの家が見えてきます。家は一つ一つが違いどれも個性的で、窓の中のそれぞれの暮らしに思いをはせてしまいます。

徐々に高い建物が多くなり、都会が近づいてゆくことを教えます。やがて折り重なるように高いビルディングがそびえ立ち、私の鼓動も早くなってゆくのを感じます。私が放蕩の限りを尽くした舞台である街々が見えてくるのですから。そしてその中心部に、私がいつか、転がり込んで暮らしていた ‘彼女’ のマンションがありました。

私は彼女に謝りたいと思っていました。彼女の好意と寂しさに甘えて、1年近くを彼女のもとで暮らしたのです。そこにはたくさんの楽しい思い出もありました。悲しい思い出もありました。行く当てのない者のようにして2人で手を握り合って、震えながら眠った夜もありました。その絆は、寂しさに甘えたものであり、本当の友情とは言えなかったかもしれません。しかしうそばかりでもなかったはずなのです。

私の膝には、聖書が置かれておりました。・・・私は福音を携えて、彼女のもとに向かっていたのです。私は心細くなり、歌を歌いました。

♪世にあまた道はあれども 罪人を救うは
ただイェスの教えあるのみ ただ十字架あるのみ
古びはせじ古びはせじ 尊きはイェスの教えぞ
よし世はいかに 嘲(あざけ)るとも
動かぬはげに この教えぞ♪

都会にはお金で買えないものは、何一つないほどでありました。また若さや美貌を引き換えにして、手にできるもの、味わえる快楽もそれは多くありました。まばゆい世界が目の前を埋め尽くし、目に見えないものに目を注ぐことが難しい街でもありました。

「わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠につづくのである」(2コリント4:18)

私は今、目に見えない世界を見ています。目に見えないものを、まるで見えるがごとくに信じているのです。それは神様の御手の中にあるこの世界のありさまであり、また神様が許されて悪魔に支配権を渡されたこの世界のありさまでした。万軍のみ使いたちの祈りに満ちているような、果てしない天まで続くこの空と、その下にあるこの地・・・。この暗い地には、やがて神の万軍のラッパが響き渡り、この世界の終わりを高らかに告げ知らせる時が来るといいます。

そして、2千年前に力ない者のようにして十字架で死なれた、かのイエス・キリストが、一部の信じる者たちの言う通りに、復活の体をもってこの世界に再び来られ、この世界の王として王国を築き上げる時が来ることを、その約束を、まるで見えるがごとくに信じています。・・・それはこの世界では、耳を疑うほどの愚かな愛、贖(あがな)いです。ご自身の命を打ち捨てて、十字架の上で死なれ、罪びとたちに永遠の命を与え、天の国民に加えてくださるというのですから。

「求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである」(マタイ7:7、8)

そのように、その王国の門はたたいた者に必ず開かれるといわれます。この目に見える世界に満足して喜んでいる者は、わざわざ目に見えない門をたたきにゆきはしないでしょう。だからこそ主は言われました。

「あなたがたいま飢えている人たちは、さいわいだ。飽き足りるようになるからである。あなたがたいま泣いている人たちは、さいわいだ。笑うようになるからである」(ルカ6:21)

この世界で飢え渇き、罪に悲しみ、義を求める者にこそ、その逃れの門は姿を現すことでしょう。・・・そして続く天の国には、もはや罪はなく、涙なく、苦しみも去り、神様ご自身があかりとなってその国を照らすのだといいます。イエス様こそが、唯一の道であり、天の国の門へと私たちの足元を守り、導いてくださるのです。「私は道であり、真理であり、命である」(ヨハネ14:6)と宣言されたイエス・キリスト・・・2千年前に十字架にかかられたイエス様だけが、道を示してくださるのです。

私の心は震えていました。十字架の言(ことば)は、あまりにも愚かであるからです。この愚かなほどの愛を、いいえ、愛とはここまで愚かなものであることを、伝える力を求めました。電車は彼女の暮らす街へと近づいてゆきます。私もイエス様を倣って、何度だって訪ねよう。知恵を尽くして、心を尽くして、きっと彼女に伝えたい。そう拳を握りました。

懐かしい駅で降り、駅の前に開かれている小さな商店街で、何か一緒に食べるものを買ってゆこうと探しました。ふと、牛丼屋が見えました。私の顔はほころんで、迷うことなく、2つの牛丼を作ってもらいビニール袋にぶら下げて、彼女と暮らしたマンションへと向かいました。

白いタイル張りのきれいなマンションであった記憶がありました。しかし私の前に現れたのは、タイルの目が薄汚れた、今にも崩れ落ちそうな、悲しくさびれたマンションでした。

エレベーターのボタンを押して乗り込むと、すえた暗いにおいがしました。彼女の部屋のドアの前に着くと、深呼吸をして神様にお祈りをささげました。チャイムを押すと鈍く何かが崩れる音がして、ドアに人が近づいてくるのが分かりました。ドアはゆっくりと開かれ、そこにはやつれた笑みを浮かべた彼女がいました。

「どうしたの、今更」。ドアにもたれかかり、そっけなく、彼女は言いました。「一緒に牛丼を食べようと思って」。私はそう言って、ビニール袋を掲げました。

「ばかじゃないの」。そう言って笑った彼女の手を取りました。その手首には新しい傷が幾重にも刻まれておりました。私はその傷を手で覆い、彼女をいとおしんで泣きました。

彼女はその手を振り払うこともなく、そっと手を握り返してきたのです。顔を見ると彼女の頬も涙にぬれているようでした。私は彼女に、愛を伝えることができるでしょうか。この十字架の愚かな愛を。

それはあまりに愚かな愛であるので、あまりに信じがたいことでしょう。お金を払わなければ何も買えない世界です。無代価で差し出されるものほどに疑われるものはないでしょう。今も悪魔がクモのように罠を張り、福音を見えなくし、届けられなくしています。しかし私はきっと、彼女を得たいと思っているのです・・・。(完)

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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