Skip to main content
2025年6月16日23時55分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
小菊時計

小菊時計(9)面接 星野ひかり

2022年11月25日08時47分 コラムニスト : 星野ひかり
  • ツイート
印刷
小菊時計 星野ひかり+

小菊時計の夢の中に私はたびたび誘われてまいりました。真夜中の都会をわが物顔で闊歩(かっぽ)していたころ、私は自分を花に例えるならば、花弁の大きく開いた華やかなグラジオラスではないかと、おこがましくも思ってきました。

しかし、ほうほうの体で実家に戻った私の前に現れたのは、冬の路地端に、冷たい風に震えながらも強く咲く、色とりどりのかれんな小菊たちでできた ‘小菊時計’ でありました。

それはまるで神様が、私をそんなふうに花に例えてくださったようでありました。まるで、神様が私のために作ってくださった色とりどりの小菊の冠が、天からひらひらと舞い降りて私の頭に乗せられたかのように、うれしく思ったものでした。花の少ない冬の路地端で、凍える人を励ますように咲く、白や紫、黄色やピンクの小菊たちが思い出され、そんなふうに生きたいと願いました。

このように、過去をさかのぼる旅をしながら、私の心は少しずつ、自分の身に起こったことを受け入れられるようにもなってきました。私はまだ、回復の途上であり、不思議な小菊時計の現れが、私の心の回復を手伝ってくださる神様のお優しい計らいのように感じるのです。

人は本当につらいことは忘れようとするといいます。なかったことのようにして、なんとか命を守ろうとするのかもしれません。しかし私は自分の身に起こったことの一つ一つ、その痛みや、そこにあったうめきや叫びの一つ一つを、覚えていたいと願いました。それがいつか、人を励ます力になるかもしれませんし、そのように、聖書の言葉も教えてくれておりました。

「神は、いかなる患難の中にいる時でもわたしたちを慰めて下さり、また、わたしたち自身も、神に慰めていただくその慰めをもって、あらゆる患難の中にある人々を慰めることができるようにして下さるのである」(2コリント1:4)

私にとっては、この身に起こったことを受け入れることは大きな苦しみでした。身を隠したいほどに恥ずかしいこともあり、思い出すだけでも吐き気がするほど、おぞましいこともあります。なかったことにできたならどんなにいいことでしょう。しかし神様は、私たちの歩んだ人生のひとかけらも、無駄にされないお方です。「万事を益とし」用いてくださる慈しみ深いお方です。この世界から、無用な者のようにはじき出され、路地端にうずくまって死を眼前に見た夜のことも、この世界のまやかしのように、悪魔の手から与えられた甘い蜜の味だって・・・。

悪魔の差し出す果実をかじり、その甘みをむさぼって私は幸せでありました。こんな幸せのためならば、地獄に落ちていいと思ったほどです。そうやって、じりじりと悪魔は私の体に己の爪を刻み込み、私を奴隷としていきました。寂しさが深いほどに、不安の大きいほどに、果実はその甘みを増しました。しかし、悪魔の与える蜜は、その代償も大きいものでありました。

神様は私たちを無代価で買い取りました。ご自身の独り子を私たちに差し出し、これであなた方の罪の代価を支払いなさいとおっしゃったのです。これほどの贖(あがな)いの愛が差し出されても、私たちは悪魔に誘惑される、なんと罪深い者でしょうか。悪魔は、与えた百倍、または千倍の利息を要求するのだというのに。

1年近く一緒に暮らしていた、放蕩のさなかで出会った彼女は、命乞いするように必死に私に訴えたことがあります。「殺してちょうだい」。そう言って、私の手を自分の首に回したこともありました。それはまるで、悪魔への死への懇願でありました。

「身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食いつくすべきものを求めて歩き回っている。この悪魔にむかい、信仰にかたく立って、抵抗しなさい。あなたがたのよく知っているとおり、全世界にいるあなたがたの兄弟たちも、同じような苦しみの数々に会っているのである」(1ペテロ5:8、9)

信仰によって私たちは悪魔から身を守ることができると同時に、悪魔は信仰者をあざとく付け狙うと言われます。私も毎日を、悪魔の甘いささやきの中で、耳をふさいで耐えることもあります。いまだに、悪魔の果実をうずくほどに欲するときもあり、手足をじたばたとさせながら耐えるのです。信仰など持たないほうが楽だったのではないか、そんなことを思うときもあります。だからこそ、御言葉を握りしめます。

「なぜなら、このしばらくの軽い患難は働いて、永遠の重い栄光を、あふれるばかりにわたしたちに得させるからである。わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠につづくのである」(2コリント4:17、18)

この肉の体に行きわたる罪の力は濃く、時に「血を流すほどの抵抗」(へブル12:4)を求められるときもあります。神様の御座に近づこうとすればするほどに、その激しさは増すのではないでしょうか。

それでも私は神様にあこがれ、恋い慕い、その御座に少しでも近づきたいと願います。神様・・・それはあまりにも素晴らしく尊い方であるからです。

私の愛は今日も試されています。神様の全てを見通す目にさらされ、私の胸の内の愛を探られています。「あなたは私を愛するか」とペテロに3度聞かれたように、神様は私たちの愛を、その深さを知りたいとお思いです。私は何と答えられるでしょうか。イエス様を3度裏切ったペテロであっても、ペテロのような熱情だって、私にあるでしょうか。

「私があなたを愛していることは、あなたがご存じです」。それでもイエス様はなおも問いかけます。「あなたは私を愛するか・・・」

小菊時計が私の目の前にゆっくりと浮かび上がってゆきます。「あなたを愛します」そう告白して介護の仕事に足を踏み入れていった日へと針はさかのぼってゆき、私は意気込んで面接に向かう私の姿を見つめました。

*

白いレースの縁取りのシャツに黒のフレアスカートを履いて、履歴書を握りしめて介護施設の面接に向かってゆきました。施設長を待つ部屋で、履歴書を何度も見返してため息をつきました。遊びほうけて暮らした空白の数年間を問い詰められたらどうしよう。そう思っては冷や汗をかきました。

ふくよかで優し気な男性の施設長は尋ねました。「この仕事をしたいと思ったのはなぜですか」。私の胸の、十字架のペンダントがぐっと重く感じられました。そして私は、信仰の故にそのように導かれたことを話すことができたのです。

「私の信じるイエス様は、憐み深く、お優しいお方です。ですから私も、イエス様を見習って、この施設の方たちのために働きたいと思いました」

そう答えた私には、不思議な力がみなぎっているようでした。そうして私は採用になり、施設で働き始めました。

「あなたを愛します」と告白しておきながら「ごめんなさい、愛せません」「私には無理です」と、うめくことの繰り返しのような仕事ぶりでありました。それであっても、今日こそは「イエス様を愛するように、この方たちに仕えたい」そうやって新しい朝を迎えました。(つづく)

<<前回へ     次回へ>>

◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • 小菊時計(8)私の家 星野ひかり

  • 小菊時計(7)主へと向かう道 星野ひかり

  • 小菊時計(6)帰還 星野ひかり

  • 小菊時計(5)神様の声 星野ひかり

  • 小菊時計(4)帰っておいで 星野ひかり

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「もうひとりの助け主」の恵みを受けよう 万代栄嗣

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月10日):アンゴラのクワァビ族のために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月13日):カメルーンのクワクム族のために祈ろう

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.