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小菊時計

小菊時計(9)面接 星野ひかり

2022年11月25日08時47分 コラムニスト : 星野ひかり
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小菊時計 星野ひかり+

小菊時計の夢の中に私はたびたび誘われてまいりました。真夜中の都会をわが物顔で闊歩(かっぽ)していたころ、私は自分を花に例えるならば、花弁の大きく開いた華やかなグラジオラスではないかと、おこがましくも思ってきました。

しかし、ほうほうの体で実家に戻った私の前に現れたのは、冬の路地端に、冷たい風に震えながらも強く咲く、色とりどりのかれんな小菊たちでできた ‘小菊時計’ でありました。

それはまるで神様が、私をそんなふうに花に例えてくださったようでありました。まるで、神様が私のために作ってくださった色とりどりの小菊の冠が、天からひらひらと舞い降りて私の頭に乗せられたかのように、うれしく思ったものでした。花の少ない冬の路地端で、凍える人を励ますように咲く、白や紫、黄色やピンクの小菊たちが思い出され、そんなふうに生きたいと願いました。

このように、過去をさかのぼる旅をしながら、私の心は少しずつ、自分の身に起こったことを受け入れられるようにもなってきました。私はまだ、回復の途上であり、不思議な小菊時計の現れが、私の心の回復を手伝ってくださる神様のお優しい計らいのように感じるのです。

人は本当につらいことは忘れようとするといいます。なかったことのようにして、なんとか命を守ろうとするのかもしれません。しかし私は自分の身に起こったことの一つ一つ、その痛みや、そこにあったうめきや叫びの一つ一つを、覚えていたいと願いました。それがいつか、人を励ます力になるかもしれませんし、そのように、聖書の言葉も教えてくれておりました。

「神は、いかなる患難の中にいる時でもわたしたちを慰めて下さり、また、わたしたち自身も、神に慰めていただくその慰めをもって、あらゆる患難の中にある人々を慰めることができるようにして下さるのである」(2コリント1:4)

私にとっては、この身に起こったことを受け入れることは大きな苦しみでした。身を隠したいほどに恥ずかしいこともあり、思い出すだけでも吐き気がするほど、おぞましいこともあります。なかったことにできたならどんなにいいことでしょう。しかし神様は、私たちの歩んだ人生のひとかけらも、無駄にされないお方です。「万事を益とし」用いてくださる慈しみ深いお方です。この世界から、無用な者のようにはじき出され、路地端にうずくまって死を眼前に見た夜のことも、この世界のまやかしのように、悪魔の手から与えられた甘い蜜の味だって・・・。

悪魔の差し出す果実をかじり、その甘みをむさぼって私は幸せでありました。こんな幸せのためならば、地獄に落ちていいと思ったほどです。そうやって、じりじりと悪魔は私の体に己の爪を刻み込み、私を奴隷としていきました。寂しさが深いほどに、不安の大きいほどに、果実はその甘みを増しました。しかし、悪魔の与える蜜は、その代償も大きいものでありました。

神様は私たちを無代価で買い取りました。ご自身の独り子を私たちに差し出し、これであなた方の罪の代価を支払いなさいとおっしゃったのです。これほどの贖(あがな)いの愛が差し出されても、私たちは悪魔に誘惑される、なんと罪深い者でしょうか。悪魔は、与えた百倍、または千倍の利息を要求するのだというのに。

1年近く一緒に暮らしていた、放蕩のさなかで出会った彼女は、命乞いするように必死に私に訴えたことがあります。「殺してちょうだい」。そう言って、私の手を自分の首に回したこともありました。それはまるで、悪魔への死への懇願でありました。

「身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食いつくすべきものを求めて歩き回っている。この悪魔にむかい、信仰にかたく立って、抵抗しなさい。あなたがたのよく知っているとおり、全世界にいるあなたがたの兄弟たちも、同じような苦しみの数々に会っているのである」(1ペテロ5:8、9)

信仰によって私たちは悪魔から身を守ることができると同時に、悪魔は信仰者をあざとく付け狙うと言われます。私も毎日を、悪魔の甘いささやきの中で、耳をふさいで耐えることもあります。いまだに、悪魔の果実をうずくほどに欲するときもあり、手足をじたばたとさせながら耐えるのです。信仰など持たないほうが楽だったのではないか、そんなことを思うときもあります。だからこそ、御言葉を握りしめます。

「なぜなら、このしばらくの軽い患難は働いて、永遠の重い栄光を、あふれるばかりにわたしたちに得させるからである。わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠につづくのである」(2コリント4:17、18)

この肉の体に行きわたる罪の力は濃く、時に「血を流すほどの抵抗」(へブル12:4)を求められるときもあります。神様の御座に近づこうとすればするほどに、その激しさは増すのではないでしょうか。

それでも私は神様にあこがれ、恋い慕い、その御座に少しでも近づきたいと願います。神様・・・それはあまりにも素晴らしく尊い方であるからです。

私の愛は今日も試されています。神様の全てを見通す目にさらされ、私の胸の内の愛を探られています。「あなたは私を愛するか」とペテロに3度聞かれたように、神様は私たちの愛を、その深さを知りたいとお思いです。私は何と答えられるでしょうか。イエス様を3度裏切ったペテロであっても、ペテロのような熱情だって、私にあるでしょうか。

「私があなたを愛していることは、あなたがご存じです」。それでもイエス様はなおも問いかけます。「あなたは私を愛するか・・・」

小菊時計が私の目の前にゆっくりと浮かび上がってゆきます。「あなたを愛します」そう告白して介護の仕事に足を踏み入れていった日へと針はさかのぼってゆき、私は意気込んで面接に向かう私の姿を見つめました。

*

白いレースの縁取りのシャツに黒のフレアスカートを履いて、履歴書を握りしめて介護施設の面接に向かってゆきました。施設長を待つ部屋で、履歴書を何度も見返してため息をつきました。遊びほうけて暮らした空白の数年間を問い詰められたらどうしよう。そう思っては冷や汗をかきました。

ふくよかで優し気な男性の施設長は尋ねました。「この仕事をしたいと思ったのはなぜですか」。私の胸の、十字架のペンダントがぐっと重く感じられました。そして私は、信仰の故にそのように導かれたことを話すことができたのです。

「私の信じるイエス様は、憐み深く、お優しいお方です。ですから私も、イエス様を見習って、この施設の方たちのために働きたいと思いました」

そう答えた私には、不思議な力がみなぎっているようでした。そうして私は採用になり、施設で働き始めました。

「あなたを愛します」と告白しておきながら「ごめんなさい、愛せません」「私には無理です」と、うめくことの繰り返しのような仕事ぶりでありました。それであっても、今日こそは「イエス様を愛するように、この方たちに仕えたい」そうやって新しい朝を迎えました。(つづく)

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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