Skip to main content
2022年7月3日17時19分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
パウロとフィレモンとオネシモ

パウロとフィレモンとオネシモ(最終回)「エフェソ書のあとがき」―コラムの最後に― 臼田宣弘

2022年2月3日13時53分 コラムニスト : 臼田宣弘
  • ツイート
印刷
関連タグ:エフェソの信徒への手紙コロサイの信徒への手紙フィレモンへの手紙臼田宣弘

57回にわたって連載してきました本コラムも、今回で最終回となります。今回はエフェソ書6章21~24節を読みます。エフェソ書の「あとがき」の部分です。最初に21~22節を記載します。

21 わたしがどういう様子でいるか、また、何をしているか、あなたがたにも知ってもらうために、ティキコがすべて話すことでしょう。彼は主に結ばれた、愛する兄弟であり、忠実に仕える者です。22 彼をそちらに送るのは、あなたがたがわたしたちの様子を知り、彼から心に励ましを得るためなのです。

この箇所は、コロサイ書4章7~8節に依拠しています。また、同9節は今回の考察の対象となるため、4章7~9節を記載しておきます。

7 わたしの様子については、ティキコがすべてを話すことでしょう。彼は主に結ばれた、愛する兄弟、忠実に仕える者、仲間の僕です。8 彼をそちらに送るのは、あなたがたがわたしたちの様子を知り、彼によって心が励まされるためなのです。9 また、あなたがたの一人、忠実な愛する兄弟オネシモを一緒に行かせます。彼らは、こちらの事情をすべて知らせるでしょう。

なぜオネシモが消えているか

大まかに言いますと、コロサイ書4章7~8節に、「あなたがたにも知ってもらうために」が加えられ、「仲間の僕」が外されている形になっているのがエフェソ書6章21~22節です。ギリシャ語の原典では、「あなたがたにも知ってもらうために」は文頭にあり、それまでに両箇所は一致しています。

コロサイ書とエフェソ書が共に偽名書簡であることは、今までお伝えしてきました。パウロではない別の人たちが書いているのです。それなのにここまで一致する文が書かれているのは、エフェソ書の著者が何かの目的を持ってコロサイ書4章7~8節を反復しているのではないかと思えるのです。

その目的は、「コロサイ書4章9節のオネシモに関する言及を避ける」ことにあったと私は考えています。さらに、エフェソ書の著者が、オネシモの記述を避けるためにこの反復をしたとするならば、それはこの手紙の著者がオネシモであるからこそ、そのようにしたのであると私は考えています(第39回参照)。

パウロの同労者たち

この箇所について、石田学氏が著書で興味深いことを書かれています。

この部分はコロサイ4・7~8と、ほとんど一致する。したがって、この箇所はコロサイ書の文言がほとんどそのまま引用されているのであろう。コロサイ書を解釈し直す仕方で書かれたエフェソ書であっても、ほぼ文言が一致する箇所は多くない。20節「わたしはこの福音の使者として鎖につながれています」が、ローマであることを想定しているとすれば、ティキコがもたらすパウロの様子の報告は、ローマでの獄中生活、つまりパウロの最晩年の様子ということになるであろう。

エフェソ書がコロサイ書の挨拶から、この部分を引用したとすれば、エフェソ書の著者はコロサイ書で後に続く同労者たちについての記述を一切引用しなかった。パウロのことだけに限定している。ただし、22節で「わたしたちの様子」と複数形に置き換えていることから、コロサイ書の同労者が意識されていることがわかる。あるいは、使徒言行録の27・1の「わたしたち」に由来するかもしれない。

なぜティキコヘの言及を引用しながら、他の同労者の様子に触れなかったのか。その理由は推測の域を出ない。ただ、ティキコがパウロの様子を(エフェソの人々に)伝え、パウロの様子を知ることによって「心に励ましを得る」ことがエフェソ書の著者にとって重要なことであったのは確かである。エフェソ書はパウロの最後の様子を具体的に何一つ語らない。それはティキコによってもたらされるべきものであり、パウロの最後の様子が人々の心に励ましを与えるものであることが、この箇所を手紙の最後に加えた目的であろう。殉教伝のように具体的な描写はないが、その意図は殉教伝と同じであり、聖なる者の最後が証しとなって心に励ましを与えるのである。(石田学著『エフェソ書を読む・釈義と説教』232~233ページ)

「ティキコがもたらすパウロの様子の報告は、ローマでの獄中生活、つまりパウロの最晩年の様子ということになるであろう」という部分に、特に共感させられました。またそこから、「そうなると、コロサイ書の背景にあるパウロの投獄とは、使徒言行録24章24節以下のカイサリアでの投獄ではないだろうか」ということを連想させられました。コロサイ書がパウロの真性書簡ではないとしても、何らかにおいて、カイサリアでの投獄を背景に持っているのではないかということです。

そうしますと、コロサイ書4章7~14節にある、ティキコとオネシモを含むパウロの同労者とは、使徒言行録24章23節の「そして、パウロを監禁するように、百人隊長に命じた。ただし、自由をある程度与え、友人たち(筆者注:「仲間たち」とも訳せる)が彼の世話をするのを妨げないようにさせた」とある「仲間たち」のことなのではないかと思わされたのです。

つまり、フィレモン書に見られるパウロの同労者たちは、エフェソでの投獄時代の同労者であり、コロサイ書に見られる同労者たちは、カイサリアでの投獄の同労者たちであり、そして彼らの一部がローマでの投獄時代にも同行していったということではないでしょうか。獄中書簡といわれるフィレモン、コロサイ、エフェソの3書が、それぞれ別の投獄を背景にしているということなのかもしれません。

興味深いので、フィレモン書の同労者人名録と、使徒言行録20章4~6節に見られるエフェソにおける同行者人名録と、コロサイ書の同労者人名録を、表にしてみます。

フィレモン書 使徒言行録20章4~6節 コロサイ書
テモテ
エパフラス
マルコ
アリスタルコ
デマス
ルカ
ソパトロ
アリスタルコ
セクンド
ガイオ
テモテ
ティキコ
トロフィモ
ルカ(5節の「わたしたち」から。筆者は使徒言行録をルカの著作と考えています)
テモテ(1章1節)
ティキコ
オネシモ
アリスタルコ
マルコ
ユストと呼ばれるイエス
エパフラス
ルカ
デマス

この表において、いろいろな人名が一致していることが大変興味深いところです。おそらく同じ集団を示しているのでしょう。使徒言行録にティキコの名前があり、コロサイ書でそのティキコとオネシモが一緒に記されているということは、オネシモがこの集団に入ったということを意味しているのかもしれません。

結びのあいさつ

23~24節を記載します。

23 平和と、信仰を伴う愛が、父である神と主イエス・キリストから、兄弟たちにあるように。24 恵みが、変わらぬ愛をもってわたしたちの主イエス・キリストを愛する、すべての人と共にあるように。

「平和」「信仰」「愛」「恵み」があるように願う祝祷の言葉を持って、エフェソ書は結ばれます。

本コラムを連載してきて

「コロサイ書の著者はフィレモンである」「エフェソ書の著者はオネシモである」という2つのことを柱として、しかし単なる空想ではなく根拠を示しつつ、「パウロ以後の初代教会において、パウロ、フィレモン、オネシモという師弟関係の系譜が、どのような役割を果たしていたのか」という観点から、フィレモン、コロサイ、エフェソの3書について、講解のような形の連載をしてきました。

3書を結ぶキーワードとして、「善い業」や「以前~・今~」構文などがあることもお伝えしてきました。2千年前の初代教会における出来事が、まるで目の前に見えるような思いをしながら執筆をしてきました。また、「パウロ書簡集がどのような経過を経てまとめられていったのか」ということを、具体的な出来事を見ながら考察することができました。

本コラムで述べた観点から見るとき、フィレモン書は、奴隷オネシモの改心が記されているというようなものではなく、後にエフェソ教会の監督となってパウロ書簡集を蒐集(しゅうしゅう)したオネシモの召命の書であり、それ故にパウロ書簡集の最後に置かれている重要な書簡なのです。しかし、そうしたことを知ることはあくまでも、「神の言葉」である聖書をより理解していくための一助であるということを最後に申し上げておきたいと思います。

※ 本コラム終了後は、2020年11月に第1回を掲載した短期連載「コヘレトと新約聖書」の第2回以降を掲載します。2月9日から3月30日までの計8回、毎週水曜日に掲載予定です。

<<前回へ

◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:エフェソの信徒への手紙コロサイの信徒への手紙フィレモンへの手紙臼田宣弘
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • パウロとフィレモンとオネシモ(56)「パウロの投獄体験」―3書全体の背景にあるもの― 臼田宣弘

  • パウロとフィレモンとオネシモ(55)「子と親・奴隷と主人」―コロサイ書に加筆されたもの― 臼田宣弘

  • パウロとフィレモンとオネシモ(54)「妻と夫は教会とキリスト」―互いに仕え合う― 臼田宣弘

  • パウロとフィレモンとオネシモ(53)「善意と正義と真実」―光の子として歩む―  臼田宣弘

  • パウロとフィレモンとオネシモ(52)「人にしてもらいたいと思うこと」―赦されたのだから赦し合う―  臼田宣弘

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 神を信じる米国人の割合、過去最低に ギャラップ調査

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(150)そろそろマスクをはずそう! 広田信也

  • 神から与えられた「才能」で一世を風靡した20世紀の偶像<アイドル> 映画「エルヴィス」

  • 米国福音同盟、「ロー対ウェイド」判決覆した米連邦最高裁の判決を歓迎

  • 十字架のネックレスを外すこと拒否して解雇されたクリスチャン労働者が勝訴

  • 希望を失わずに戦争という嵐を乗り切った家族の物語 『あらしの前』『あらしのあと』

  • 苦難に続く栄光 岡田昌弘

  • 聖書と植物(7)麦と毒麦 梶田季生

  • ロシアのウクライナ侵攻は「時のしるし」 レムナント出版代表の久保有政氏が講演

  • 人は愛するため生まれた 菅野直基

  • 米連邦最高裁「ロー対ウェイド」判決覆す、中絶の是非は各州の判断へ

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(1)日本のチャーチスクールを救いたい

  • ロシアのウクライナ侵攻は「時のしるし」 レムナント出版代表の久保有政氏が講演

  • 神から与えられた「才能」で一世を風靡した20世紀の偶像<アイドル> 映画「エルヴィス」

  • 十字架のネックレスを外すこと拒否して解雇されたクリスチャン労働者が勝訴

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(3)子ども8人のビッグダディ

  • 神様のご計画の中を歩んでいるか 加治太郎

  • 癒やしの信仰を拡大させよう 万代栄嗣

  • 沖縄復帰50年 NCC、カトリック正平協が「沖縄慰霊の日」に声明、談話

  • スマホが動くのも量子力学のおかげ? 東工大名誉教授を講師にサイエンスカフェ

  • 神から与えられた「才能」で一世を風靡した20世紀の偶像<アイドル> 映画「エルヴィス」

  • 神を信じる米国人の割合、過去最低に ギャラップ調査

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(1)日本のチャーチスクールを救いたい

  • 米国福音同盟、「ロー対ウェイド」判決覆した米連邦最高裁の判決を歓迎

  • ロシアのウクライナ侵攻は「時のしるし」 レムナント出版代表の久保有政氏が講演

  • 希望を失わずに戦争という嵐を乗り切った家族の物語 『あらしの前』『あらしのあと』

  • フランクリン・グラハム氏、父ビリー氏以来48年ぶりにリオで伝道集会 6万8千人動員

  • 聖書と植物(7)麦と毒麦 梶田季生

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(3)子ども8人のビッグダディ

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(150)そろそろマスクをはずそう! 広田信也

編集部のお勧め

  • 無料で日用品や散髪、ネイルアートなど提供 教会でウクライナ避難民支援イベント

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(1)日本のチャーチスクールを救いたい

  • 被害者が加害者になる連鎖を断ち切るには? 「記憶の癒やし」のラプスレー司祭が講演

  • 必要なのは「キリストの基礎知識」 国分寺の教会が無料のオンライン聖書講座

  • 教会でウクライナ支援コンサート、現地で難民支援するハンガーゼロのスタッフが報告

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 論説委員・編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2022 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.