荒らす憎むべき者 穂森幸一(153)

2020年3月19日10時53分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの「荒らす憎むべきもの」が、聖なる所に立つのを見たならば、そのときは、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。(マタイ24:15、16)

今日、隣の中国で起きている惨状を見ると、出エジプトの時のエジプトと重なっているように思えるのは私だけでしょうか。ユダヤ人を迫害していたエジプトに次々と災難が降りかかりました。家畜の疫病→豚コレラ、鳥インフルエンザなどがあります。いなごの大群→東アフリカで発生したバッタの大群4千億匹が中国国境に迫っています。民の疫病→新型コロナウイルス、武漢を発生源とする新型肺炎のため、幾つかの大都市が閉鎖中、中国全土だけでなく、世界中に感染中です。

中国では公認教会と地下教会がありますが、地下教会に対する迫害は激しく、信者は次々と逮捕され、教会堂は破壊されています。そして拘束中の信者は脳死状態にされ、臓器売買に利用されているというニュースを耳にしてとても心が痛みます。公認教会であっても監視の目があり、十戒の一部を書き換えるようにという指導があるといわれます。「主なる神のみを拝せよ」という箇所に、まず共産党があってその次に主なる神があるというように書き換えさせられていると聞きました。

キリスト教の信者だけでなく、法輪功のメンバーもひどい迫害を受けています。また、チベットやウイグル自治区での弾圧は想像を絶するものがあります。

中国の問題は宗教的迫害だけではありません。経済問題によっても世界中に大きな影響を及ぼしています。急激な経済成長によって世界第2位の経済大国になり、世界の経済を牛耳ろうとしています。アジア各国や欧州の国々は一帯一路構想によって中国に支配されようとしています。港湾施設、道路や鉄道整備のため、多額の資金を高利子で貸し付け、中国が利用権を取り、昔の植民地のような扱いになりつつあるといわれています。イスラエルでさえ、IT企業の買収、港湾施設への投資で社会問題になっています。

中国をこのように巨大化させたのは、日本をはじめとする西側諸国の経済政策の過ちに原因があると思います。今から20年前になりますが、郷土の先輩の紹介で日本を代表するIT企業の幹部の方とお話をする機会が与えられました。その企業は関西の工場を縮小して中国に移転する計画を進めている最中でした。私は「このまま中国移転を進めたら、将来的に日本の産業界の空洞化が起こり、大変困った状況になりますよ」と話しました。その幹部は「日本経済界全体が中国進出のブームになっていて、わが社だけで止めるわけにはいかないんです」ということでした。また、別な社員の証言では、IT部品の製造のために毒性の強い薬品を使うので、環境問題を考えれば莫大(ばくだい)なコストがかかるし、その薬品を用いて働く従業員の健康被害も大きな問題となり、工場を海外移転すれば経費削減になり、会社の収益は改善するという考え方でした。

私は大阪の神学校で学びましたが、その頃の淀川べりは空気汚染がひどくてとても散歩を楽しめる雰囲気ではありませんでした。最近、大阪に行くと、空気もきれいになり生活しやすい状況になっているようです。もちろん環境に関心が高まり、工場の排出基準が強化されたことも大きな理由になります。しかし、工場の海外移転による影響も忘れてはいけないと思います。

もちろん中国に工場移転を進めたのは、日本だけではなく、米国をはじめとする西欧諸国でした。そして文字通り世界の工場として稼働し、空前の経済発展を遂げたのです。しかし、経済成長の裏で、河川や畑の汚染はひどく耕作不能になっている田畑が多く、広い国土を持ちながら食料は輸入に頼っている現状だそうです。

経済成長に比例して軍事費も増大し、周辺諸国に不安を与え、さまざまなあつれきが生じています。南シナ海の不法占拠、埋め立てによる軍事基地化などは経済成長の副産物といっても過言ではないかもしれません。

ある中国人ジャーナリストは「日本はマムシに餌を与えて育てた」と辛辣(しんらつ)な批評をしています。日本の技術移転がなければ、高速鉄道も生まれず、IT産業も発展しなかっただろうといわれます。また経済力によって世界中の技術を集約化し、今や日本を凌ぐものになっています。

日本の産業の空洞化を恐れた日本政府は2千億円という国費を投じて日本ディスプレイという会社を設立し、日本のトップ企業の専門家を集め、IT企業をつくろうとしましたが、うまく立ち行きませんでした。お役所感覚の経営で赤字となり、中国企業に売却されました。結果的には日本の技術がごっそりと持っていかれることになったのです。

そこで、まず初めに、このことを勧めます。すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです。(1テモテ2:1、2)

国家の指導者を批判し、不平をいうのではなく、間違った政策を行わないように心を砕いて祈ることが求められています。経済界の重鎮の動きに腹を立てるのではなく、祈りのうちに注視しなければならないと思います。日本のマスコミのほとんどは、隣の国の表面的なことや一部富裕層のことなどしか報道しないことがあります。地下教会の信者の声にも耳を傾けるべきです。また、声を発することも許されない農村籍の労働者の存在も忘れてはならないと思います。

世界情勢は混沌とし、いつ世界のどこかで戦争が起きてもおかしくない状況です。また、経済も不安定です。リーマンショックの10倍以上の世界恐慌が起きるともいわれます。心を静めて祈り、いざというときは主の山を目指す用意をしなければなりません。

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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