Skip to main content
2025年6月16日19時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
コヘレト書を読む

コヘレト書を読む(19)「罪を犯さない人はいない」―十字架への道を覚えて― 臼田宣弘

2019年3月21日07時49分 コラムニスト : 臼田宣弘
  • ツイート
印刷
関連タグ:コヘレトの言葉(伝道者の書)臼田宣弘
コヘレト書を読む(19)「罪を犯さない人はいない」―十字架への道をおぼえて―臼田宣弘
2019年のレント(四旬節、受難節)は3月6日~4月20日(写真:geralt)

前回、旧約外典のエノク書25章から紀元前3世紀の黙示思想を引用しました。ところで、このエノク書の25章と同じく、紀元前3世紀に書かれたとされる22章には、次のようにあります。

そこでわたしはそのとき、(み使いラファエルに=筆者注)彼について、またすべての者のさばきについてたずねてみた。「なぜ(これらの窪地は=本文注)ひとつひとつ区切ってあるのですか」。彼は私に答えて言った。「この三つ(の区切り・窪地=本文注)は死者の霊魂をより分けるためのもので、同様に義人の魂も別にしてあり、これはその上に光がきらきらする水の泉である」。同様に、罪人が死んで地中に埋められるときのために、区切りができている。彼らは在世中さばきにあわなかった。ここに、大きな悲痛のなかに、彼らの魂は別にしてへだてられ、大いなるさばきと刑罰の日を迎える。のろいを発する者には悲痛が永遠に(ふりかかり=本文注)、彼らの魂には復讐(ふくしゅう)が(ふりかかる=本文注)。彼は彼らをここに永久につないでおかれるだろう。(エチオピア語エノク書22章8~11節、『聖書外典偽典4 旧約偽典2』)

ここには「地下における死者の魂は、生前の善人と悪人では異なる」ということが書かれています。『ユダヤ終末論におけるギリシアの影響』(T・F・グラッソン著)によりますと、この思想はオルフェウス教の影響を受けています(同書50~57ページ)。『オルフェウス教』(レナル・ソレル著)によりますと、オルフェウス教は紀元前6世紀の古代ギリシア世界に発達した宗教で、輪廻転生思想を持っています。人は死ぬとその魂は一定期間地下において暮らし、再び地上において他の人間となるという思想です。地下にいる間は、生前の地上での生き方によって、義人と罪人に分けられるという思想です。「生きているうちに善いことをやっておきなさい」という、いわば「勧善懲悪」の教えです。

前掲の『ユダヤ終末論におけるギリシアの影響』によるならば、この思想がエノク書に引用されて、エノク書22章のような内容が伝えられているようです(同書53ページ)。前回お伝えしましたように、聖書とその周辺書物の「黙示思想」は、紀元前6世紀のバビロン捕囚の時に登場したともいわれますが、この『ユダヤ終末論におけるギリシアの影響』によるならば、「黙示思想は、紀元前4世紀にオルフェウス教などのギリシア思想の影響によって出現したと考えられる」とされています(同書59ページ)。

コヘレト書を読む(19)「罪を犯さない人はいない」―十字架への道をおぼえて―臼田宣弘
オルフェウス教の開祖オルフェウス像(オーストリア・ザルツブルク・ヘルブルン宮殿)(写真:Hans)

紀元前3世紀に書かれたとされるコヘレト書を深く学ぶにあたっては、このことは大変興味深いことです。現在の私には、コヘレトとオルフェウス教の関係を皆様にお伝えする力はありません。しかし、コヘレトはオルフェウス教のようなギリシア思想に対して、防波堤を張っていたのではないか、とも思えるのです。コヘレトが黙示思想に対して一線を画していたのは、ギリシア思想に対抗するという理由によるのかもしれません。あるいは前回お伝えしたように、「終末に逃げるのではなく今を生きる」ことを大切にしているためかもしれませんし、複合的なものであるのかもしれません。

さてそれでは、今回の学びに入ります。

15 この空しい人生の日々に、わたしはすべてを見極めた。善人がその善のゆえに滅びることもあり、悪人がその悪のゆえに長らえることもある。16 善人すぎるな、賢すぎるな、どうして滅びてよかろう。17 悪事をすごすな、愚かすぎるな、どうして時も来ないのに死んでよかろう。18 一つのことをつかむのはよいが、ほかのことからも手を放してはいけない。神を畏れ敬えば、どちらをも成し遂げることができる。19 知恵は賢者を力づけて、町にいる十人の権力者よりも強くする。20 善のみ行って罪を犯さないような人間は、この地上にはいない。21 人の言うことをいちいち気にするな。そうすれば、僕があなたを呪っても、聞き流していられる。22 あなた自身も何度となく他人を呪ったことを、あなたの心はよく知っているはずだ。(7:15~22、新共同訳)

この箇所は、エノク書に見られる、オルフェウス教の「死後に地下において義人と罪人に分けられる」という「勧善懲悪」の思想に、コヘレトが抗しているようにも思えます。「善人がその善のゆえに滅びることもあり、悪人がその悪のゆえに長らえることもある」(15節)、「善のみ行って罪を犯さないような人間は、この地上にはいない」(20節)。こういった点は、「勧善懲悪」思想ではありませんので、オルフェウス教の思想とは相いれないように思えるのです。コヘレトがエノク書やオルフェイス教を知っていればということが前提となりますが、紀元前3世紀のユダヤ教文書であるエノク書(1~36章)や、この時代に流布していたオルフェイス教の思想を、コヘレトが知らなかったとは考えにくいでしょう。

コヘレトは「勧善懲悪」という倫理的な在り方よりも、「神を畏れ敬う」(18節)ことを優先させているのです。善人として生きるよりも、「善人すぎず悪人すぎない道」を生きることを説き、神を畏れ敬うならばそれができると言っているのです。「善人すぎる」(16節)とき、人は「神様、わたしはほかの人たちのように、奪い取る者、不正な者、姦通(かんつう)を犯す者でなく、また、この徴税人のような者でもないことを感謝します」(ルカ18:11)と祈ったファリサイ人のようになってしまうことがあるのです。イエスの教えの中で、神が義とされたのはこのファリサイ人ではなく、「神様、罪人のわたしを憐(あわ)れんでください(同13)と祈った徴税人でした。「あなた自身も何度となく他人を呪ったことを、あなたの心はよく知っているはずだ(22節)とコヘレトが言うのは、この徴税人の祈りのような、「私も罪人であること」を知った歩みをするように勧めているように思えます。

3月6日の「灰の水曜日」からレント(四旬節、受難節)に入りました。私たちは教会暦でのこの季節を特に、私たちの罪のために十字架にかけられたイエス・キリストを偲びつつ、歩んでまいりたいと思います。(続く)

<<前回へ     次回へ>>

◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:コヘレトの言葉(伝道者の書)臼田宣弘
  • ツイート

関連記事

  • コヘレト書を読む(18)「神の業を受け入れよ」―黙示思想の否定なのか― 臼田宣弘

  • コヘレト書を読む(17)「今が大切」―昔の方がよかったのはなぜかと言うな― 臼田宣弘

  • コヘレト書を読む(16)「より良いことは何か」―名声は香油にまさる― 臼田宣弘

  • コヘレト書を読む(15)「人生の貴さ」―存在したものにはすべて名前が― 臼田宣弘

  • コヘレト書を読む(14)「不幸と幸福」―分を受け取って生きる― 臼田宣弘

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.