聖地の宝石 穂森幸一(116)

2018年10月18日16時32分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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都には神の栄光があった。その輝きは高価な宝石に似ており、透き通った碧玉のようであった。(黙示録21:11)

40年前に聖地旅行に行ったときの話です。シナイ山登山に向かう途中、砂漠の民、ベドウィンのテントを訪れる機会がありました。テントの前で遊んでいた男の子にポケットからペンライトを取り出し、見せてあげました。スイッチを点滅するとびっくりしていましたが、「ちよっと待っていてくれ」と言ってどこかに走っていきました。

しばらくすると、水晶を持ってきて「これと交換してくれ」と言っていました。テントの中では、ベドウィンの人たちが銀細工をしていましたが、びっくりするくらい安い値段で分けてくれました。シナイ半島ではさまざまな宝石が産出されますが、銀も採れるということでした。ただ、どこで採れるかは部族の秘密だと言っていました。

イスラエルの民がエジプトを脱出してから40年間シナイ半島を放浪しますが、その間にユダヤ教が確立していきます。祭司の服は最高の織物を用い、宝石の飾りをするように定められました。これは祭司職が神に仕える高貴な働きであり、象徴的な存在であることを表しています。

また、あなたの兄弟アロンのために、栄光と美を表す聖なる装束を作れ。あなたは、わたしが知恵の霊を満たした、心に知恵のある者たちに告げて、彼らにアロンの装束を作らせなければならない。彼を聖別し、わたしのために祭司の務めをさせるためである。(出エジプト記28:2、3)

その中に、宝石をはめ込み、宝石を四列にする。すなわち、第一列は赤めのう、トパーズ、エメラルド。第二列はトルコ玉、サファイヤ、ダイヤモンド。第三列はヒヤシンス石、めのう、紫水晶、第四列は緑柱石、しまめのう、碧玉。これらを金のわくにはめ込まなければならない。この宝石はイスラエルの子らの名によるもので、彼らの名にしたがい十二個でなければならない。十二部族のために、その印の彫り物が一つの名につき一つずつ、なければならない。(出エジプト記28:17~21)

エルサレムはAD70年にローマ帝国によって陥落し、イスラエルの民は世界中に散らばり、放浪するようになります。土地や建物といった財産を管理するのが難しかったため、一番所持しやすい宝石を所持し、いざという時には換金できるようにしていました。そのために世界のダイヤモンドの保持、加工に関しては、ユダヤ人がトップを占めると言われるようになりました。

シリヤ難民の女の子とSNSでやり取りしたことがあります。その人の話によりますと、父親が貿易の仕事をしていたため、財産は十分にあったということでした。すべての財産を宝石に変えて、服に縫い込み、靴の中に隠していると言っていました。幸いその人は脱出先で教会の施設に保護され、クリスチャンになったと聞きました。

ある時の聖地旅行では、イスラエルのダイヤモンド工場が日程に組み込まれていました。私はダイヤモンドを買うようなお金もないし、必要も感じないので、その工場で一つのお願いをしてみました。その工場で保持している最高のダイヤモンドを見せてほしいと頼んだのです。買うことはできなくても、せめて目の奥にしっかりと留めようと思いました。

難しいかなと思ったのですが、了承されて、支配人室に通されました。厳重な警備のもと、ダイヤモンドが運ばれてきて、ゆっくりと見ることができました。支配人は「日本は一番の取引先です。日本に帰ったらこの工場のピーアールをしてください」と言っていました。

私は聖地旅行中に、イスラエルの宝石商の人とふとしたことがきっかけで親しくなりました。その人は「店の営業が終わる頃、遊びに来てくれ。とっておきの宝石を見せたい」ということでした。とても買えないけど、見るだけならいいかと出掛けていきました。

お互いに家族の事や将来の夢などを語り合いました。彼は私の家内や娘の生年月日や性格などを尋ねて、店の奥に行きました。これは私の家内にふさわしいもの、娘にふさわしい石ですと見せてくれました。素敵な色合いと輝きのある宝石でした。

こういうものが世の中にあると分かっただけで有り難いと思いました。しかし、その人は私に譲りたいと言うのです。正直におみやげ代は300ドルしが持っていないと言うと、200ドルでいい、友情の記念だと言うのです。

私が忘れられない宝石商がもう一人います。ラクダに乗って行商していた人です。私はラクダのおじさんと呼んでいます。この人は道端にシートを敷いてキャッツアイなどの石を加工し、指輪や首飾りを売っていました。私が見ていますと、誰のために欲しいのかと聞いてきました。

「家内と娘のためです」と答えると、「1個、1ドルか2ドルでいい」と言うのです。「それではもうけにならないから、もう少し高くしたほうがいい」と提案してあげました。ラクダのおじさんの答えに、私は人生哲学を見た気がしました。「石は自然の産物です。加工は自分でしています。自分はその日食べていけるだけ売れたらいいと思っています」と言うのです。

安いから全部売ってくれと言う人がいましたが、その人は売りたくないと言って店仕舞いを始めました。

乏しいからこう言うのではありません。私は、どんな境遇にあっても満ち足りることを学びました。(ピリピ4:11)

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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