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記憶に残る3人の老人 穂森幸一(115)

2018年10月4日10時11分 コラムニスト : 穂森幸一
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あなたは白髪の老人の前では起立し、老人を敬い、またあなたの神を恐れなければならない。わたしは主である。(レビ記19:32)

私の記憶に強烈に残っている3人の老人たちがいます。私は中学3年の時に教会に通い始めました。田舎の小さな教会でしたが、Kさんという老人はとても印象深い方でした。Kさんは日曜日の礼拝出席を一度も欠かしたことがなく、また遅刻したこともありませんでした。毎日曜日に定刻に教会に来て、必ず最前列に着席し、牧師の説教が始まると持ってきたノートに一心不乱に書き続けていました。

礼拝後、お茶の交わりの時間になっても余計なことは一切話しませんでした。Kさんの口から出る言葉は「感謝します。ありがたいです」だけでした。

Kさんは若い時、アメリカに移住し、苦労に苦労を重ねて、ホテルのオーナーになるほどの成功を収めたそうです。しかし、共同経営者に裏切られ、すべての財産を失って失意のうちに帰国してきたということを聞きました。しかし、恨みがましい言葉や共同経営者を責めるようなことは一切口にしませんでした。

私は中学生の頃、アメリカに憧れを持ち、何とかして留学したいという夢を持っていましたので、放課後にKさん宅を訪問してアメリカの話を聞き、英会話の学びについて相談していました。いつでも快く受け入れてくださいました。「アメリカでホテルを持つほど成功されたのでしょう」と問い掛けても「そういうこともありましたなあ」と笑っているだけでした。私は大人になったらKさんみたいなクリスチャンになりたいと思っていました。

2人目の老人は、40年前に最初の聖地旅行で出会ったベドウィンの老人です。その当時、シナイ半島はイスラエルが統治していました。シナイ山に向かう途中、乗り合いバスに乗っていました。私の隣の席に座っていた老人と仲良くなり、お話をすることができました。その老人の話によると、ベドウィンは遊牧民族なので、イスラエルやヨルダンなど国境線に関係なく移動が認められているということでした。また、砂漠で生活し、家族を守っていかなければいけないので家長は勇敢な勇士だそうです。

ベドウィンの老人は、実際には70代なのに50代にしか見えませんでしたので、その理由を訪ねました。するとオリーブの一番搾りの上澄みの部分を毎日飲んでいるからだと説明してくれました。オリーブのバージンオイルを飲んでいるから、病気になることもないし、ケガをしても治りが早いと言っていました。ただ、小さい子どもの頃から飲む習慣がないと体が受け付けないと教えてくれました。

バスが途中で停車し、イスラエル軍の検問があるということで、私は不安を感じていました。その老人は、「自分にやましいことがなければ、常に堂々としておればいいよ。相手が兵士だろうが誰だろうが恐れる必要はないよ」と言いました。堂々とした立ち居振る舞いにとても感銘を受けました。

3人目の老人は、イスラエルのユダヤ系のホテルで出会った方です。ホテルの朝のバイキングに行くと、料理が並んでいる隣の列に大きな鍋に入ったヨーグルトが30種類ほどありました。見た目はおいしそうでしたが、その当時の私はヨーグルトが苦手で、砂糖を混ぜなければとても口にできませんでした。

すると一人の老人が話し掛けてきて「砂糖なんか入れたらだめだよ。そのまま食べるのがいいんだよ」と言いました。ヨーグルトの数の多さに驚いていることを伝えますと、「本当は100種類くらいあるんだよ。その中で自分に合うのを見つけるんだ。今は食べられなくても、年取ったら必要になってくるよ」と話してくれました。

私自身が年老いてくると、イスラエルの老人の言葉を思い出します。腸の働きが弱ってくるとヨーグルトが欲しくなります。今だったら、ヨーグルトの鍋の前に喜んで並び、砂糖なしで食べられます。老人の言葉や行動は若者の心に届き、残っています。老人は特に何もしなくても、そこに存在するだけで若者の指針となっていきます。

しらがは光栄の冠、それは正義の道に見いだされる。(箴言16:31)

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◇

穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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