Skip to main content
2025年10月31日21時19分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(54)なかなか見つからない「赦し」を表現する適当な言葉 浜島敏

2018年9月3日14時42分 コラムニスト : 浜島敏
  • ツイート
印刷
関連タグ:浜島敏

「赦(ゆる)し」(forgiveness)

赦しとは、和解を霊的に伝達する手段です。罪の壁は、人をその創造者から隔ててしまいましたが、神がその御子の死によって表してくださった赦しによって打ち壊されました。しかし、この受けるにはもったいないほどの赦しを表現する適当な言葉は、なかなか見つかりません。

シピーボ語では、現地の助手が「見ないで通り過ぎる」という言葉はどうかと申し出ましたが、ただ偶然見なかっただけかもしれません。次に出た語は「・・・のことを考えない」でしたが、これは「避けている」ことになってしまいます。他に「借金の棒引き」という表現も出てきましたが、これは赦しという霊的な意味を十分伝えられません。

最後に「こすって消す」(とか「消す」)という語が選ばれました。この語は、罪がどんなものであるかを認めた上で、神が意識的にその罪を除けて、もう存在しないようにしてくださることを表しています。

サン・ブラスの人たちは、もう一歩踏み込んでいます。赦しは「悪い心を消し去る」ことだと言っています。神が赦してくださるのは、罪の一つ一つの行為だけではなく、心にへばりついている罪悪感(原罪)をも赦してくださるのです。「悪の心を消し去る」というのは、この罪悪感が取り除かれて赦されることを示しています。

コロンビアの北からメキシコ湾まで伸びて枝分かれしている岬に住んでいるゴアヒロ人は、赦しは「罪を過ぎ去らせる」ことだと言っています。すなわち罪が過ぎ去って、もう無くなってしまっていることを表しています。コートジボワールのバウレ人は同じような表現を使い「自分の罪を去らせる」と言っていますし、メキシコのウイチョル人は「神が人の罪を取り去られる」と言っています。

リベリアのクペレ人たちは赦しを「罪に背を向ける」と言います。これは、人が罪を軽蔑し拒むことであると考えがちですが、そうではありません。そうではなくて、他人の罪を責めないことを言っているのです。

神は私たちを赦してくださり、私たちの罪をもう見ないとおっしゃるのです。従って、神はそれに背を向けられるのです。バロー・エスキモーは、赦しを「今からずっと無視する」という意味であると言います。これは、罪はうわべをごまかしたり、別の名前で呼ぶのではなくて、罪を赦す人とは、意識的に罪を無視する人のことです。

赦しを表す表現の中には、本当の意味が分からないと混乱を招くようなものもあります。例えば、ナバホ人は赦しを「罪をその人に返す」と言います。これだと、罪と悪を積み重ねるだけのように思われます。しかし、ナバホの慣用句はそういう意味ではありません。そうではなくて、ある人が誰かに罪を犯したら、傷つけられた側は罪を捕まえたことになります。

傷つけられた側が「罪を彼に返す」ことになれば、すべてが元通りになって、罪を犯す前のようになるということです。そして、罪を行った者は、完全に無罪となるのです。これが神の赦しの神秘でもあります。神は赦された罪人をご自身との交わりの中に入るのを赦してくださるのです。

ある言語では、赦しは赦しを与える側の性格を表す言葉で表現します。南部メキシコの山地に隠れてしまっているような小さな部族トゥリケ族は、赦しを「大きな心を持つ」ことだと言います。

もっと南のツェルタル族は、「神はご自身の心の中で私たちの罪を見失ってくださる」と言います。神の心はとても広く、神の愛の容量はとてつもなく大きいので、すべてを包み込んでしまいます。神は「私たちの罪をご自身の心の中で見失ってしまわれる」のです。

「恵み(恩寵)」(grace)

神の赦しの神秘を説明してくれるのが神の恵みです。西アフリカのキスィ族とフタフラ族とは、恵みを簡単に「良いこと」(優しさ・親切さ)と言っています。神の優しい心が私たちに恵みを与えようとさせたのでしょう。しかし一般的に言って、恵みの定義には、もう少しはっきりした言葉を使って表しているものが多いようです。

例えば、東南アフリカのツワ人たちは、恵みを「・・・に好意をもって見る」と言っています。サン・ブラス語の慣用句もこれと似ていて「神は私たちを良く見てくださる」と言います。これは、人には真の良きものが備わっていると言っているわけではありません。ただ、神は本当はどんな状態であっても、それに関係なく、人を良いものと見てくださるということです。恵みというのは、外側の罪の奥にある悔いて砕かれた心を見る態度であります。

「恵み」の意味は、第一義的に「好意を与える」ことから来るものであると考えることもできます。恵みのこの一面を表現するのに、バロー・エスキモーは「憐れみから来る助け」と言っています。

メキシコ湾に面した山々の東斜面に住んでいるトトナック人は、恵みを受けた者の応答に注目しています。彼らは「感謝する価値のあるもの」という慣用句を使っています。神の恵み・恩寵は、まったく価値のないものに対する分不相応の憐れみを受けたものとして、その魂は感謝すべきであることを表しています。

恵みは、贖(あがな)いの過程全体に広く行きわたるものであり、いろいろな見方があることになります。ある人は、「神の優しさ」であると見なし、ある人は、「好意をもって見る」ことと考え、また他の人は受け取る恩恵、すなわち「憐れみから来る助け」と、さらに別の人は、恵みの中に「感謝している心の応答」という意味があると考えます。

恩寵というのは、これほど包括的なものであるので、いろいろな翻訳があって当然でしょう。恵みは見たり、いじったり、寸法を計ったり、切断したりするものではありません。恵みとは、天を満たしている霊的なかぐわしい香りが、憐れみの故に地上にまで降ってきたものなのです。

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

■ 【浜島敏著書】(Amazon)
■ 【浜島敏著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:浜島敏
  • ツイート

関連記事

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(53)救い主は「私たちの手を取ってくださる方」 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(52)「悔い改め」と「回心」 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(51)感謝のない人は「くちばしを拭いている人」 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(50)忍耐は「待つ心」 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(49)「心に適う」「怒り」「平和・平安」 浜島敏

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • ワールドミッションレポート(10月31日):エジプト 福音の力—何世代にもわたる暗闇を撃破(1)

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • ワールドミッションレポート(10月30日):イエメン 苦難はあれど希望は消えず

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(250)聖書と考える「推しの殺人」

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(6)恐れずに主の導きに従う 加治太郎

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ

  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 花嫁(36)薄明かりの祈り 星野ひかり

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • 中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.