Skip to main content
2025年10月29日14時47分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
コヘレト書を読む

コヘレト書を読む(2)「真理の言葉」―修辞法に考慮しつつ― 臼田宣弘

2018年6月21日10時22分 コラムニスト : 臼田宣弘
  • ツイート
印刷
関連タグ:臼田宣弘コヘレトの言葉(伝道者の書)

コヘレトは知恵を深めるにつれて、より良く民を教え、知識を与えた。多くの格言を吟味し、研究し、編集した。コヘレトは望ましい語句を探し求め、真理の言葉を忠実に記録しようとした。賢者の言葉はすべて、突き棒や釘。ただひとりの牧者に由来し、収集家が編集した。(12:9~11、新共同訳 / 新共同訳聖書旧約P1048、新改訳聖書P1115、2017版P1154)

前回、1章1節をお読みしました。「エルサレムの王、ダビデの子、コヘレトの言葉」。これによって「コヘレト書は伝統的にはソロモン王の言葉集とされていたが、今日の聖書学においては、この書はもっと後代のコヘレトとされるある賢人の言葉集であるといわれている」とお伝えしました。ところでこの1章1節は、コヘレト自身の言葉ではなく、弟子による編集の言葉であるとされています。「エルサレムの王、ダビデの子、コヘレトの言葉」と3人称で書かれていますから、他者によって書かれたことは感じられます。

ところで、コヘレト書は「修辞法」を多用していることが知られています。当該箇所でお伝えすることになると思いますが、3章1~17節は大変綺麗な「集中構造」という修辞法によって書かれています。コヘレト書では集中構造の他にもう一つ、「インクルージオ(囲い込み)」といわれる修辞法も使われています。「文章の最初と最後が対称形になっていて、その間の部分を囲い込んでいる」ということです(ただし、集中構造はインクルージオの1つといえるかもしれません)。

コヘレト書を最後まで読みますと、12章8節で1章2節と同じような言葉が繰り返されていることが分かります。1章2節は「コヘレトは言う。なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい」ですが、12章8節は「なんと空しいことか、とコヘレトは言う。すべては空しい、と」です。よく似た言葉です。この2つが対称形となっていて、その間を囲い込んでいるのです。この修辞法が「インクルージオ」と呼ばれるものです。

そうするとどうでしょうか。1章2節と12章8節の外側の言葉も対称形になっていると考えられないでしょうか。私は12章9~11節が1章1節の対称箇所に当たると考えています。これもまたインクルージオ構造となっているのです。ただ、コヘレト書全体の結びの言葉である、その後の12章12~14節は、インクルージオ構造の枠外になると考えられます。

コヘレト書のインクルージオ

A´ 1:1 エルサレムの王、ダビデの子、コヘレトの言葉。
B´ 1:2 コヘレトは言う。なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい。

1:3~12:7

B´ 12:8 なんと空しいことか、とコヘレトは言う。すべては空しい、と。
A´ 12:9~11  ・・・コヘレトは望ましい語句を探し求め、真理の言葉を忠実に記録しようとした。・・・

聖書を読む場合、通常は1章1節の次は1章2節を読みますが、インクルージオ構造の場合は、対称箇所を先に読むという読み方もアリです。そう読んだ方が、囲い込まれている部分をより理解しやすくなるのです。ですので今回は、前回の1章1節の次に、対称箇所である12章9~11節を読んで、それから次回の1章2節に進みたいと思います。

この12章9~11節も、1章1節同様、コヘレト自身の言葉ではなく、弟子による編集の言葉であるといわれています。「コヘレトは」と3人称で書き出されていますから、そう読むのが自然でしょう。おそらく1章1節と同じ編集者によるものではないでしょうか。ともあれ、12章9~11節を1章1節につなげて読むならば、コヘレトという人がどういう人であるかを「編集者から説明してもらえる」といえると思います。

新共同訳聖書の12章9節前半「コヘレトは知恵を深めるにつれて、より良く民を教え、知識を与えた」は、翻訳が適切ではないと思われますので、原典に忠実に「コヘレトは知者であった上に、常に民に知識を教えた」と私訳しておきます。コヘレトは知者であったのです。前回書きましたように、コヘレトは、イスラエルがプトレマイオス王朝支配下にあった紀元前3世紀に生きた人であるというのが、今日の聖書学での定説です。アレクサンダー大王が東方遠征により広大な領土を築き上げた後の人です。

エジプトでは、プトレマイオス王朝の首都アレクサンドリアが繁栄していました。アレクサンドリアは、ギリシャ文化が融合された街です。1章7節に「川はみな海に注ぐが海は満ちることなく、どの川も、繰り返しその道程を流れる」と記されている川は、海に注いでいるため、パレスチナの川ではなくナイル川が想定されるとして、「コヘレトはアレクサンドリアに留学経験があったのではないか」とする聖書学者もいます。私もそのように考えています。

いずれにしても、コヘレトあるいはその弟子がギリシャ文化を知っていた可能性は十分にあるのです。ヘブライの書物だけでなく、東西の書物を集め、探求し尽くした知者であったのです。9節後半の「多くの格言を吟味し、研究し、編集した」が、ギリシャの詩人テオグニス(紀元前6世紀末~5世紀前半)の言葉と一致するとの説もあります(関根正雄著作集第5巻444ページ)。もしそうであれば、コヘレトあるいはその弟子がテオグニスを知っていたということです。私は、コヘレト書の中に見られるギリシャ的思想にも関心を持っています。

10節には「コヘレトは望ましい語句を探し求め、真理の言葉を忠実に書き記した」(下線部は私訳)とあります。コヘレトは著述家だったのです。「古今東西の書物を集め、探求し尽くし、真理の言葉を忠実に書き記した」のです。「真理の言葉(複数形)」は、七十人訳(ギリシャ語訳)聖書では「ログース アレーセイアス(λόγους ἀληθείας)」ですが、これはパウロの言う「真理の言葉、神の力によってそうしています」(コリント二6:7)の「真理の言葉(単数形)」と、複数形と単数形の違いはあるものの同じです。私は、コヘレトは古今東西の書物を集め、それらを探求しながら「真理の言葉・神の御業」を見いだし、書き記した人であったと考えています。

11節「賢者の言葉はすべて、突き棒や釘。ただひとりの牧者に由来し、収集家が編集した」。突き棒というのは、飼い主が家畜をつつく棒のようです。釘と共に痛いもののことでしょう。コヘレトが探求した言葉の中には、厳しいものもありました。しかし「ただひとりの牧者」(詩編23編参照)から与えられたプレゼントを、この書の中に見いだしてほしいという、編集者の願いがここには込められているように思えます。

コヘレト書を「哲学の書」と捉える解釈もあるようですが、私はそのようには考えません。この書は「神の言葉の書」です。またコヘレトを厭世(えんせい)主義者と捉える解釈もありますが、そのようにも考えません。世界の厳しい現実と向き合い、呻吟(しんぎん)しながらも、神様から与えられるプレゼントを、喜んで受け取ることのできる人生の素晴らしさを、知っていた人であったと考えています。コヘレトが「真理の言葉」と語る神様からのプレゼントを読み味わっていきたいと思います。

<<前回へ     次回へ>>

◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:臼田宣弘コヘレトの言葉(伝道者の書)
  • ツイート

関連記事

  • コヘレト書を読む(1)「集める人」―書名・著者・執筆年代について― 臼田宣弘

  • 「標準訳」はどんな翻訳に? 名古屋で日本聖書協会が懇談会(2/2)新訳でコヘレトの言葉はこうなる

  • エジプトで発見のマルコ福音書断片、「1世紀説」否定される 世界最古めぐり議論

  • 【聖書クイズ】旧約聖書の中に書かれていない鳥はどれ?

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(250)聖書と考える「推しの殺人」

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(6)恐れずに主の導きに従う 加治太郎

  • 私たちを生かす主キリストの御業 万代栄嗣

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 約250校の子どもたち数千人が「主の祈り」を唱和 英イングランド

  • 「迫害下にある教会のための国際祈祷日」 WEA・JEAが呼びかけ

  • 日本聖公会首座主教・主教会が「京都事件」の書簡発表 元牧師が性加害、教区が2次加害

  • 神の前に高ぶらないで生きよう 菅野直基

  • 私たちを生かす主キリストの御業 万代栄嗣

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明

  • イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.