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ナッシュビルからの愛に触れられて

ナッシュビルからの愛に触れられて(5)from gospel to Gospel 青木保憲

2017年7月18日08時21分 コラムニスト : 青木保憲
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関連タグ:青木保憲東日本大震災
ナッシュビルからの愛に触れられて(5)from gospel to Gospel 青木保憲+
シンガーのモリース・カーター

来日したクライストチャーチのメンバーは6人。ピアニストのクリストファー・フィリップス、シンガーのモリース・カーター、トランぺッターのリーフ・シャイア、ここまでは分かる。加えて広報担当のフォトグラファー、ジョシュア・マクリード。彼が広報担当ということなら、必要な人選であろう。

しかし、後の2人は不可解だった。ピアニストのクリストファーの奥さんアマンダ(家族で日本体験がしたかったというなら、何とかギリギリ分かる)、そして、音楽学校の先生をしているというウェイン・ヒルトン。彼に至っては、別に何をするということもなく、ただほほ笑んでいるだけだった。

来日は6人だが、残りの3人は表舞台には立たないという。このメンバーを見たときの私たちの感想は、「このメンツ(たった3人)で何ができるのか?」であった。しかし、この考えがまったくの的外れであったことが、やがて分かるようになっていく。

彼らが奏でる音楽は、今まで私たちが聴いてきたどのサウンドとも異なっていた。それでいて、とても懐かしさを感じさせる心地よさがあった。その大きな要因の1つとして挙げられるのは、彼らの教会のルーツが当時の京都の教会のそれと同じだったことである。

私たちが教会で慣れ親しんできた讃美歌、聖歌、CCMを彼らも知っていた。だから同じ楽曲を日本語と英語で歌うことができたのである。そう考えてみると、音楽は本当にすごい。国境を越え、人種を越え、さらに世代をも越えて共通の輪を創り出す。

来日2日目に行われた水曜祈祷会では、集った多くの者が感動を覚え、涙した。異国の自然災害の報を受け、復興支援に協力しようと太平洋を渡る決断をしてくれた彼らに、あらためて感謝の念が湧き上がってきたのである。

ナッシュビルからの愛に触れられて(5)from gospel to Gospel 青木保憲
トランぺッターのリーフ・シャイア

この日から怒涛の10日間が始まった。「ナッシュビルのミュージシャンたちとゴスペルを歌いたい人、大募集!」と声を掛けたところ、予想外に多方面から多くの方々が集まってくれた。また、チャリティーコンサートの会場を知り合いの各教会に打診したところ、ほとんどが快く会場提供をしてくれた。舞台は整った感じである。

チャリティーコンサートの会場は、京都、大阪、金沢、そして東北にまで及んだ。特に東北は南三陸の歌津中学校へ出掛けて行った。この中学校は、最も津波被害の大きかった所であり、いまだに家族や兄弟の安否が分からない学生たち、地域の方々が大半であった。

小型バスで到着した私たちがまずびっくりしたのは、体育館にうず高く積まれた日用品の品々と、申し訳程度にマットレスで仕切られた間取りであった。体育館の中に、本当に100人以上の方々が生活していたのである。彼らを前にして、クライストチャーチのメンバー、加えてボランティアの日本人急造クワイアは30分ほど歌った。最初はうつろな目を向けていた被災地の方々であったが、次第に気持ちの入った拍手が所々で沸き起こるようになってきた。

ミニコンサートの後半部分、有名な「驚くばかりの(アメリジング・グレイス)」と、彼らが日本の被災地のためにと選曲した「ヒーリング・ハズ・ビガン(主の癒やしが今)」を歌ったときのこと。体操座りをして聞いていた女子中学生の何人かが涙を流し始めた。さらに、高齢の方々が顔を手で覆い、何かつぶやく姿が見受けられた。

ナッシュビルからの愛に触れられて(5)from gospel to Gospel 青木保憲
ピアニストのクリストファー・フィリップス

コンサートの後、私たちが身支度をしていたときのこと、1人のお婆さんが近寄ってきた。そして「あの、今歌ってくれた外人さんと話したいんだけど」と言われた。私は早速、モリース・カーターを呼んできた。彼はアフリカ系アメリカ人で、しかも岩のように大きな体であったため、目の前に立ったお婆さんはまるで子どものようであった。

彼女はこんな話をしてくれた。「私は津波で主人と息子を失いました。親戚もまだ行方不明です。生活が一変してしまった。もう絶望で、ただ海ばかりを見ながら、息を吸って、吐いて・・・ただぼんやりと生きてきました。でも今日、あなたの歌、ほらあの有名な賛美歌?(アメイジング・グレイスのこと)を聞いたとき、なんか、希望持って生きようと思えました。今日はありがとう・・・」

この内容を、拙い通訳であったが私は必死でモリースに伝えた。彼はこれを聞きながら涙を流し出した。そして彼女の手を取り、祈り始めたのである。そこで3人で輪になってしばらく祈るひとときを持った。もちろんこのお婆さんはクリスチャンではない。でも同じような思いで、いまだ想像したこともない「キリスト教の神様」に心を向けていた。そして何度も手を合わせながら、私たちの前から去っていったのである。

歌のうまい下手ではない。もちろん、彼の歌とクリスのピアノ、リーフのトランペットは特別な響きである。だから音楽的に素晴らしいことは分かる。だがそれを越えるもの、ゴスペルという音楽だからこそ伝えることのできる本質が、はっきりとした形で私たちの前に提示された瞬間であった。

日本では、多くのゴスペルフリークが存在する。それに対してキリスト者たちは「本物のゴスペルは、クリスチャンにならないと分からない」とうそぶく。しかし、その物言いがいかに傲慢(ごうまん)で、ゴスペルの本質からズレたものであったか、この歌津中学訪問の体験を通して私は教えられた。

ナッシュビルからの愛に触れられて(5)from gospel to Gospel 青木保憲
フィリップス夫妻

そしてこの時、1つのフレーズが私の心に生まれた。それは「from gospel to Gospel」である。音楽として、歌としてのゴスペル(gospel)を歌うことが、実はその本質である神の福音(Gospel)を最も人々の前に分かりやすく提示することになる、という逆説的な表現である。

でもこういったことが本当にあるということを、私はこの時に体験した。このキャッチフレーズは、それから数年後に立ち上げることになるJAG(Japan Association for Gospels)で結実することになるのだが、それはまだ先の話となる。

歌津中学を後にした私たちは、そのまま仙台市内へと向かった。それは、市内で最も人通りの多い場所で、ストリートコンサートをするためであった。(つづく)

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◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:青木保憲東日本大震災
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