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ワールドミッションレポート

ワールドミッションレポート(7月16日):モロッコ 沈黙を強いられる改宗者たち─伝統と民族意識の見えない牢獄

2026年7月16日23時28分 執筆者 : 石野博
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関連タグ:モロッコ
ワールドミッションレポート(7月16日):モロッコ 沈黙を強いられる改宗者たち─伝統と民族意識の見えない牢獄+
モロッコのマラケシュにあるジャマ・エル・フナ広場(写真:Luc Viatour / CC BY-SA 3.0)

北アフリカの最西端に位置し、美しい異国情緒で多くの観光客を魅了するのがモロッコだ。しかし、今年モロッコは、オープンドアーズの「ワールド・ウォッチ・リスト」で23位にランクインした。

同国は、キリストに従う者たち、特にイスラム教から改宗した現地の人々(MBB)にとって、「見えない牢獄」となっている。モロッコほか、多くのイスラム教国でも同じ傾向が認められるのだが、そのような国々では、イスラム教は単なる宗教ではなく、国家と社会を束ねる絶対的なアイデンティティーとなっている。

そのため、外国人のキリスト信者が自らの共同体の中で信仰を持つことはある程度容認されているが、これがモロッコ人の場合だと、事情が大きく異なる。彼らがキリスト教に改宗することは、国家と民族に対する「裏切り」として激しい迫害の対象となるのだ。

モロッコの刑法は、イスラム教徒の信仰を変えようとするあらゆる試み(伝道活動や聖書の配布など)を固く禁じており、違反者には最長で3年の禁固刑が科される。教会が建物を有することは、公式には認められておらず、現地語で印刷されたキリスト教の書物を手に入れることは極めて困難だ。

さらに、国家の監視以上にMBBの信者たちを苦しめているのが、伝統的な社会からの重圧だ。イスラム教からキリスト教への改宗が発覚すれば、彼らは家族から激しい暴力を受け、相続権を奪われ、地域社会から完全に排斥される。

特に、地方や農村部に住む改宗者への風当たりはすさまじく、彼らは命の危険にすらさらされ、自分の信仰を隠して生きることを強いられる。子どもたちは学校でイスラム教教育を受けることが強制され、親が家庭内で福音を教えることさえ、周囲に密告されるリスクを伴う危険な行為なのだ。

このような徹底した監視と孤立の中で、モロッコの信者たちはどのように信仰を保っているのだろうか。彼らの多くは、迫害のリスクを冒しながらも、数人単位の小さな「家の教会」で密かに集まっている。

また近年では、インターネットや衛星放送が、極めて有効な福音へのアクセスとなっている。直接顔を合わせることができなくても、彼らはオンラインの交わりを通して互いを励まし合い、御言葉を分かち合いながら、静かに、しかし力強く信仰の根を張っているのだ。

「私たちは見捨てられていない」。沈黙を強いられながらも、画面の向こうに同じ信仰を持つ兄弟姉妹がいるという事実は、彼らに計り知れない励ましと勇気を与えていることだろう。

使徒パウロもこう証しする。

しかし、主は私とともに立ち、私に力を与えてくださいました。それは、私を通してみことばが余すところなく宣べ伝えられ、すべての国の人々がみことばを聞くようになるためでした。こうして私は獅子の口から救い出されたのです。(Ⅱテモテ4:17)

大きなリスクを背負ってキリストに立ち返ったモロッコの兄弟姉妹のために祈ろう。イスラム教から改宗し、家族や社会からの激しい迫害の脅威にさらされている信者たちの上に、主の力強い守りがあるように。信仰を隠して生きなければならない孤独な信者たちが、ネットや衛星放送を通して神の言葉に触れ、孤立感から解放され、霊的成長を遂げることができるように。

そして、危険を冒して家の教会で集まっている小さな群れが当局の目から完全に守られ、同国に信仰の自由が法的に認められる日が速やかに訪れるよう、祈っていただきたい。

■ モロッコの宗教人口
イスラム 99・9%
プロテスタント 0・02%
カトリック 0・07%
ユダヤ教 0・02%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。

※ この記事は、石野博牧師の「ワールドミッションレポート」を、若干の編集を加えた上で転載したものです。
関連タグ:モロッコ
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