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トランプ大統領指揮下の米国 問題は「分断」ではなく「根幹のメルトダウン」! 青木保憲

2017年2月24日14時33分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:ドナルド・トランプ難民青木保憲
ドナルド・トランプ米大統領+
ドナルド・トランプ米大統領(写真:ホワイトハウス)

米国新大統領が誕生して1カ月余りがたった。選挙中からトランプ大統領に対してさまざまな報道がなされてきた。外交や国際政治の専門家からは「大統領選挙のための戦略」であって、実際に彼が発言したことを実行に移すことはあり得ないのではないかと言われ続けてきた。

つまり「移民排除」や「メキシコとの国境に壁を造る」発言などは、支持者を増やすためのある種方便であって、選挙後にはいくらかの方向転換をするのでは、それくらい聴衆を意識して行動するスマートな感覚を持ち合わせているのがトランプ氏だ、という論調である。米国のシステムを鑑みると、確かにそのような識者の発言は一応の説得力を持っていると言うことができる。

しかしご存じの通り、米国は大混乱の渦中にある。トランプ大統領が具体的にイスラムの多い7カ国を指定し、その国からの入国を禁じたのである。この時期に入国して来る人々は不運としか言いようがない。

米国の国際空港は騒然とし、さらに諸外国のハブ空港では、その余波で国際線への乗り継ぎを拒否せざるを得ない、という異常事態が発生している。日本でもJALやANAがその煽りを受けて、「本意ではないが」と前置きをしながら、中東からの乗り継ぎ客に飛行機への搭乗を断り始める一幕もあった。

これに対して連邦裁判所が大統領令の違憲性を指摘し、この法令の無効を宣言した。これを受けた各州は、指定された国からの旅行者(移民者)を受け入れることになった。

しかし、テキサス州のように、大統領令を合憲とした見解を示すところも出現し、米国は「多様性を認め諸民族に門戸を開く」か「既存民族を中心にして移民を排除するか」で揺れ動いている。トランプ大統領も連邦裁判所の判決を不服として、新たな大統領令を発布することを考えているという。

詳細は省くが、以上がおおよそ現在の米国で起こっている「問題」である。

さて、このような現状に対し、日本の多くのマスコミは「米国の分断、深まる」という論調で、多様性を認めるリベラリズムと既存民族の既得権益を守ろうとする保守派との対立、そしてこれに伴う「分断」が進行しつつある、と評している。

しかし、筆者はこの「分断」という表現に納得がいかない。果たして米国は赤(共和党より)と青(民主党より)に分断しつつあるのか。むしろ、もっと大切な国家機能が溶解(メルトダウン)していると捉えた方がいいのではないだろうか。

筆者が最も違和感を受けるのは、マスコミの論調に「アメリカ(United States of America)とは、異なる者たちが寄り集まっている実験国家である」という認識が欠落している点である。各州が自治権を持ち、税率から刑法に至るまで50州全てが大小さまざまな点で異なっているのである。

そういった意味では、国の形態そのものに「分断」が前提とされているのである。だから「米国の分断が進む」と言われても、これは「年老いた老人の年齢が高くなっている」と言われているような感じがして、居心地が悪くなる。

では、そのような米国を1つにつなぎ止め、まるで「1つの国家」のように思わせてきたものは何か。それは「神の下にある国家」という概念である。

このことを端的に示す映画がある。クリスマスになると米国では必ずどこかの家庭で視聴されるという名作、「34丁目の奇跡」がそれである。これはテレビや映画などで何度もリメイクされ、「クリスマス・キャロル」と並んで古典中の古典と言ってもいい。

劇中で議論となるのは、「サンタクロースは本当にいるのか」ということ。一見バカバカしい物語に思えるだろう。大人であれば、サンタクロース(北欧に住んでいて、トナカイに乗って、クリスマスに子どもたちにプレゼントを配るおじいさん)など存在しないことはよく知っている。

しかし「サンタクロース」に込められた人々の願い、つまりフィクションが生み出す「現実的な影響力」を否定することはできない。クリスマスがこれだけ大きなイベントとなり、この時期に多くの「愛」が形を伴って手渡されている。つまり、フィクションが現実をけん引しているのである。

1994年、「ホーム・アローン」シリーズのジョン・ヒューズ版「34丁目の奇跡」では、法廷で「サンタクロースは存在する」ことを証明する場面が登場する。その時、主人公は米国1ドル札を手に取り、こう言う。「私たちはこの紙幣を信用し、使っています。この紙幣の信用はどこから来るのか? こちらをご覧ください(と言って紙幣のある部分を拡大する)」。そこにはこう記されていた。

「In God We Trust(私たちは神を信じる)」

「アメリカは、目に見えないけれど確かに存在する神を信じることを公表してはばからない国家です」と述べ、その私たちなら、サンタクロースの存在を受け止めることができるではないか、と訴えたのであった。

これが陪審員のみならず、国民の心の琴線に触れ、「米国はサンタクロースが存在することを認める」という判決が下される。ファミリー向け映画なので、幾分ファンタジックになることは否めないが、「サンタクロースがいてよかった」と思わせるリアリティーは確かに存在する。

「人が生きるためには、夢や希望が必要不可欠である。その夢や希望が目に見えないものだからこそ、私たちはこれを信じることができる」。このような受け止め方が、米国の根幹には確かに存在する。この物語展開こそ、米国の米国たるゆえんである。

話をトランプ政権に戻そう。従来、移民を受け入れるということは、彼らが抱く夢を国家として受け入れ、それを米国で実現できるチャンスを提供しますという隠れたメッセージを発信することになっていた。

もちろん成功を保証するものではないため、失敗や挫折を体験して、去っていく者もある。しかし、機会を均等に提供するという建前は、事実とは異なる状況がたとえあったとしても、「大義」としては存在していた。

それは「人権」と同じく、神から私たち人間に与えられたものであり、誰も奪うことのできないものとして認められてきた。この多様性を保証してきたのが「神(GOD)」という言葉の中身である。

キリスト者が75パーセントを超える米国において、「神」と言えば「キリスト教の神」が当然イメージされている。しかし大統領や政治家など、公の発言をするものは決して「イエス・キリスト」とは言わない。

なぜなら、それを言うとキリスト教以外の者を不当に差別することになるからである。「神」という多様性を認める用語で、お互いが受け入れ合えるというフィクションを構築し、その共通の思いを受け入れることで現実を造り出してきたのである。

これは、サンタクロースの存在を認め、それを受け入れることで現実の「クリスマス」を楽しむことと似ている。サンタクロースもそれ以上突っ込んで、その姿かたちや国籍を特定したり、どうやって一晩でプレゼントを子どもたちに配るのか科学的に検証したりはしない。

同じように、神の中身を問うことはしない。皆が思い思いに描く「神」の下に、人々が共通の未来を思い描くことで、現実的な国家「アメリカ合衆国」は活動を続けてきたのだから。

だが現在の米国は、この大義が揺らいでいる。これは一枚岩であったものに亀裂が走る「分断」などという現象ではない。もともとばらばらであったものを1つにまとめ上げていた「扇の要」が消失しようとしているのである。

フィクションに前向きなリアリティーを与え、各ピースをつなぎ止めてきた変換装置が、溶けてなくなって(メルトダウン)しまうようなものである。そうなると先にあるのは「分断」などという生易しいものではない。

1枚の絵になっているジグソーパズルをケースから取り出し、枠を取り払って裏返したらどうなるか。ピースはバラバラになってしまう。それは、米国が United States として存在してきた今までの過去を捨て去ることにつながる。

だからそうならないように、キリスト教福音派を中心とした宗教保守勢力はトランプ氏にすり寄ろうとしているし、彼の行状があまりにもキリスト教倫理から外れているが故に、トランプ氏を大統領として立てた神に、より熱心に祈ろうとしている。福音派は決して心から喜んでトランプ大統領を支持しているわけではない。

米国は今、分断しつつあるのではない。根幹がメルトダウンしつつあるのだ。

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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