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「ありがとう」か「あたりまえ」か 佐々木満男

2026年6月5日16時24分 コラムニスト : 佐々木満男
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1. 感謝の反対は?

「『感謝』の反対は何だと思いますか」とある人から聞かれた。しばらく考え、「『忘恩』とか『恩知らず』とかですか」と答えた。「いや、違います。『感謝』は『ありがとう』という意味ですが、『ありがとう』の反対は『あたりまえ』ですよ」と言われ、なるほどと納得した。

「ありがとう」は「有り難い」ということであり、「あたりまえ」は「当然だ」すなわち「そうあるべきだ」ということである。まさにそれらは、真逆である。

例えば、人に親切にされたことを「有り難い」と思えば、感謝する気持ちが自然に湧いてくるが、それを「あたりまえ」だと思えば、感謝する気にはなれない。それは、言い換えれば、「謙遜」か「高慢」かの違いでもある。神は「謙遜」な人を受け入れられ、「高慢」な人を退けられる(箴言29:23)。

神が人となられたキリストご自身が、「わたしは柔和で心のへりくだった者であるから、わたしのくびきを負うて、わたしに学びなさい」(マタイ11:29)と言われ、謙遜であることを強調し、いつも父なる神に感謝をささげていた。

神の恵みを「あたりまえ」にしないで、「ありがとう」と感謝する者には、もっと大きな恵みが与えられる。イエスはある時、10人の重病人を癒やされた。10人のうちで、イエスに感謝した者は1人だけであり、他の9人は感謝しなかった。

1人は癒やされて「有り難い」と思ったが、9人は「あたりまえ」だと思ったのであろう。感謝をささげたこの1人は、イエスから「あなたの信仰があなたを救ったのだ」と言われ、病気の癒やしの恵みに加えて、もっと大切な魂の救いの恵みまでもが与えられた。しかし、感謝を忘れた者たちは、魂の救いは得られなかった(ルカ17:11~19)。

2. 感謝の原点

よく考えてみると、「わたしたちは、何ひとつ持たないでこの世にきた。また、何ひとつ持たないでこの世を去って行く」という聖書の言葉は、疑うことができない真実である(Ⅰテモテ6:7)。謙遜になるとは、真実を悟るということでもある。謙遜に生きるとは「この世に生を受け、この世に生かされているそのこと自体が、神の大いなる恵みである」と悟り、全てを神に感謝して生きることである。

しかしさらに、キリストを自分の救い主として信じた人には「神の子」としての新しい人生が与えられ、この世に生きる恵みだけでなく、来たるべき世という至福の世界においても「神の子」として永遠に生きるという、とてつもない大きな恵みが与えられるのである。

3.「あたりまえ」という罪

私たちに内在する高慢の罪の性質は、全ての恵みを「あたりまえ」として受け止めてしまう。だから、「ありがとう」という感謝の思いを持つことが少ないのではないだろうか。「あたりまえ」は、不平、不満をつのらせ、私たちは「まだ足りない、もっと欲しい」という欠乏感に駆られ、この世という生存競争の世の中で自分の力や頑張りで生きようとして、その結果、神から遠のいてしまう。

しかしそうすると、心身共にますます窮乏していくのが事実である。それはちょうど、父の元で豊かに暮らしていた息子が、その生活が「あたりまえ」に思えてしまい、もっと豊かな人生を求め、父から離れて行き、孤独な「放蕩息子」の運命をたどるのに似ている。

私たち「放蕩息子」の唯一の救いは、愛と恵みがあふれる父の元に帰ることである(ルカ15:11~32)。言い換えれば、全てを「あたりまえ」だとする自分中心の高慢な思いを捨て去り、全てを「ありがたい」ことだと謙虚に悟り、全てを神に感謝することである。

◇

佐々木満男

佐々木満男

(ささき・みつお)

弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL. M)。インターナショナルVIPクラブ東京大学顧問。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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