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星のかけら

【童話】星のかけら(14)アルムのなやみ・その3 和泉糸子

2016年11月29日17時17分 コラムニスト : 和泉糸子
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「常雄さんは私の親友です。だれも友達のいなかった私にとって、あの人はかけがえのない大事な人でした。それに、仲間のところに行けたのもあの人のおかげです。この家で子ども時代のぼくたちは兄弟みたいにしてすごしました。だけど、つねくんは年をとって体も弱って、ぼくはまだわかく元気でいる。こういう点では小人と人間はちがうと思わせられますね。だけど、ぼくらはいろいろちがっても、同じ気持ちで結ばれている。だから、今でもつねくんが元気なときには、話しかけると答えてくれるし、いろいろと報告しあうこともできています。

ほら、今もつねくんの声が聞こえる。山の家の地下室に今いるよと教えてあげたら、行きたいなあとかえってきました」

「ビタエさん、ぼくもアルムたちとテレパシーで話ができるようになれますか」。ユキトが聞くと、「どうだろう。どうしてそうなったのか、ぼくにも分からないから」とビタエさんが答えました。

ユキトは前から聞きたいなあと思っていたことを、思い切ってビタエさんに聞いてみました。「あのう、ビタエさんは魔法(まほう)使いなんですか。ゆで卵を焼き物に変えたり、ぼくたちに小人の国への道を開いてくれたり、そんなことができるのは魔法の力があるからですか」

ビタエさんは困ったような顔をしたけれど、答えてくれました。「ユキトくん、小人は人間の持たない力を持つことができるのです。それを魔法とよぶのならそう言えるかもしれません。人間の科学とはちょっとちがうけれど、学べばできるようになるそういう力が私たちにはあるのです。私の父はそういう力を持っていましたし、本も持っていました。私も父に教えられ、本も読んでいろいろなことができるようになりました。小人の国は、そういう技術(ぎじゅつ)の力でできたものです。まだ完全なものではないので、力を合わせて作り上げている途中なのですが」

そして、ブランとグリーとアルムと初めて出会った時のことを、カンサイさんは話してくれました。

「いちばん初めがブランとの出会いでした。

それは、まだ20代のころ。私は和歌山県の田舎でアメリカ人の宣教師(せんきょうし)から洗礼(せんれい)を受け、東京の神学校に進みました。宣教師の家庭とは家族同然の親しいつきあいをさせてもらっていましたから、田舎に帰るたびにおじゃましていました。

大切な話があるから家に来るようにという伝言があり、何だろうと思って出かけましたら、『私はまもなく任期が終わってアメリカに帰らなければならないことになった。ついては、1つの大切なことを君に頼みたい』。

そう言われて、ブランとお母さんのことを私にたくされたのです。私はたびたび宣教師の家におじゃましていたけれど、小人の世話を先生ご夫妻(ふさい)がしておられることは知りませんでした。

『ブランのお父さんはアメリカで亡くなり、お母さんを宣教師がほごした。そして、日本にふにんする予定だったため、連れて来た。お母さんは当時身ごもっておられ、日本でブランが生まれた。けれどその後から、お母さんは病気がちになられて体力的に不安定なので、とてもアメリカにお連れするわけにはいかない。君しか頼める人はいないから、この母子を見守ってあげてほしい。君のお母さんも信らいできる人だから、お母さんといっしょに助けてあげてほしい』。そのようないらいでした。

その時初めて、私はブランとお母さんに会いました。

母が助けてくれましたので、気になりながらも神学校の学びを続け、卒業した後、ふにん先の教会にブラン母子をお連れしました。幸いすぐに結婚(けっこん)しましたので、妻も助けてくれました。ブランのお母さんは、その後亡くなりましたが、亡くなる前に黄色い玉を私にたくし、いざという時の小人の通信方法を教えてくれました。

それからしばらくして、私は都留(つる)市の友人の家をたずねる機会を得ました。山の中で道にまよい、車をおりて歩いていましたら、黄色い玉とよく似たかけらが落ちているのを見つけたのです。赤や青や緑の小さなかけらもありました。

もしかして小人が近くにいるのではと思い、ブランの母に習ったやり方で黄色い玉をセットしました。すると返事があり、私は初めてほかの小人に会うことができたのです。その人はルルーという名前の方でした。

私はブランをその方にあずけました。そして、その後、都留市の近くに場所を求めて開拓(かいたく)伝道をするようになったのです。開拓伝道というのは、教会の無い所に新しく教会を作ることで、大変な仕事ですが、小人たちに連絡できる場所にいたかったからですし、都留が気に入ったからでもありました」

カンサイさんはお茶を1口飲んで、グリーのことを話してくれました。

「グリーの家族を見つけたのは妻の父親でした。九州に住んでいた妻の父は、毎朝犬の散歩をするのが日課でした。ある雨上がり後の朝のこと、日ごろはおとなしい犬がたいそうほえるので、びっくりしてあたりを見回すと、水たまりの中に落ちて苦しんでいる小人の子どもを見つけました。そばにおろおろしている父親と母親もいました。

妻の父はおだやかで、やさしい人でしたから、かわいそうに思って子どもを助け上げ、父親と母親も連れて家に帰りました。そして妻の母といっしょに親切に世話をしました。母もやさしい人でしたから、グリーの一家は幸せであったと思います。

用事があって妻が帰省したのは、グリーの家族が助けられてから、1カ月ばかりたったころでしたが、老いた自分たちが世話を続けることができるだろうかと不安を覚えて、両親は妻に相談をしました。妻はすぐに私に連絡してきました。しばらくして、私は車でかれらをむかえに行きました。そして、長老のルルーにグリーの一家をたくしたのです」

「そして、最後にアルムの話です。ユキトくんはもう知っていると思うけれど、最初から話しましょう。

私の母は千佳(ちか)という名前ですが、近所の人たちはおチカさんと親しみをこめてよんでいます。世話好きで働き者の母は、父が早くに亡くなったため、行商をして私を育ててくれました。

和歌山の田舎で、母はいつものように軽トラックに荷物を積んで働いていました。その時、悲鳴のような声がしたので、車を止めて見回すと、ネコが何かをおそっている、そういう現場(げんば)を見ました。母は石ころを拾ってネコに投げつけ、落ちていた木のえだでネコの頭をたたくと、にげていきました。あとには、ケガをしたアルムの母と、ふるえているアルムの姿がありました。

母はあわれに思って2人を連れ帰り、きず口をあらい、薬をぬって、寝床を作ってかいほうしたのです。それから具合がよくなるまで納屋の中にかくまって、食事や身の回りの世話をして、ブランのことも話して聞かせたのです。

そうやって回ふくすると、私の元に2人をたくすために、軽トラックに乗せて途中の山の中で私と落ち合って、私の車にアルム母子は乗りかえたのです。

そして、またまたルルー長老に私は2人をたくしました。その時、初めてビタエさんにもお会いしました。ルルー長老も年をとられ、ビタエさんを次の長老にと考えておられたようで、私に紹介してくださったのです。

その時、アルムとお母さんは行方の分からないお父さんのことを心配され、自分たちだけが先に行くのをためらわれました。けれど、説得して小人の国に先に行ってもらいました。私はお父さんを探すのをわすれていたわけではなかったのですが、母も気をつけてはいたのですが、見つけることができませんでした。

10年もたちました。申しわけないと思っています。

ユキトくんとシュンスケくん、ケンタくんがアルムのことをとても心配している。そう聞いて、私もこうしてはいられないと思い、大森牧師にも事情をお話しし、ビタエさんにもお話しして、今日このゆかりのある場所にみんなで集まることを考えました。アルムのことをグリーもブランも自分のことのように心配しています。

この夏、1つのプロジェクトを組みましょう。『アルムのお父さん救出作戦』。みんなで力を合わせて、いいですか、希望を持って、祈りながら、アドベンチャーをするのです。この冒険に加わりたい人は手を挙げてください」

いっせいに手が挙がりました。3人組も、小人の3人組も、ビタエさんも、大森牧師も、そして立ち上がっていちばん高く手を挙げたのはカンサイさんでした。(つづく)

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◇

和泉糸子

和泉糸子

(いずみ・いとこ)

1944年生まれ、福岡市出身。65年、福岡バプテスト教会で受洗、後に日本基督教団の教会に転入し、Cコースで補教師試験に合格。96年より我孫子教会担任教師、2005年より主任担任教師となり、20年間在職。現在日本基督教団隠退教師。九州大学文学部卒業。東京都庁に勤務後、1978年より2002年まで、船橋市で夫と共にモンテッソリー教育を取り入れた幼児教育や、小中学生対象の教えない教育という、やや風変わりな私塾(レインボースクール)を運営。(2017年7月17日死去、プロフィールは執筆当時のものです)

【執筆者からのコメント:童話「星のかけら」は、小学生の孫のために書いたものですが、教会学校の子どもたちが少なくなっている今、お話を通して教会や神様に少しでも出会える場が与えられればうれしいです】

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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