Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 教育

人間らしい豊かな命を全うするには ルーテル学院大の江藤学長、調布市公開講座で講演

2016年9月30日23時57分
  • ツイート
印刷
関連タグ:ルーテル学院大学
人間らしい豊かな命を全うするには ルーテル学院大の江藤学長、調布市公開講座で講演+
「命の終わりへの介入の可能性と人間の責任―延命治療、死の受容―」と題して講演を行ったルーテル学院大学学長の江藤直純氏=9月23日、調布市文化会館たづくり映像シアター(東京都調布市)で

「ちょうふ市内・近隣大学等公開講座」(主催:調布市文化・コミュニティ振興財団)が9月23日、調布市文化会館たづくり映像シアターで開かれ、ルーテル学院大学学長の江藤直純氏が「命の終わりへの介入の可能性と人間の責任―延命治療、死の受容―」と題して講演した。医学の進歩により、命の終わりがどんどん延びる中、人間らしい豊かな命を全うする仕方について、集まった約60人の受講者と共に考えた。

公開講義の今回の総合テーマは「命の始まりと終わり、人間の責任」。9月6日には、「命の始まり」に当たる部分として、「命の始まりへの介入の可能性と人間の責任―治療、診断、選別―」と題して講義が行われた。それに次いで行われたこの日の講義では、「命の終わり」に焦点が当てられた。

江藤氏は冒頭、1975年に上智大学でイエズス会の司祭で同大名誉教授のアルフォンス・デーケン氏が、「死への準備教育」という講義を始めたことで、これまで日本では「縁起が悪い」と忌み嫌われていた「死」を学問として捉えるようになったと話した。また、デーケン氏が「死を迎えるわれわれがどう生きるか」と問う中で「人は生きたようにしか死なない」と語ったことを紹介し、「自分の死というのは、どう生きてきたかによっておのずと決まり、最後だけかっこよく死ぬことはできないということです」と話した。

江藤氏は、ここ40年ほどで広がった「死」に関する語彙(ごい)を通して、日本人の死に対する考え方の変化を語った。例えば、「患者の権利」について、以前ならば、医師は絶対的な存在で、治療の決定権を握っていた。それが、今では患者・家族に治療について分かるように教え、納得する治療を選ぶことができるようになった。「私の命だから私が決める」という、患者の権利・人権が広がってきたと話す。

戦後一番変わったのは平均寿命で、第2次世界大戦前は50歳だったのに対し、現在は83・5歳にまで延びている。江藤氏は、「これは医学が進歩したことに加え、社会福祉、栄養、住居、教育の充実、乳幼児の死亡率の改善によるところが大きい」と話す。その中で「QOL」に触れ、通常QOLというと「生活の質(Quality of Life)」だが、「生活の量(Quantity of Life)」という意味もあると語った。「これまで日本は、『量』を追求し、寿命を延ばしてきました。実際延びた現在では、生命や人生の量ではなく、『質』について考え始めている」という。

江藤氏は、命を考える上で、SOL(生命の尊厳:Sanctity of Life)という言葉を用いた。「医学の発達により、自動車の部品を替えるかのように体を治せるようになりましたが、命そのものは、人間のコントロールは決して及ばない神聖なものです」と述べ、「もし、この言葉がなければ、私たちの命は『質が高い』『質が低い』と見なされてしまいます」と話した。

また、よく使われるようになった「生命の尊厳」について、「何をもって私たちは『命の尊厳』を訴えるのでしょうか」と問い掛け、「命の尊厳」を理路整然と説明することの困難さを語った。「聖書の創世記で、ご自分で創った人間を見て神様は『はなはだいい』とおっしゃいました。そう言ってもらえることで、私たちは自分が尊い存在であることが分かるのです」と、「生命の尊厳」は、外から「大切な存在なんだ」と言ってもらうことで分かると説明した。

ルーテル学院大 江藤学長 調布市の公開講座で講演 人間らしい豊かな命の全うの仕方について語る
今回の参加者のほとんどが、前回9月6日に行われた講座「命の始まりへの介入の可能性と人間の責任―治療、診断、選別―」から引き続き参加していた。

講義の中で「人は死ぬことは選べないが、死に方は選べる」ことを強調した江藤氏は、「その意味では、延命治療の根拠ともなるQOL、SOLは危険性を伴う」という。その上で、「安楽死」と「尊厳死」の違い、「脳死」と「臓器移植」、「死の判定の三徴候」「臓器移植法」「一人称・二人称・三人称の死」「スピリチュアリティー」といった死をめぐるさまざまな事柄について語った。

紀元前ギリシャ時代にもあった安楽死が「ある人為的な行為をしなければもう少し生きたであろう生命に人為的に介入することによって、その人を死に至らしめること」であるのに対し、近年使わるようになった尊厳死は、「ある人為的な行為をすればもう少し生きたであろう生命に、人為的に介入しないことによってその人の死にいたるプロセスを止めないこと」となっている。尊厳死とは、文字通り尊厳ある生き方をすることで、老人ホームなどでの「平穏死」というのも同様の意味だ。

1980年代から広まった脳死と臓器移植は、脳幹を含む脳全体の不可逆的な機能喪失を死と見なし、必要とする他の人に臓器を移植すること。従来日本では、死の判定の三徴候(心拍の停止、自発呼吸の停止、瞳孔拡大)をもって死としたが、「臓器移植法」により脳死となった人の臓器を取り出し、他の命を救うことができるようになった。脳死となり、意識が戻る可能性がないと判断されたときにどうするかは、残された者にとっては非常につらい決断となる。このことも、自分がどう死にたいのかということと深く関わる問題で、生前に本人が意思を明らかにしておくことが大切となる。

臓器移植に絡めて江藤氏は、「一人称の死」「二人称の死」「三人称の死」という3つの死が人間にはあることを、ノンフィクション作家で評論家の柳田邦夫が書いた『犠牲(サクリファイス) 我が息子・脳死の11日』を通して話した。同書は、精神を病んだ次男が自殺を図り脳死状態となった11日間を記したもの。心の病のために「誰の役にも立てず、誰からも必要とされない存在」だと悩み続けていた息子のために、父である著者は悩んだ末に臓器移植を決意する。

また、脳死と臓器移植という医療問題を家族の問題として語ると同時に、脳死状態となった息子の傍らに座り、「死」を受容する過程も描かれる。江藤氏は、「私たちは、自分とは関わらない人の死でも心を痛めますが、しばらくたてば普通の生活に戻ります。これは決して心が冷たいからとかではなく、『彼らの死(三人称の死)』だからです。でも、人生の大切な部分を共有している人、親子や恋人といった人の死は、三人称の死とは違います。その死を受け入れるには時間がかかるのです」と述べた。そして、「二人称の死」が、自分の人生にとって大きな意味をもたらすことを話した。

続いて、1975年に米国で実際に起きた「カレン事件」に触れ、「リビングウィル(生前発効遺言)」が大切であることを強調した。江藤氏は、「キリスト教的に考えるならば、命は神様からの預かり物で、私たちはそれを管理する責任があります。命の終わりも責任を持って考えなければなりません」と力を込めた。この「責任」とは「応答する力」であるとし、家族、隣人、さらに人間を超えた神との関係の中で自分の生と死を理解していくことの大切さを語った。

最後に江藤氏は、リビングウィルを表明することを勧めた。脳死となったとき、その人に関わる人たちは常に「あの時こうしておけば...」という思いにかられ、いつまでも苦しむことになるからだ。また、リビングウィルは、自分自身がどういう生き方をしたいのかを確認する機会ともなる。「どういう死に方をしたいかを決めることは、人間の傲慢(ごうまん)ではなく、私たちに豊かな命を預けてくださる神様に対する責任だと思っています」と結んだ。

参加した60代の女性は、「死について全般的な話が聞けてよかった。共感するところもたくさんあった」と感想を語った。

関連タグ:ルーテル学院大学
  • ツイート

関連記事

  • ルーテル学院大、入学時給付型奨学金制度を新設 2017年度より実施

  • 相模原障がい者施設殺傷事件:ルーテル学院大の江藤直純学長「私たちは、絶対者の前で皆平等な存在」

  • ケネス・デール氏が語る「全人的な人間理解と愛する心」 第3回デール記念講演会開催

  • 死に勝るいのちを得て―がん闘病817日の魂の記録―(87)神を呪う人は 米田武義

  • チャイルド・ファンド、「子どものこころのケア」ポケットブック制作 熊本県内の保護者約4万人に配布

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.