Skip to main content
2025年6月16日19時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
キリスト教から2016米大統領選を見る米大統領選

キリスト教から米大統領選を見る(12)「ガラスの天井」に挑み続けたヒラリー

2016年9月19日23時50分 コラムニスト : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:青木保憲アメリカヒラリー・クリントン
ホワイトハウス+
米首都ワシントンにあるホワイトハウス

1973年、ロースクールを卒業したビル・クリントンは、27歳でアーカンソー大学の助教授に就任した。やがて彼は政界へ興味を示していく。一方、ヒラリーは、マサチューセッツ州で児童保護基金に職を得ていた。やがて連邦下院司法委員会がニクソン大統領の弾劾を調査する委員会を立ち上げたとき、彼女はそのスタッフに抜擢され、それに伴って首都ワシントンへ居を移している。このあたりからヒラリーは生粋の民主党員として頭角を現していくこととなる。

そして2人は1975年10月11日に結婚する。「クリントン夫妻」の誕生である。その1年後、ビルはアーカンソー州の州司法長官に立候補し、当選を果たす。その2年後に州知事に名乗りを上げ、対立候補を63対32の得票差で下し、32歳という全米で最も若い知事に就任する。

その飛ぶ鳥を落とす勢いのまま、すんなりと上院議員、大統領候補に抜擢されたらよかったのだが、実はそうではない。1980年の知事選挙で、なんと現職にもかかわらず落選の憂き目に遭ってしまう。そこには多くの要因があるが、その1つにヒラリーの名前問題があった。

当時ヒラリーは結婚しているにもかかわらず、依然旧姓のヒラリー・ロダムと名乗っていた。南部アーカンソー州は、男性優位の保守的な地域であったため、女性は男性を立てて家庭の主婦となることが美徳とされていた。その時代に、夫の知事職を内助の功で助けるのでなく、自らが法律家として活躍するヒラリーの姿は、南部気風には合っていなかったのである。

これらのエピソードからも、1960年代から70年代の米国社会をうかがい知ることができよう。ヒラリーが2008年の大統領選挙でバラク・オバマ現大統領と民主党代表指名候補枠を争ったとき、「ガラスの天井を打ち砕こう!」と訴えた。これは米国において、男性よりも女性が低く見られ、差別が存在することを示している。

彼女の戦いは、この世に生を受けたときから始まっていたと言える。女性に生まれつきながらも、父親から「男性として」の教育を受け、そのプレッシャーをはねのけてリーダーシップを発揮する青春時代を送ってきた。

女性として史上初めて大学の卒業式でスピーチをする権利を獲得したことは、前回述べた通りである。結婚した後も、彼女は自らの戦いを継続してきたと言うことができよう。

聖書の「創世記」がもとになっている米国社会の男女差別

そもそも、どうして自由と平等、人権を内外にアピールしてきた米国において、このような男性優位社会が露骨に存続してきたのであろうか? 一方で「レディー・ファースト」という文化を育んできたのも、米国である。

日本やヨーロッパ的な封建制度がある国々では、男女の差異が生み出されることをある程度は納得できるが、米国にはそのような伝統はない。しかし、封建制に代わって特に南部で実践されてきたのは、聖書の天地創造に基づく男女の差異化である。

創世記2章で「女性が男性のあばら骨から取られて創造された」となっている。これが男性優位に物事を考えても良い(考えるべき)とする根拠となってきたことは、周知の事実であろう。

話を戻そう。現職知事であるにもかかわらず落選の憂き目に遭ったクリントン夫妻は、その2年後の知事選挙の時にある声明を発表する。それは、今後ヒラリーがクリントン姓を名乗る、というものであった。そして驚くべきことに、彼女は知事選挙で夫を助けながら、自分の弁護士としての仕事をこなし続けたのである。

結果、ビルは知事に返り咲くことができた。そして92年までの10年間、アーカンソー州知事としての職をしっかりと守り通したのであった。ここにヒラリーの卓越した能力を見る識者は多い。彼女が本気で「ガラスの天井」を壊そうと考えるなら、枝葉末節にこだわるのではなく、人々を味方につける戦略を優先したこともうなずけることである。

ファースト・レディーとしての医療保険制度改革推進と挫折

そしてついにビル・クリントンは、1992年の大統領選挙を戦い抜き、その地位を手にした。ヒラリーは「ファースト・レディー」となったのである。全世界の女性がうらやむ地位をヒラリーもまた手にしたのだが、彼女はそれに留まる者ではなかった。

ヒラリーは、クリントン政権発足後わずか1カ月で医療保険制度改革委員会の委員長に就任したのである。ご存じの方もおられるとは思うが、米国では医療保険が強制ではない。言い換えると、自らの意思で医療保険会社を選択しなければ、国は全く面倒を見てくれないというのが現実である。

しかしこれでは一部の金持ちだけが治療を受けられ、本当に必要な低所得者層はこの恩恵にあずかれないことになる。これを是正するために、全ての米国民が医療保険を利用できるようにするシステムを生み出すことは、民主党のみならず、大統領に就任した者たちが一度は挑み、そしてまだ誰も成し得ていない案件であった。

この米国独特な医療保険制度の現状については、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「シッコ」をご覧になることをお勧めする。面白おかしく描写しながら、実はぞっとする現実を突き付けている映画である。

この大案件に、ビルはヒラリーを抜擢して解決に当たらせた。歴代のファースト・レディーが夫と手をつなぎ、国民に手を振っていた(もちろんそれだけではないが…)のに比べて、ヒラリーは大統領の命を受けたとはいえ、独自に調査したり活動したりする権限をその当初から獲得していたのである。

この人事からして、やはり異例中の異例であった。実は大統領選挙運動期間中から、ヒラリーがこのような活動に従事する兆候はあったと言われている。ビルは選挙演説の中で何度も「Buy One, Get One Free(1人買ってくれたら、もっと優秀なもう1人はおまけでついてきますよ)」と語っていた。

これは当初、ビルのユーモアだと思われていた。しかしそうではなかったことが大統領就任後の人事ではっきりしたのである。「自分を大統領にしてくれたら、自分よりももっと優秀な妻、ヒラリーがついてきますよ」と言ってのけるクリントン大統領。さすがは戦後ベビーブーマー世代だといえよう。

鳴り物入りで就任したヒラリーであるが、この医療保険制度の提案は、結果的に上院議会を通過せず、廃案となってしまう。彼女と600人を越えるスタッフが作成した法案は1300ページを越える大作であった。これを見た議員たちは、ヒラリーの有能さをあらためて実感したという。

しかし、これと法案を通過させるかは別問題であった。ここにも「見えない天井」が彼女の前に立ちはだかった。もちろんその法案に反対したのはおのおのの議員たちの政治的立場であったことが主な要因であったろう。しかしやはり大統領夫人ヒラリーが先頭に立っていたということを快く思わない「保守的な人々」が存在したこともまた事実であろう。

これを機に、ヒラリーはさらに「政治家」としての手腕を高めていき、手練手管の方策を巧みに操る熟練政治家への道を歩み始めることとなる。

ちなみにこの国民皆保険制度は、同じ民主党のオバマ大統領が医療保険制度改革(オバマケア)としてその法案をついに可決へと導いている。ヒラリーの挫折を教訓として慎重に事に当たったオバマ大統領の成果ともいえるが、その骨子はヒラリーたちの遺産である。

「彼が私と結婚していたら、彼が大統領になっていたわよ」がジョークでなくなる日?

女性として、大統領夫人として、「見えない天井」にチャレンジし続けるヒラリーの姿は、こんなジョークを生み出すまでになった。

クリントン大統領夫妻が、夫人の故郷の町・シカゴ郊外パーク・リッジを大統領専用リムジンでドライブ中、ガソリンスタンドに入った。

すると従業員がこう声を掛けてきた。

「ヘイ、ヒラリー、覚えてるかい? 高校時代オレとデートしたじゃないか?」

しばしのおしゃべりの後でスタンドを出ると、大統領は自己満足に溢れて「あいつとデートしたって? あいつと結婚していたらどうなっていたかな?」と聞いた。

大統領夫人は肩をすくめてこう答えた。

「彼がこの私と結婚していたら、逆にあなたがあそこでガソリンを入れていたでしょうね。そして彼が大統領になってたわよ」

1992年当時、これはジョークだった。しかし2016年、これが単なるジョークではないことを、ヒラリーは自らが大統領になることで証明しようとしている。ガラスの天井が崩れるときは来るのだろうか?

次回は、上院議員時代のヒラリーを取り上げ、彼女がキリスト教を巧みに用いてのし上がっていく様をたどってみたい。

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:青木保憲アメリカヒラリー・クリントン
  • ツイート

関連記事

  • 神学書を読む(1)キリスト教から米国が見えてくる『宗教からよむ「アメリカ」』

  • 民主党副大統領候補ティム・ケイン氏とはどんな人物か?

  • ヒラリー・クリントン氏がキリスト教信仰について語る 「さばきは神にゆだね、オープンであり、寛容であり、敬意を持とう」

  • オバマ氏演説:宗教哲学からどう読むか?「死者の声」を代弁してはならない 南山大学佐藤啓介准教授(1)

  • キリスト教から2016米大統領選を見る(1)アメリカ合衆国を形作る2つのベクトル 青木保憲

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.