Skip to main content
2025年6月16日23時55分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(3)所かわれば品かわる・その2 浜島敏

2016年9月17日22時30分 コラムニスト : 浜島敏
  • ツイート
印刷
関連タグ:浜島敏

第1章 所かわれば品かわる
その2

こういった現地の宣教師たちが学びたいと思う言葉に、辞書や文法書のあることはまれです。実際には多くの場合、文字さえありません。とにもかくにも、原住民と一緒に座って、あれこれの語を尋ねるよりほかに手がありません。

それにしても、「これを何と言うの」と聞くことさえできないことがしばしばあります。この出発点になる語句をさぐり当てるのに、数週間もかかることがあります。初めは、座って下唇を突き出し、その唇で物を指さなくてはならないこともあります。というのは、世界には、指で物を指すのは大変失礼で、下品なしぐさだということになっている地方も幾つかあるからです。

発音のやっかいなことは、どこまでいっても際限がありません。原住民同士は、お互いに完全に通じ合っているらしいのですが、アルファベットで書き表すようにしてみると、その音たるやキーキー、ギャーギャー、ブーブー、パチパチ、シューシューと豚の泣き声よろしくといったものが多く、口の回りそうもないところに奇妙な母音がくっつくといった具合です。舌打ちに似た音を幾つも持っている言語もあって、次の母音がくる前に息が口の中へ入ってくるのです。

誰でも子どもをたしなめたりするとき、ツッ、ツッと言いますし、馬を使うときなどは、口の両側に沿って息を吸い込みます。ところが、南アフリカのブッシュマン(注3)やホッテントット(注4)の言語では、この舌打ち(吸入音)には20種もの違った型があって、それがいちいち言語の規則的な語形式の要素になっています。

コノブ語(注5)のtsu(唾)とts'u(キス)の2語を区別することなどは、多くの宣教師にとって容易なことではありません。後者の語においてts'と書いてあるのは一種の破裂音で、唾を吐くときの音であると説明できましょう。ところが不思議なことに、この音は「唾」ではなくて「キス」を意味する語と結びついているのです。「唾」に結びついた方が論理に合うように思えるのですが、理由は誰にも説明できません。言語にはどの言語であれ、このような変則は多いのですが、これはその一例にすぎません。

いかに面倒でも、事が発音だけなら、まあ何とかならないものでもありません。が、ある言語の文法ときたら、少なくとも初習者には、とりつく島もないほどの代物です。次のようなボリビア・ケチュア語に直面したなら、どうしたらいいと思いますか。

ruwanayashaskasniyoquichejmantaka

文字の数が32もあるのはまだいいのです。ところが、この語が明らかに8つの文法上の部分からなっており、その各部は常に正確にこの順序でなくてはいけないし、この語全体の意味が「君の絶えず遂行している未来の仕事に関して」であると聞いては、練達の士でもたじろぐ人が多いことでしょう。ボリビア・ケチュア語では、どの動詞の語幹にも、少なくとも20種の異なった接尾辞や小辞からなる5万以上の結合を加えた派生語を作ることができます。こうして、上述のような複雑な形が出来上がるのです。

いわゆる原住民語の奇妙な文法に直面しても臆しなかった宣教師たちは、「文化の遅れた」民族の語彙(ごい)を覚える段になると、事はいとも簡単で、得手に帆を揚げ、といった気でおります。

ところが、ズールー語のように、歩く動作を説明するのに120もの異なった語がある言語に接して、仰天してしまうのです。「もったいぶって歩く」「威張って歩く」「小さくなって歩く」「ピッタリした服を着て歩く」等々、いちいち別の語があるのですからたまりません。また、マラガシ語を話す島民が200以上の物音を区別する語を持っており、優に100の色を語句によって区別するのを見て、マダガスカルに行った宣教師は唖然(あぜん)としてしまいました。

このような耳慣れない発音や文法形式、それに数知れない新語にとりまかれては、無理からぬことですが、中央アフリカ(注6)の一宣教師は、かわいそうに、すっかり頭が混乱して、「天国に入れ」(マタイ5:20参照)と言う代わりに「行って木に腰をおろせ」と説教していました。

コンゴのいま1人の宣教師は、バプテスマのヨハネのことをいつも、荒野で「泣く者」(ヨハネ1:23)(注7)と語っていました。また、昔の預言者たちも異口同音に、人々に対して「泣きわめいて」いたというのです。しかも彼の直訳は、まだ物も言えない小さな赤ん坊の泣き声だけの意味だったのです。彼の説教は全く不可解なものであったに違いありません──神の使者たちが、みんな泣きわめく赤ん坊だと思えたのですから。

逐語訳は、最も安易なものですが、危険で、誤訳の原因になることが多いものです。ラテン・アメリカの宣教師は絶えずIt came to pass(注8)(「ということになった」の意、ルカ2:1参照)という句を逐語訳して使っておりましたが、それを聞いていた住民には、それが「何かが整然とやってきて、そこを通った」という意味だったことに、考えもおよびませんでした。その文脈がもともと難しいところにもってきて、このような意味をなさない混乱が加わっていたわけです。

また、宣教師たちが「イエスの足下にひざまずく」マリアの話を、西アフリカのある言語に直訳しておいたところが、後になって、それが「イエスの膝にのっかっている」マリアという意味になっていることが分かったのです。

英語を話す会衆に向かってこそheaping coals of fire on one's head(熱き火を人の頭に積む──うらみに対し徳を行って人を恥入らせること、ローマ12:20)(注9)という表現が使えますが、これをそのままアフリカで使うと、場所によっては、大変な誤解を生じます。というのは、これは今なお拷問と死刑の一手段であるからです。

善意の翻訳者が、原住民の語を単純に文字通りの意味にとったばかりに、取り返しのつかない間違いが生じています。それでだんだん用心深くなって、一語一句おろそかにせず、再三照合しなくてはならなくなります。これもしばらくの間気付かずにいたことですが、リベリアのある言語で住民たちが「主の祈り」(マタイ6:9~13)を唱えているのを聞くと、その一部が「われらを試みにあわせず」でなくて「われらが罪を犯すとき捕らえ給うな」となっていたのでした。

原住民の慣用句についての知識が極めて不適切であったため、初期の宣教師たちは「主の祈り」を説明できずにいました──特に上述の句などそうですが──ので、住民たちは意味の通りそうな文句を勝手に入れていたのです。「未開人」であると「文明人」であるとを問わず、この世の多くの人々にとっては、逮捕でもされない限り罪ではないと考えるのが実情なのです。このリベリアの住民たちは、その信念を少しあけすけに口にしたにすぎないのであり、聖書の教えを都合のいいようにちょっとばかり我田引水していたわけです。

(注3)「ブッシュマン」、侮辱的な意味を含むため、現在では一般的にサン人と呼ばれる。現在は南アフリカのカラハリ砂漠に住む狩猟採集民族である。詳しくは、ウィキペディア「サン人」参照。

(注4)「ホッテントット」、現在はコイコイ人と呼ばれる。南アフリカ共和国からナミビア付近の高原に住んでいる。

(注5)「コノブ語」、グアテマラで話されているマヤ系言語の1つ。

(注6)「中央アフリカ」、1910年、フランス領となり、1958年、フランス内自治領となり、1960年、フランスより独立し、中央アフリカ共和国となった。

(注7)「泣く者」、英語ではcryingであり、実際には、この場面では「大声で叫ぶ」の意味であるが、「泣く」意味のcryと翻訳していたわけである。

(注8)「it came to pass」、ギリシャ語でginomaiは、「起こる、生ずる」の意で用いられ、何か重要な記事の前に「次のようなことが起こった」という意味で用いられる。ジェームズ王訳の福音書で好んで用いられている。

(注9)「heaping coals of fire on one's head」、ヘブル語の辞典の「ガヘレット」を見ると(燃えている炭火)とあり、それは稲妻を表し、神のさばきを表すために使われていると書かれている。そして、次に「頭に炭火を積む」というのは諺(ことわざ)で、「大きな痛みと苦しみとをもたらすような人またはもの」、さらに「圧倒的な親切によって、相手が悪意を持ったことを痛み恥じ入るようにすること」とあって、箴言25:21、22の例が挙げられる。

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

■ 【浜島敏著書】(Amazon)
■ 【浜島敏著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:浜島敏
  • ツイート

関連記事

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(2)所かわれば品かわる・その1 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(1)はじめに 浜島敏

  • 神様からのメッセージ(41)終わりに 浜島敏

  • 神様からのメッセージ(40)聖書を読んで人生が変わった人たち―ドランテス 浜島敏

  • 神様からのメッセージ(39)聖書を読んで人生が変わった人たち―エドウィン 浜島敏

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「もうひとりの助け主」の恵みを受けよう 万代栄嗣

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(230)聖書と考える「あなたを奪ったその日から」

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.