Skip to main content
2025年12月5日08時32分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
イスラム国(IS)

「恐怖」と「希望」 西前拓

2015年12月24日17時18分 コラムニスト : 西前拓
  • ツイート
印刷
関連タグ:後藤健二イスラム国(IS)西前拓
「恐怖」と「希望」 西前拓+
11月13日のパリ同時多発テロを受け、多くの人々がろうそくに火をともし、追悼の意を示した=同14日夜、チェコの首都プラハで(写真:Bianca Dagheti)

2015年はテロとともに始まり、テロとともに幕を閉じようとしている。暴力と恐怖の連鎖が世界を覆い尽くそうとしているかのようだ。

この感覚には覚えがある。2001年9月11日。ワールドトレードセンターに旅客機が突入していくのを目撃していた。タワーの崩落、家族で逃げた道、それに続く避難生活。ブッシュ大統領による宣戦布告、アフガニスタン空爆。タリバンに空爆しても何の意味もないこと、罪のない命がさらに奪われることを頭では理解していても、怒りと悲しみと恐怖で混乱した心は「やれ!」と空爆を認めていた。暴力と恐怖の連鎖が始まった。それは止まることなくチェインリアクションを繰り返し、今また新たな段階に達したように見える。

2015年1月の出来事を思い出す。今年が広島・長崎への原爆投下から70年に当たることから、被爆の現実とその世界的な意味を問い直すドキュメンタリーとワークショップ制作の準備をしていた。その底に流れるテーマは、戦争という暴力とその連鎖だ。究極の暴力は原爆投下で臨界点を超え、それによって殺し合いをけん制し合うという危険なバランスの中に人類全体が置かれることになった。核という無限のエネルギーのパンドラの箱を開け、そのパワーを最初に手に入れたのはアメリカだった。それを行使して世界のパワーバランスで優位に立つことが何よりも優先された。無数の無辜(むこ)の民の犠牲は無視され、その被害は今もなお隠蔽(いんぺい)され続けている。被爆者は沈黙を強いられ、核保有国はもちろん、核の最大の被害国である日本でも、核のアジェンダが推し進められていった。

その歴史を日米の若い世代と共に学び直し、1945年の出来事が単なる過去ではなく今につながっていること、核の問題は他人事ではなく自分の生活に直接関係があることを知り、自分たちに何ができるかを表現するのがワークショップの狙いであり、ドキュメンタリーのメーンテーマだった。

その準備の真っ只中、1月20日に長年の友人がシリアでテロリストに拘束されたというニュースが飛び込んできた。後藤健二さんだ。絶望感と無力感に立つことすらできなかった。しかし仲間たちから「なんとかしなきゃ!」と励まされ、祈りと連帯の気持ちを込めて「I AM KENJI」の呼び掛けを始めた。「命を救ってくれ」という願いと「みんな応援してるぞ」という声を健二さんに届けたかった。世界中に支援の輪が広がった。しかし、その祈りは最もむごい形で否定される。今まで感じたことのないような怒りと悲しみ。暴力と恐怖に心がまた支配された。

シリアでもイラクでもアフガニスタンでも、世界中で健二さんの仲間が集まり慟哭(どうこく)し、キャンドルをともし、祈り、誓った。「絶対に忘れない」と。そして「KENJI、君を死なせない」と語り合った。健二さんは多くの仲間と共に素晴らしい仕事を始め、まだまだやりかけの仕事が多く残されている。その一つ一つを自分たちの持ち場で、少しずつ続ければいいじゃないか、健二と共に。そう語り合った。暴力と恐怖に支配されること、それこそ健二の命を奪った者たちの意図するところだ。一人一人がこの負の連鎖をまず断ち切らねばならない。

広島、長崎を旅しながら、健二さんのことが頭を離れることはなかった。戦争で一番傷つくのは普通の人々だ。そして戦争を引き起こす人々は虐げられた人々の声を押しつぶす。健二さんはそんな声なき人々の声を伝え続けていた。その声を聞き取り、記憶に刻み、その意味を伝えていく。被爆者の方々と若い仲間たちとで、ワークショップを通じて丹念にその作業をしながら、健二さんとの「やりかけの仕事」を同じ目標に向かって歩んでいる実感があった。恐怖と暴力がなくなる日は遠いかもしれない。しかし一人一人が希望を持って前に進まなければ、その日は絶対に訪れない。われわれの仲間も、健二さんと直接知り合いではなかった人々も、それぞれが「やりかけの仕事」を続けている。「恐怖」ではなく「希望」で心を満たして。

次回へ>>

◇

西前拓

西前拓

(にしまえ・たく)

ニューヨーク在住の映像プロデューサー。1986年以来ドキュメンタリーの企画制作を手掛け、1998年に映像プロダクションZENGOを創設。ドキュメンタリー、ライブコンサートなど、常に時代を切り開く画期的な作品を制作し、国際映画祭でさまざまな賞に輝くなど高い評価を得ている。黒田征太郎氏とのコラボレーション「戦争童話集 / 忘れてはイケナイ物語り」や「PIKADONプロジェクト」「Hibakusha Stories Project」「Shadow People Project」、日米の学生とのワークショップなど、核問題と被爆者の支援に深く関わってきた。NHK「世界のドキュメンタリー」で原爆70年企画として「キャノン・ハーシー ヒロシマへの旅」を2夜連続で放映。国連開発計画のメディアパートナーとして、サステイナブルな文明のあり方と人間らしい生き方のドキュメンタリーを制作。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:後藤健二イスラム国(IS)西前拓
  • ツイート

関連記事

  • イラク難民の少女「私たちが学ぶべきこと、それは『赦し』」

  • 映像ジャーナリスト・栗本一紀さん、後藤健二さんを通して平和を語る 津田塾大学クリスマス礼拝

  • 彼が生きていたら、今、何を語ったか 後藤健二さんの講演音声に聴く

  • 仏でヘイトスピーチ取り締まり強化 160カ所のモスク閉鎖の可能性

  • シリアの子どもたちに防寒着を! FUKUSHIMAいのちの水、今冬新たな取り組み

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも

  • 京都ノートルダム女子大学、次期学長に酒井久美子氏 学生募集停止の来年4月から

  • ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加

  • ワールドミッションレポート(12月3日):ソマリア 厳しい大地に芽を出す福音の種

  • 東洋英和女学院大学、次期学長に藁谷友紀氏

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(236)聖霊による傾聴活動は日本社会を覚醒する(中編) 広田信也

  • 東京・銀座で牧師がトーク&ライブ「メリエストクリスマス2025」 12月25日

  • 英国で「路傍伝道者憲章」 相次ぐ街頭説教中の逮捕受け

  • 聖心女子大学と聖パウロ学園高校が協定締結 共にカトリック系

  • ワールドミッションレポート(12月4日):イランのママーサニー族のために祈ろう

  • 「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」

  • 元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも

  • 英国で「路傍伝道者憲章」 相次ぐ街頭説教中の逮捕受け

  • 映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」 「信仰と抵抗」の生涯描く

  • ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加

  • 中国の大型政府非公認教会「シオン教会」の主任牧師ら18人逮捕、最大拘禁3年の可能性

  • 聖心女子大学と聖パウロ学園高校が協定締結 共にカトリック系

  • 東洋英和女学院大学、次期学長に藁谷友紀氏

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(236)聖霊による傾聴活動は日本社会を覚醒する(中編) 広田信也

  • 逆境は人生を開く 穂森幸一

  • 元阪神マートンさんが来日ツアー「クリスマスの贈り物」 関西学院大でトークイベントも

  • 「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」

  • 英国で「路傍伝道者憲章」 相次ぐ街頭説教中の逮捕受け

  • ニカイア公会議1700周年を記念、開催の地で一致求め祈る 教皇や全地総主教らが参加

  • 映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」 「信仰と抵抗」の生涯描く

  • 中国の大型政府非公認教会「シオン教会」の主任牧師ら18人逮捕、最大拘禁3年の可能性

  • 聖心女子大学と聖パウロ学園高校が協定締結 共にカトリック系

  • 東洋英和女学院大学、次期学長に藁谷友紀氏

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(236)聖霊による傾聴活動は日本社会を覚醒する(中編) 広田信也

  • 青山学院と山梨英和学院が協定締結、授業連携など視野に

編集部のおすすめ

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.