中学生のための最新のキリスト教入門書は? キリスト教学校教育同盟編『キリスト教入門』

2015年3月13日18時15分 記者 : 行本尚史 印刷
+中学生のためのキリスト教入門書は?キリスト教学校教育同盟編『キリスト教入門』
キリスト教学校教育同盟編『キリスト教入門』(創元社、2015年)

本書は、主にプロテスタントのキリスト教主義中学校で、聖書科の教材として、戦後長年にわたって実際に使われてきた、中学生向けのわかりやすい優れたキリスト教入門書の最新版。キリスト教用語や中学校卒業までに習わない漢字を中心にルビが振ってある。こういう本はたくさんありそうで、実は意外と少ない。

本書は全3巻のうちの第1巻である。同社はそれについて、「キリスト教・聖書への確かな入り口を提供する、中学生から読めるテキスト。初めてキリスト教や聖書に触れる読者を念頭に、そのエッセンスをわかりやすく伝える。写真や絵画を多数使用したヴィジュアルなレイアウトで、記憶に残る、見て楽しめるテキストにもなっている」と説明している。

さらに同社は本書の内容について、「礼拝や祈り、聖書、教会などキリスト教の基本を解説するほか、イエスの生涯と弟子たちの働き、旧約聖書と新約聖書の概要を紹介する」と述べている。

なるほど、確かに第1章「はじめてのキリスト教」は、礼拝・祈り・賛美・奏楽と楽器から、聖書・旧約聖書・新約聖書・説教・供え物・教会・教会暦に至るまで、キリスト教主義中学校での礼拝や聖書の学び、そして教会活動への参加につながる手引きとなっている。

そして第2章「イエスの生涯と弟子たちの働き」では、イエスの生涯・イエスの教え、ペトロやパウロといった弟子たちの働きが、福音書や使徒言行録に基づいて述べられている。

さらに、第3章「はじめての聖書」では、第1章の5「聖書」・6「旧約聖書」・7「新約聖書」で全体を見渡した聖書について、よく知られている聖書の物語や新約聖書における旧約聖書の引用、新約聖書にあるイエスのみ言葉と出来事を、次のように紹介している。

旧約から(1):はじめにあったこと
旧約から(2):なぜだろう
旧約から(3):神の名前はYHWH
旧約から新約へ
新約から(1):山上の説教
新約から(2):たとえ話
新約から(3):奇跡
新約から(4):受難と復活
日常的に使われている聖書の言葉

ところどころに「QUESTION」という設問や「COLUMN」(コラム)がついており、キリスト教について自ら進んで調べたり、学びを深めることができる。

また、簡潔な図表やキリスト教絵画、そして世界140カ国で撮影をしてきたクリスチャンの写真家で桜美林大学特任教授の桃井和馬氏による写真の数々は、本書を読む中学生の世界をぐんと広げてくれる。

国会図書館の蔵書データなどによると、創元社は今田恵・二宮源兵共著、基督教教育同盟会編による『基督教入門 上』(宗教教科書中学校用、第1学年 前期)と、由木康・羽鳥明共著『キリスト教入門』(基督教教育同盟会編基督教主義中学校の教科書として発行されたもの)を1949年にそれぞれ出版している。

続いて同社は、1973年に本田正一著『キリスト教入門』(聖書教科書1)、そして1996年にはキリスト教学校教育同盟・小林宏共著『新編キリスト教入門 キリストへの招き』(第2版)を出版している。

なお、1月27日に本紙の書評でとりあげた岩波ジュニア新書の『キリスト教入門』と本書とでは、目的も対象とする読者も違うため、どちらがよいかということでは必ずしもない。

岩波ジュニア新書のほうは、聖書とその後のキリスト教の歴史について、高校生以上でしかもキリスト教の信者でない人向けに書かれた教養のための本であり、本書のようにキリスト教主義学校の生徒に焦点をしぼって書かれたものではない。

一方、本書でも聖書については第1巻の第3章「はじめての聖書」にまとめられているほか、さらに第2巻『旧約聖書の教え』、第3巻『新約聖書の教え』でさらに詳しく学ぶことができるようになっている。

本書はキリスト教主義学校での礼拝や聖書の学び、教会活動への参加を視野に入れて書かれており、単に教養のための本にとどまらない。事実、本書の第1巻の「はじめに」には、「初めて聖書を開き、賛美歌を歌い、祈りをささげるみなさんを想像して、このテキストを書いています」と記されている。

一方、岩波ジュニア新書のほうで力点が置かれているキリスト教の歴史については、38、39ページの2ページに短くまとめられた上で、終わりの方で日本のキリスト教の歴史における主な出来事を図にまとめ、キリスト教がどのようにして枝分かれしてきたのかを示す「キリスト教諸教派分枝図」を収めるだけにとどめられている。

どちらもエキュメニカル運動についてふれており、引用されている聖書は新共同訳聖書である。

なお、日本カトリック学校連合会の編集によるキリスト教入門書はないが、それでも中学生でも読める本としては、ガエタノ・コンプリ著『ミッション・スクールに入ったあなたに』『こころにひかりを よくわかるカトリック入門』(いずれもドン・ボスコ社、2011年)という本がある。

また、日本正教会には現在、学校や中学生向けの正教入門書はないものの、名古屋教会の司祭が「正教会って?」という中学生の質問にインターネット上で答えている。

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