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初来日したWCC総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト著『Christian Solidarity in the Cross of Christ』を読む

2014年12月3日15時16分 記者 : 行本尚史
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関連タグ:オラフ・フィクセ・トヴェイト世界教会協議会(WCC)
初来日したWCC総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト著『Christian Solidarity in the Cross of Christ』を読む+
オラフ・フィクセ・トヴェイト著『Christian Solidarity in the Cross of Christ』

きょう初来日した世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事の著書『Christian Solidarity in the Cross of Christ』(キリストの十字架におけるキリスト者の連帯)の主な内容をここでは紹介する。

2012年に WCC Publications から出版された本書は、その裏表紙にもある通り、十字架を個人的な神との和解のしるしとしてだけでなく、今日の世界におけるエキュメニカルなキリスト者の証しの招き、課題、そして担い手のしるしであるとする著者の黙想集(meditative reflections)である。日本語による全訳はまだ出版されていない。

本書によると、十字架はキリスト者に現実を見る具体的なレンズをもたらし、私たちを世界へと開き、世界が必要とするものや本物の弟子としての身分、そして危険な世界における真の働きを見つけるためのカギを提供してくれるという。

本書には、著者がWCC総幹事に就任したときに行った説教をはじめ、11の説教や演説などが収められている。

前書きで、「イエス・キリストの十字架における連帯」「世界の中における、そして世界のためのキリスト者の連帯」という小見出し付きで、この本の解題が記されている。そこでは、「私たちは、キリストの弟子として、聖霊によって神の民との、そして被造世界全体との連帯へと導かれている。十字架の力が私たちが共にしている生活の中で明らかになるように」と、著者は記している。

そして第1部から第3部まで、著者による説教や講演文などが続く。第1部は “God of life”(いのちの神)、第2部は“Sites of Solidarity”(連帯の場)、第3部では“Walking Together toward Justice and Peace”(正義と平和に向けて共に歩む)である。

第1部は、昨年10月30日から11月8日まで韓国の釜山で開催されたWCC第10回総会のテーマである「いのちの神よ、私たちを正義と平和へと導いてください」に関連する4つの説教を基にして書かれたものである。

1つ目は“The God of Life and the Ecumenical Movement of Creation”(いのちの神と被造世界のエキュメニカル運動)、2つ目は“Ecumenical Movement of the Cross”(十字架のエキュメニカル運動)、3つ目は“The Vulnerability of Mary and the Meaning of the Cross”(マリアの弱さと十字架の意味)、そして4つ目は “Christ Alone?”(キリストのみ?)という題のもの。

続いての第2部は、5つ目の“The Peace of Christ”(キリストの平和)から始まる。これは、2011年8月末に南太平洋のサモアで開かれた太平洋教会協議会(PCC)創立50周年記念で著者が語った文章で、正義に基づく平和に向けた教会の共同による活動の「何、なぜ、どのように」について、とりわけ構造的な罪と十字架の現実に照らし合わせて述べたもの。

6つ目の“The Cross as a Sign of Reformation and Unity”(改革と一致のしるしとしての十字架)は、2011年8月20日にインドのマルトマ教会の改革175周年の際に著者が行った基調講演。その講演依頼によって、十字架というテーマについて、そしてこの文脈において、教会自体の改革のために緊急にやらなければならないことについて、さらに黙想を深める場が開かれたと、著者は記している。

7つ目は、“Finding God in Difficult Situations“(困難な状況の中に神を見いだす)。とりわけパキスタンのキリスト教徒の困難な状況における教会のミッションについての省察で、2011年10月9日に開かれたパキスタン教会ミッション協議会で著者が行った発題を基にしたもの。著者によると、これはキリストの弟子としての身分と共同体という観念を、ミッションについての省察における今日の刷新の波や、正義に基づく平和の追求と関連付けようとしたものだという。

8つ目の“The Peace of Freedom”(自由という平和)は、平和のための世界祈祷日である2010年9月21日に、ケニアのナイロビにある全アフリカ教会協議会のチャペルで著者が行った説教を基に書かれたもの。

第3部は、9つ目の“The Cross of Christ and the Search for Global Justice and Peace”(キリストの十字架と地球規模の正義と平和の探求)から始まっている。これは、著者が2011年9月20日のオスロ大学創立200周年記念の際に、世界の正義と紛争の原因と和解の手段の両方としての宗教に関する考察を示すよう招かれたもの。

10番目の“Called to Prophesy, Reconcile, and Heal”は、2010年4月にマレーシアの首都クアラルンプールで開かれたアジアキリスト教協議会(CCA)第13回総会での著者による主題講演である。これについては、新教出版社の月刊誌『福音と世界』(2014年8月号)に三村修氏(日本基督教団佐渡教会牧師)による抄訳「預言と和解、癒しへの招き」が掲載されている。

最後の11番目は“To Walk with an Open Heart”(開かれた心をもって歩む)。これは、2010年11月11日に米ルイジアナ州のニューオーリンズで開かれた米国キリスト教会協議会とチャーチ・ワールド・サービス(CWS)の100周年エキュメニカル集会と総会での著者の演説である。

関連タグ:オラフ・フィクセ・トヴェイト世界教会協議会(WCC)
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