渡辺信夫氏講演会(4):戦争で一番苦しむ人々を忘れてはいけない

2014年7月2日16時47分 記者 : 行本尚史 印刷

渡辺氏は講演後、このような意味のない死を意義付けることは「欺瞞だと思う」と、本紙に語った。また、それは靖国神社の問題にも関わることなのかという本紙の問いに「そうだ」と答え、沖縄の戦没者慰霊にも関わることだと語った。

講演の中で、自らが体験した学徒出陣について、渡辺氏は「学生だけが苦しんだわけではない。高等教育を受けることができる、そういうゆとりのある階層も苦労したことは確かなのだが、下のほうの階層の人ほどあの戦争の中では苦労していたんだということを私たちは忘れてはならないと思う」と教訓を述べた。

「これは今でも考えなければいけない」と渡辺氏は言った。「いま戦争をやりたいという、そういう政治家が出てきている。そういう中で、反対している人たちがかなりいる。反対している人たちは、わりあい教養があり、学問をやっている人たちが多いわけだが、いまこの国が戦争へ、戦争へと向かっていく中で、一番踏みつけられている人たちというのがいるわけだ。その人たちがもっともっと苦しまなければならない日が迫ってきているということを忘れてはならないと思う」

「だから、いま日本の国が危険になっているということに気がついている人は、自分たちの身辺がおかしくなってきているということで、憂いたり怒ったりするだけではなくて、自分たちよりももっとひどい目に遭いつつある人たちがいるんだということをまだ見てないだけで、そういう人たちがいるんだということを忘れないようにしたいと思う」と渡辺氏は付け加えた。

「政府の発表には昔も今もウソが多いということ。これを私は今の時代を生きている人間として毎日のように感じている。そしていま起こっているけしからんことというふうに捉えるだけでなく、政府というものが、あるいは権力を持つ者が、もともと情報を偽って流す、そういう体質を持っているんだということを考えさせられている」と、渡辺氏は述べた。「だから、われわれは昔も今も目覚めて偽りがない社会を創っていくようにしなければならないと思う」

講演会を主催した日本キリスト教会横須賀教会は、講演会の案内チラシでその趣旨について、「今、何かしなければ大変なことになる!!戦争ができる方策を現政権は次々と打ち出す中、私たちは黙って見過ごすことは出来ません。戦争と平和について『次世代に言っておきたい!目を覚まして!』との思いで沖縄基地問題、9条の会等、数々の運動をしてこられた講師から、これまでの集大成として語っていただきます」と記していた。

また、そのチラシには講師のことばとして、次のことが記されている。

「学徒出陣で軍隊に入るとき、私は自分がクリスチャンであると自覚し、キリストの教えが戦争を否定しておられることを知っていながら、国を挙げて戦争目的を達成しようとして、痛みが生じている時代の中で、自分もその痛みに、ともにあずからねばならない、と感じて、死の恐怖を克服して、軍隊に入りました。その考え方が全くデタラメであることが、前線に出てスグに分かりました。私は自分の間違いを明らかにするために深く考え、二度と戦争をしない国を建てていくことが、戦争に生き残った私の使命だと信じてやってきました。ところが、安倍内閣の成立は日本が戦争をする国になったことを明らかにしました。敗戦によって目覚めた日本が、またもとの暗黒に戻った安倍敗戦から日本を取り返さねばなりません」

同教会の濵田京子牧師は、講演が始まる前に、渡辺氏について、「全身全霊をもって、平和を生み出すための長年のご活動の中から、今日の政治状況に対する警鐘を鳴らし、またこれからの世代に対して、私たちがなすべき課題についてもお話くださると思います」と語っていた。

講演の終了後、「ご自身の強烈な体験をお話くださった。魂のこもった貴重な、戦争体験に関わるご講演、平和に対する思い等々を熱く語っていただいた」として、渡辺氏に感謝を述べた。

その上で、「安倍政権になってから憂慮すべき危機的な状況が次々と加速して起こっている。こうした状況の中で、一人の人間として目覚めて、平和のために祈りたい。身を挺して働いていきたい、仕えていきたいと思っている」と語った。

さらに、濵田牧師は講演会の参加者に対して感謝の意を表した上で、「どのような立場に置かれているか、それぞれ違いはあっても、共通の課題として確認できることはたくさんある。それをきょうまた改めて確認させられた。今後とも、共に力を尽くしていけたらと思う」と述べた。

なお、集団的自衛権の行使容認反対と特定秘密保護法の廃止を求め、横須賀市議会が国会と政府に意見書を出すよう要請する請願書の採決が6月27日、横須賀市議会の本会議で行われたが、集団的自衛権は賛成10票、反対29票で、秘密保護法は賛成9票、反対30票でそれぞれ否決された。神奈川新聞などが翌28日に報じた。

7月4日(金)には、午後4時45分から、明治学院大学白金校舎本館1253教室で、明治学院大学キリスト教研究所と台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会の主催により、渡辺信夫牧師らのトークを交えた「台湾の日本軍『慰安婦』被害者たちの回復への道のり―映画『蘆葦の歌』上映会」が行われる予定。

■ 渡辺信夫氏講演会:(1)(2)(3)(4)

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