クリスチャン児童精神科医の田中哲氏、「心の骨組み」語る 心の原点は愛

2014年5月2日21時57分 記者 : 内田周作 印刷
+クリスチャン児童精神科医の田中哲氏、「心の骨組み」語る 心の原点は愛
講演する田中哲氏(児童総合医療センター副院長)=4月17日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で

クリスチャンで児童精神科医である田中哲氏(児童総合医療センター副院長)を招いての講演会が4月17日、東京都千代田区のお茶の水クリスチャン・センター(OCC)で行われ、約70人が参加した。心も体と同じく神様がつくられたものと考える田中氏。「子どものこころの病気を治すというよりも、子どものこころの成長にどう寄り添っていくか」が自身のテーマだという。講演では、心の基本的な枠となる「心の骨組み」について語った。

医学生時代、日曜学校で教師をした経験から、児童精神科医を目指すことを決めたという田中氏。「それはあなたが私の内蔵を造り、母の胎のうちで私を組み立てられたからです」(詩篇139篇13節)という聖書の言葉は、医学生にとって「妙にリアル」「(教理というよりも)もっと具体的」だったという。人間の体をいろいろなパーツ(内蔵)でつくれれた神が「私たちの心も同じようにしない訳がない」。心も体と同じように神がつくったということ、また、その心にもパーツとして「心の骨組み」があることを考えた。

経済的環境や社会的、地域的環境など、心の成長を取り巻く環境は様々なものがある。その中でも人的環境に絞る時、田中氏は、自分自身、自分を無条件にケアしてくれる人(多くは母親)、自分を知っている人(家族、親戚など)、仲間(同級生など)の、4つに出会い、心は成長して行くと言う。未完成の状態で生まれてくる体と同じように、心も生まれた時はまだ完成されたものではない。「造ったきりではなく、神様が関わり続けて育てて行く」のは心も同じなのだ。「こういう人たちの間を生きていくことを通して、人間の心が形作られてく」

自分自身、自分をケアしてくれる人、自分を知っている人、仲間といった人々に出会い成長していく人の心。その人の心を、田中氏は大きな3つの骨組みで考える。

哺乳類の中でも最も幼い状態で生まれるのが人間の子どもだ。「こんなに無防備で、未熟で、何もできない」状態で生まれてくる動物は人間の他にないと田中氏は言う。生まれてからちょうど1年程で、立って歩き、手を使い、話をしてコミュニケーションをとるなど「人間らしく」なる。特にこの約1年の間、子どもは、自分を無条件にケアしてくれる人からの愛を受けて生きる。

「偶然ではないと思っています。この1年間を大事にするように、神様が人間に与えてくれたと思っています」。子どもはこのとき、「自分が愛されていること」を経験する。田中氏は、これを「愛されていることへの信頼」(A)として、心の骨組みの1つ目であり、原点だと考える。

一方、その間子どもは母親からの愛を、何かの見返りとしてではなく、無条件に受けている。これが、心の2つ目の骨組みである「自分はよいものであることの確信」(B)へつながる。そして、「母さんが大事にしているから大事。お母さんが怒ったから悪いこと」というように、「これはいい、これはダメ」といった一種の行動規範が生じてくる。田中氏はこれを心の3つ目の骨組みとして、「生きて行くために必要な枠組み」(C)と呼ぶ。この3つの骨組みが人生の各ステージに適応され、人の心は成長していく(表を参照)。

クリスチャン児童精神科医の田中哲氏、「心の骨組み」語る 心の原点は愛
「心の骨組み」を人生の各ステージ別に説明した表

完全にバランスのとれた心の骨組みを持つ子どもはいないと田中氏は言う。だが、不登校や引きこもり、いじめといった現代の子ども達に見られる様々な問題は、この心の骨組みの成長のどこかに問題があったからだと言う。心の骨組みの成長がどこかで上手くいかなかったと考えるとき、「今の時代を特徴付ける子ども達のいろんな問題のほとんど全てが見えると思う」と田中氏は言う。

その上で、田中氏は心の骨組みの最も原点となる「愛されていることへの信頼」を作る「暖かい視線を注ぎ続ける」ことへの手助けの必要性を語った。「可愛いなと思うときは簡単。でもなかなか可愛いと思えないときもある。そういうときにも暖かい視線を投げかけてあげるには手助けが必要」だと言う。また、子ども同士が互いに育っていくことができる仲間の存在、子ども達の心の成長を支え続けるコミュニティー、子どもが最終的に自立できるようチャンスを与える社会の必要性を語った。

講演後の質疑応答では、「(不登校などの子どもを)一体いいつまで待ってあげたらよいのか」「子どもを叱れない親にどう接すれば良いのか」など具体的な質問が出た。

子どもを信じ待ってあげる人の存在は非常に大切だが、「待つことの専門家はいない」と田中氏。「すべての人には子ども時代があり、私たちも待ってもらったから、これだけの大人になれた」と、待ってもらった経験のある自分自身の存在を語った。また、自分自身の成長を待って見守りつつ育ててくれた親や、親の親の世代らと「待つ」ことを共有することを提案した。

子どもを叱れない親については、「そういう親御さんはすごく不安だと思う」「叱れないからダメではなく、まずはその不安に届いてあげたらどうかと思う」と言う。「叱れるようになるにも、(親の心の)骨組みがしっかりしていないとできない」とし、叱れない親をどう育てていくかではないかと語った。

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