愛による全面受容と心の癒やしへの道(49) 峯野龍弘牧師

2014年1月3日06時35分 コラムニスト : 峯野龍弘 印刷
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第4章 心病む子供たちの心の傷付くプロセスと諸症状
Ⅰ.世俗の価値観に支配されている両親や同居の親族からの非受容と抑圧

さて、以上において指摘して来たような、世俗の価値観に支配されている両親や同居の親族からの非受容と抑圧は、しつこいように思われるかもしれないが、あえて強調して言うならば、これまたすでに述べてきたように、親の「我執」から来るエリート主義に淵源する教育の弊害であって、「より良い子育て」とか「卓越した躾け」とかという美名の下で、親自身が世俗的価値観に駆り立てられてなす、我が子への人格操作に過ぎず、その子どもの本来の個性や本質を無視した一種の洗脳教育に他ならない。

それは、我が子に対する真の個性的人格形成への阻害行為であり、時には破壊行為となる。それこそ人格破壊と人格破綻の大なる要因となる。しかし、意外にこの種の多くの両親たちは、この重大な問題に気付いていない。いや気付き難いのである。

では、その理由は何か。それは皮肉にも、我が子を誰よりも愛していると思っている親の自負心に原因がある。通常世間一般の親たちは、他人の子どもより我が子が見劣りしている事を喜ばない。せめて人並みであるか、できればそれ以上であってほしいと願っている。

愛していればこそ自分の子どもが可愛く、決して人から軽蔑されたり阻害されたりしないために、我が子が立派に育ってほしいと切願する。子どもを愛している親で、誰が我が子はどうなっても構わないと思う親があるだろうか。

それゆえ愛していると思う度合いが大きければ大きいほど、我が子の成長と動向が気に掛る。それどころか一挙手一投足が気になってしまう。しかもそれが親の愛の証拠だとも思っている。

そして、更にそこに親の世俗的価値観や我執(エゴイズム)が混入し始め、親の欲目から何としても子どもを立派に育てよう、それが子どもの将来の幸せにつながるのだと確信する時、我が子を愛すれば愛するほど過干渉となり、親の望むこと、あるいは親の良しと思う方法に従って、子どもの躾や教育を始めてしまう。そこで叱ったり、なだめすかしたりして飴と鞭を使い分けながら「子育て」をするのである。

その際の親の大義名分は、常に「愛しているから」である。そして先にも記したように、愛すれば愛するほど「よい子育て」、「良い躾」という名の下で、我が子の本来の個性や本質を度外視した人格操作、つまり洗脳教育することになるのである。

これはもはや真の人格教育ではなく、「動物的飼育」もしくは「調教」である。のみならず、今日では動物たちの飼育や調教においてすら、それぞれの動物の個性や好みを重んじて、飼育や調教が行われるというのに、それにもかかわらず我が子の個性や本質、好みや心の求めを無視して、やみくもに世俗的価値観や親の我執に基づいて、一方的に押しつけ教育をする世の親たちの何と愚かなことよ!

ここまで来ると「我が子を愛している」と言う親の自負心こそ、何と恐るべき罪悪と言う他ない。これはまさしく「履き違えられた愛」以外でなく、真実の親の愛ではない。もしもお互いが真実な愛の何たるかを知ったならば、それまでの世俗の親の愛はすべて「偽りの愛」に過ぎず、せめて一歩譲歩したとしても「もどきの愛」(愛もどき)、「つもりの愛」(愛したつもり)に過ぎない。これでは真の良い子は育たない。

そこで次には「真実な愛の本質」について学んでみよう。(続く)

峯野龍弘(みねの・たつひろ)

1939年横浜市に生れる。日本大学法学部、東京聖書学校卒業後、65年~68年日本基督教団桜ヶ丘教会で牧会、68年淀橋教会に就任、72年より同教会主任牧師をつとめて現在に至る。また、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会および同教会の各地ブランチ教会を司る主管牧師でもある。

この間、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン総裁(現名誉会長)、東京大聖書展実務委員長、日本福音同盟(JEA)理事長等を歴任。現在、日本ケズィック・コンベンション中央委員長、日本プロテスタント宣教150周年実行委員長などの任にある。名誉神学博士(米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティー神学大学)。

主な著書に、自伝「愛ひとすじに」(いのちのことば社)、「聖なる生涯を慕い求めて―ケズィックとその精神―」(教文館)、「真のキリスト者への道」(いのちのことば社)など。

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