星野ひかり
(ほしの・ひかり)
千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。 ■ 星野ひかりフェイスブックページ ■「花嫁(9)白百合の願い」で取り上げた星野ひかりの石鹸はこちら
千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。 ■ 星野ひかりフェイスブックページ ■「花嫁(9)白百合の願い」で取り上げた星野ひかりの石鹸はこちら
「のり坊、おいで」。お母さんの声がした気がします。ハッと目を覚まし、あたりを見回すと、草原が広がっておりました。あの時の美しい景色の中です。のりぼは「お母さん!」と呼びました。風が吹いています。
そこは、見たことのない寝室でした。病室のようで、ベッドとテーブルのほかは何もありません。消灯時間が過ぎているのか、静かで薄暗く、病室の向こうも明かりが消えておりました。
だんだんと視界がはっきりとしてくると、そこは、夕暮れ過ぎの一面の野原でした。七色の滲んだ群青色の空に、青い草原が広がっています。色の粒子の一粒一粒がはっきりと見え、感じられるような不思議な世界でした。風は、お母さんの言っていたように飴色に輝いています。
翌日は日曜日でした。お父さんは珍しく、ちゃんとアイロンのかかったシャツを着て「のりぼ、今日は教会に行ってから病院に行こう」と言いました。のりぼは憂鬱(ゆううつ)でした。あんな長い話をまた聞かなくてはいけないんだ、と思ったからです。
月のふくらむ、夜でした。星くずが、空いっぱいにかがやいて、それはにぎやかでありました。木々はそよ風にゆれながら、さわさわと音楽をかなでるよう。それを聞きながら鳥たちも、羽を休めてねむりにつきます。