【ジュネーブ=ENI・CJC】スイスのプロテスタントの半分以上は、自然の方が、教会に行くよりも霊的な感動を受けると思っていることが分かった。ドイツ語圏の改革派教会が発行している週刊誌『レフォルミエルテ・プレッセ』の調査で判明した。
スイス人が霊性を求める時、自然の中で発見される平穏の方が教会の中で得られるものより重要であることの度合いが相当大きい、という。この調査を全国規模の『スイス放送』の電子版『スイスインフォ』が伝えた。
調査は、チューリッヒの調査機関『GfS』が行った。それによると、スイス市民の41%が自然に霊性を発見するとし、教会をあげる人はわずか16%だった。
カトリックでは約3分の1が霊性を求めて自然を訪ねると答えた。言語別ではフランス語を話す人よりもドイツ語を話す人にその傾向が強い。
スイスインフォによると『レフォルミエルテ・プレッセ』誌のマティアス・ベーニ編集長は「私たちは、霊性がここ数年間で良く耳にするようになったと思う。そして、それがスイスの伝統的な教会にどの程度結びついているか知りたかった」と言う。
スイス総人口750万のうちプロテスタントは35%、カトリックが42%を占めている。
ベーニ氏は霊性を「沈黙と神秘への一種の模索」と見なしており、人々は日常では見失ってしまった何かであると言う。
プロテスタント教会員の半数以上は自然に霊性を求め、カトリックでは3分の1超、他宗教の信者では4分の1未満になる。「プロテスタント教会は、どちらかと言うとカトリックより冷静で知的だとなると、この結果はそれほど驚くべきものでない」と、ベーニ氏。
カトリック教会が信者の霊的側面での願いに応える方法として巡礼を組織することに、ベーニ氏は注目する。これまで無視して来たプロテスタント教会でも現在“再発見”の動きがある。
霊性に関して自然の占める位置は、ドイツ語を話す人にとっては46%と、フランス語を話す人の25%と比べて、際だっている。スイス市民の約64%はドイツ語を話し、フランス語を話す人は20%超ということからも、スイス人の自然観とも言えそうだ。
ベーニ氏は、調査結果が社会の変革の結果だと言う。それを教会が止めることも出来ず、かと言って必要な対応も出来ない。
かつて教会は、人々霊的なものを求める時、たどりつく唯一の場所だったが、今では他に多彩な競争相手がいる。「霊性が現在ほとんど教会に結びついていないかに驚く一方で、宗教にまで個人主義が浸透していることに驚かされた。人々は自分の信仰を個人的に実践するようになり、霊性についてもそうなっているのだ」と、ベーニ氏は言う。