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カルト被害、教会しかできない一歩踏み込んだ対策を

2006年8月3日12時27分
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 最近、統一協会(世界基督教統一神霊協会)の分派である「摂理」(旧JMS)と呼ばれるカルト宗教団体による被害の実態が明らかにされている。このようなカルト被害に対して、キリスト教界では従来よりも一歩踏み込んだ抜本的な対策が必要だ。


 一般社会のメディアによるカルト宗教と正統派の区別法は現象論的で曖昧だ。宗教問題は人の心神に関する問題なので、統一協会の霊感商法や先に述べた「摂理(JMS)」のように社会問題化しない限り断罪が難しい。しかし社会問題化した時には、すでに個人の手に追えなくなる場合が多い。


 従って、カルト被害が生じる前に、その教理に潜む危険性と矛盾を突き、人々が惑わされることを防止することが切実だが、そのような一歩踏み込んだ対策は十字架の真理の上に立つクリスチャンにしかできない。裁判や世俗的な手段に訴える前に、キリストを信じる者に与えられた御言葉の知恵で偽りの教えに立ち向かうべきだ。


 カルト宗教に立ち向かう天下の宝刀があるなら、それこそは福音であり、福音はクリスチャンに任された神の武具だ(エペソ6:13〜16)。福音の真理に堅く立つ者は決してカルト宗教に陥ることはない。逆に彼らを正しい道へと導くことができる。


 一般にキリスト教で正統派、主流派を意味するオーソドックス(orthodox)とは、「正しい」という意味の「ortho」と「教え」という意味の「doxa」の合成語である。プロテスタント教会のオーソドックスは、「ただ信仰によって」、「ただ恵みによって」、「ただ聖書によって」の三つに要約される。我々は異端とされる宗教がオーソドックスに比べて何がどう違うのかを明確に認識しておく必要がある。


 統一協会、摂理(JMS)、エホバの証人、モルモン教のような多くのカルト宗教がこの三つの基本に必ず違反する。基本をしっかり掴むことでカルト宗教の過ちを明確に把握できる。


 例えば、統一協会や、その教理をそのまま流用している摂理(JMS)の場合は、堕落論で深刻な誤解があるため必然的に救援論で大きな誤謬が生じた。恵みによる無条件の救いが、結婚、お布施、修行、伝道などの手段による条件的な救いへと変質してしまった。従って、イエス・キリストによる救いを否定し、教祖をメシアに仕立て上げるために恣意的で独善的な聖書解釈を行って終末論においても決定的な失敗を犯した。


 異端、カルト発生を食い止める最も根本的で効果的な防止策は、この世に福音が述べ伝えられ広まることの他に無い。つまり、先ずは、福音の土台に堅く立ち、異端がなぜ異端なのかを良く知ること。次に、彼らをカルト宗教から救い出すことだ。カルトに騙された人を断罪することはできない。彼らに必要なのは、むしろ癒しである。キリストの教会は一歩踏み込んで彼らを偽りの宗教から救い出し、傷つき痛んだ心に本当の恵みと平安を与えることができる。


 従って、信仰の上に堅く立ち、カルト宗教で信じられている以上に正しく神の御国とキリストの再臨を信じて伝えなければならない。また、彼らが行う伝道よりも積極的な伝道姿勢が必要だ。「信仰が熱い所は異端」などのような風潮が生まれることこそサタンの思惑通りではないだろうか。


 「摂理」から脱会してクリスチャンになったある男性の証が本紙の記事で紹介された。「教会の祈りと、牧師の的確なアドバイスがなければ、絶対に離れることはできない。」と教会がカルト脱会の大きな力になることを証した。


 人の弱みに付け込むカルト宗教、その魔の手が伸びる前に、クリスチャンが先に救いの一声をかけなければならない。信仰、恵み、聖書の土台に立つ教会の力が必要不可欠だ。闇が光に打ち勝てないように、本当の正しい教えが世に広まると同時に、カルト宗教は消滅して行くだろう。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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