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イエス伝

「イエス伝」(42)・・・富みの逆説 平野耕一牧師

2010年9月1日09時55分
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関連タグ:平野耕一

イエスは富の観念をひっくり返した。「子どもたちを、わたしのところに来させなさい。神の国はこのような者たちのものです。子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに、入ることはできません」と、イエスは語り、十字架を理解する一歩は、子供のような心を持つことであった。

そう教えたすぐ後に、一人の若者が走り寄ってイエスの前にひざまずいて、質問した。「先生、永遠のいのちを得るためには、どんな良いことをしたらよいのですか」。

この若者の特徴を一言でいえば、「富める」ということだ。彼の富をリストしてみよう。まず、彼は若者なのに、すでに経済的に富んでいたし、その富裕ぶりは一目で明らかであった。まず、この若者は恵まれて人生のスタートを切った。よい家庭に生まれ、両親の愛とよい教育を受けながら育てられた。彼は、幼い頃から今まで「両親を信頼し、尊敬してこられた」のだ。その上、生まれつき並みはずれた才能が備わっていた。また、素直で勤勉な性質を持って生まれた。産声を上げた時から、成功する要素が整えられていたのだ。これは、大きな富である。

だからといって成功するとは限らない。しかし、彼のケースはまじめに努力し、知恵ある決断をくり返して、しっかり成功にこぎつけた。この面でも富んでいた。情熱という財産を持っていた。「走り寄って来た」のは、彼の心に燃えるものがあったからだ。若者が自分の求める者をはっきり知って、そこに向けて「走り寄れる」積極性は成功への条件だろう。

「ひざまずいた」のは、礼儀正しいからだ。日本では、成績が優秀なら社会で成功できると考えられがちであるが、社交術を若い時から身につけることが現場での仕事を効果的に進めるために必要だ。だれにでも、どこでも、どんな状況でも自信をもって振舞えることは、若者にとって大きな財産だ。

質問したのはイエスを陥れるためではなく、本当に知りたかったからだ。知的探究心が強いこと、しかも自分の存在とかかわらせて知識を求めている彼は、的を外してはいないのだ。この積極的に知識を求める姿勢も財産の一つだ。

霊的洞察力にも富んでいた。「永遠のいのち」ということばを使ったが、彼はイエスに「永遠のいのち」があることを見抜いたのだ。これは、3年近くイエスとともにいた弟子たちでさえ、この時点では把握していなかったことだ。

日本の教育では当たり前の正解を答えることが評価されるが、「気がつく」、「見抜く」、「洞察する」、またこの青年のように目に見えないものを見る能力は重要なのだ。これは宗教や哲学の世界だけではなく、偉大な科学者や物理学者などは、想像力や洞察力に富んでいた。おそらく、経営やビジネスにも共通するだろう。

自信にあふれていた。若いうちは生意気になり自信過剰になる人は多いが、本当の意味で自信を持つことは難しい。彼は堂々と「どんな良いことをしたらよいのでしょうか」と聞いてきた。これは、彼が良いことをしてきた実績があり、イエスが教える良いことをやる情熱も自信もあったからだ。

イエスは彼に言う。「殺してはならない。姦淫してはならない。盗んではならない。偽証をしてはならない。父と母を敬え。あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」。

若者は胸を張って答えた。「そのようなことはみな、小さい時から守っております。何かがまだ欠けているのでしょうか」。

「あなたには、欠けたことが一つある」イエスがこの若者を見た時すぐ好意を持ったに違いない。彼はすべての面ですぐれていた。欠けたことは一つしかないのだ。これほど完成度の高い若者を、イエスは見たことがなかった。だから、「イエスは彼を見つめ、いつくしんだ」のだ。

そして、ずばり、言い放った。「帰って、あなたの持ち物をむな売り払い、貧しい人たちに与えなさい」若者の胸にぐさっと刺さったに違いない。なぜなら、「彼はこのことばに顔をくもらせ、悲しみながら立ち去った」からだ。

彼は徹底した可能性思考者だった。しかし、彼は初めて行き詰ってしまった。まさか、イエスのことばがこんな角度から襲いかかってくるとは思っていなかったからだ。イエスのことばによって一発のパンチを食らったのだ。なんでも出来ると思い込んだ若者に、たった一つできないことが指摘されたのだ。

次のことばは弟子たちを驚かせた。「裕福な者が神の国に入るのは、なんとむずかしいことだろう」同じことばをくりかえし、さらに「富める者が神の国に入るよりは、ラクダが針の穴を通る方がもっとやさしい」というと、弟子たちはますます驚いて互いの顔を見つめあって言った。「それでは、誰が救われることができるのだろう」。

つまり、この若者が神の国に入れないなら、救われる者などだれもいないと思ったのだ。この青年こそ神の国に最もふさわしい者という弟子たちの観念がひっくり返されたのだ。富める者こそ神の国にこそふさわしいと考えていたことは、弟子たちが十字架を理解することなどはほど遠かったことを示している。

ラクダは当時イスラエルで見る最も大きな動物だ。針の穴は小さいことの象徴だ。つまり、最も大きなものが最も小さな穴を通過することは不可能だ。つまり「できない」のである。富める者が神の国に入ることは難しいのではない、それは「できない」ことなのだ。

イエスは弟子たちの思いを探るようにして彼らの顔をじっと見て言われた。「それは人にはできないことだが、神にはそうではない。どんなことでも神にはできるのだ」。

この記事に現われた三つのことばに注目しよう。「永遠のいのち」、「神の国」、「救い」この三つのことばは一つのリアリティを三つの角度から把握し表現したものだ。本質的には同じことである。

これは、いかなる富を持ってもこのリアリティを手に入れることは「できない」のである。つまり、人にはできないのだ。律法を守ること、宗教熱心であること、道徳的であること、善行をつむことなら、人にもできる。イエスはそれらを否定したのではない。

しかし、「永遠のいのち」、「神の国」、「救い」は、神の属することであり、神にのみできることなのだ。イエスは「すべてのものを売り払って貧しい人にほどこす」なら、永遠のいのちが得られるとは言わなかった。「あなたは天に宝を積む」と言っただけである。

それでは「永遠のいのちを得」、「神の国に入り」、「救われる」ためには、どうしたらよいのであろうか。イエスはくりかえし言われたが「幼子のように、神の国を受け入れること」である。

幼子の特徴とは何か。それは「できないこと」を知っていることだ。それを認めているし、恥ずかしいとも思わない。できないことを受け入れているのだ。またはできることを証明しようとは思わない。

二歳半と一歳の私の孫たちが近所に住んでいて、私は彼らを毎日見ている。彼らの一番の特徴は、「受け入れる」ことだ。まず、だっこを喜んで受け入れる。食べ物や飲み物を嬉しそうに受け入れる。恥ずかしくもなく、汚れてくさいおしりを丸出しにして、おしめの交換を受け入れる。神の国を「受け入れる者」でなければと、イエスは言われた。それは、無代価のプレゼントなのだ。プレゼントは受け入れるものだろう。

富める若者はどうしたらよかったのか。それは「私には出来ません」と、言えばよかったのだ。その一言によって、開かれた神の国の門が見えるはずだ。

イエスは「心の貧しい者は幸いだ。神の国はその人の者だ」と言った。弟子たちは、富める者こそ神の国にふさわしいと思い込んでいたが、その反対で心の貧しい者が神の国を受け継ぐのだ。しかし、やはり弟子たちは分からなかった。

◇

平野耕一(ひらの・こういち):1944年、東京に生まれる。東京聖書学院、デューク大学院卒業。17年間アメリカの教会で牧師を務めた後、1989年帰国。現在、東京ホライズンチャペル牧師。著書『ヤベツの祈り』他多数。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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