紀元202年、ウルファで大洪水が起き、教会堂も破壊されたことを伝えるシリア語文。この地に教会があったことを知る古い貴重な史料。エストランゲロ式書体もある。年代は太陽暦に換算した。シリア文字フォントと文は著者作成。



まとめ
賢者たちは、多くの水が満ち、それらをどうすればよいかと考えている間、夜中に強い大雨が発生した。ダイサン川は日にも月にもなくあふれた。するとすぐに、水は町の西側の壁を破壊して町の中に入り込み、私たちの主君である王の大きくて美しい宮殿を引き裂いた。再びキリスト教会堂が損害を受けた。これにより2千人以上の多くの民が死んだ。水が入ってくると、静けさを超えて、彼らは窒息死した。
(続く)
※ 参考文献
川口一彦著『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)
川口一彦編著『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(イーグレープ、2014年)
川口一彦著『景教碑の風景』(三恵社、2022年)
George Anton Kiraz『The New Syriac Primer』(Gorgias Press、2007年)
『Chronica minora I』(Louvain, Secretariat du Corpus SCO、1960年)
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