2025年10月23日22時56分

シリア語の世界(35)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(2) 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

紀元202年、ウルファで大洪水が起き、教会堂も破壊されたことを伝えるシリア語文。この地に教会があったことを知る古い貴重な史料。エストランゲロ式書体もある。年代は太陽暦に換算した。シリア文字フォントと文は著者作成。

シリア語の世界(35)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(2) 川口一彦
シリア語の世界(35)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(2) 川口一彦
シリア語の世界(35)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(2) 川口一彦

まとめ

賢者たちは、多くの水が満ち、それらをどうすればよいかと考えている間、夜中に強い大雨が発生した。ダイサン川は日にも月にもなくあふれた。するとすぐに、水は町の西側の壁を破壊して町の中に入り込み、私たちの主君である王の大きくて美しい宮殿を引き裂いた。再びキリスト教会堂が損害を受けた。これにより2千人以上の多くの民が死んだ。水が入ってくると、静けさを超えて、彼らは窒息死した。

(続く)

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※ 参考文献
川口一彦著『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)
川口一彦編著『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(イーグレープ、2014年)
川口一彦著『景教碑の風景』(三恵社、2022年)
George Anton Kiraz『The New Syriac Primer』(Gorgias Press、2007年)
『Chronica minora I』(Louvain, Secretariat du Corpus SCO、1960年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。