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不条理なる死を不可知の光で中和せよ

罪とは都合の良い言葉である(その3) マルコ福音書14章27~31節

2025年4月16日07時25分 コラムニスト : 藤崎裕之
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関連タグ:マルコによる福音書藤崎裕之
不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(78)+

不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(78)

※ 前回「罪とは都合の良い言葉である(その2)」から続く。

たとえ、ご一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは決して申しません。(マルコ14:31)

ペトロはなぜこのような、すぐに「バレる」うそをついたのか。どう考えてもペトロの言葉は、その顛末(てんまつ)がまる分かり過ぎだ。だからといって、私はペトロを責めているのではない。

前回述べたように、生まれたばかりの教会はローマ帝国世界のただ中にあった。それは、聖書の中では、ガリラヤ湖とそこに浮かぶ弟子たちの小さな舟に暗示されている。巨大な権力を誇るローマ皇帝が支配する世界で、教会が急拡大していくわけがない。いやむしろ、そうあってほしくないという気持ちが私にはある。それは、私が教会を縮小させることはできたとしても、拡大することはできなかったヘボ牧師だった故であろう。私はついついペトロと自分を重ねてしまう。

本論に戻るが、私はペトロには罪があるとする派である。特に人類の中では最強に罪深いと思う。故に、私はペトロを大いに尊敬する。反対に私は、パウロには罪深さを感じることはできない。奥深いことを書き残していると思うが、だからといって共感できるわけではない。ただただ教えを受けて納得するだけである。罪深いと思うから、ペトロに共感するのであろう。

さて、鶏が二度鳴く間というのは、わずかな時間にということらしい。鶏が二度目に鳴いたとき、ペトロは自分がイエスのことを三度知らないと口にしたことを思い出した。もちろん、イエスの予告を含めて思い出したのである。イエスがペトロのうそを知っていたことを含めて・・・。

人は言う。ペトロにはもともと「イエスを知らない」と言うつもりなど、からし種ほどにもなかったと。真剣に命を失ってもよいと覚悟していたと。そうかもしれない。人間はまことに弱い。どんなに覚悟があっても、いざその時になったら、いとも簡単に過ちを犯してしまう。しかし、あえて私は問う。ペトロにとっての過ちは、イエスを知らないと口にしたことであったのか、と。

私はペトロの大罪とは「たとえ、ご一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは決して申しません」と言い切ったことではないかと思う。自分を過信していたとか、そういう意味ではない。イエスの予告の言葉「今日、今夜、鶏が二度鳴く前に、あなたは三度、私のことを知らないと言うだろう」を聞きながら、まるでイエスの言葉を否定するかのように、「たとえ、ご一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは決して申しません」と口にした、その行為にあると私は思うのである。

神はわれわれ人間に向かって「お前は罪深いのだ」と言われる。しかし、神が「お前は罪深いのだ」と言われるその言葉を耳にしながら、「いえ、私は命を失っても罪など犯しません」と大見えを張るかのごとく、平気でうそをつくことができる。これからも罪を犯すであろうことを十分に知りつつ、「命がけで罪を犯しません」と言い張る。そこにこそ、われわれ人間の罪があるのではないか。

罪を犯すのに「罪を犯しません」と口にする。そんなことは、毎日のように自分自身の中で繰り返されていることだ。われわれは朝目覚めると、「私は罪を犯しません」と宣言して毎日を過ごすわけでない。「罪を犯さないように生きさせてください」と言うなら、まあまあだろう。まして、「私はこれから罪を犯しますけれども、この私をお赦(ゆる)しください」と祈るわけにもいくまい。罪というものは、まことに厄介なのだ。

このレントの期間、正教徒には特別な祈りが用意されている。

「嗚呼(ああ)主王よ、我に我が罪を見、我が兄弟(けいてい)を議せざるを賜え」

私はあえてペトロが大罪を犯したと書いた。誰が一番罪深いか。われわれには大いに関心ありだ。罪とは、キリストからの離れ具合であるといえば、分かりやすいのかもしれない。

誰が一番キリストから離れているのか。これは難しい。キリストからの離れ具合をどうやって計ればよいのか。誰か、その方法を知っているなら教えてほしい。実際のところ、そんなものはないのだ。誰かがどれほどキリストから離れているか。ものすごく、まさに果てしなく離れていれば、それが大罪だ。キリストの息吹が聞こえるほどであれば、小さな罪だ。

そう、キリストとの距離感をはっきり知っている人がいるとしたら、それはキリストご自身でしかあり得ない。われわれは自己判断において、何となくその距離感を推察しているだけだ。自分自身については漠然と自覚があるかもしれないが、それも全く当てにはならない。まして、他人様に関してはどうしようもないくらい計り難いのである。異教徒だから、アンチキリストだからという理由で、ものすごくキリストから離れているかどうか、実際には分からないのだ。彼らが何となくキリストから遠くにいるように思っているだけだ。もしかしたら、そうあってほしいということなのかもしれない。

罪とは都合の良い言葉である。罪という言葉は裁きの物差しになり得る。人を裁く物差しというものは、使いようによっては人間に快楽を与える。私は他人様と自分を比較する。ありとあらゆる人と自分を比較する。一つの手段として「罪深さ」を用いる。ペトロが大罪を犯したと書いて、憂さ晴らしをしている。キリストを伝えるために大世界帝国ローマという荒波へこぎ出していった先輩たちに対しても、物差しを用いて自分と比較する。まさにそれこそが生き地獄そのものではないか。大罪に違いないのだ。

罪とは都合の良い言葉であるが、故にその物差しを時には自分自身に当てはめるべきだ。「私は罪深い人間です」と言葉上手に自分を飾り立てるためではない。私という人間がキリストとどのような距離感にあるのか、まさに自分を省みる手段として、罪という言葉と向き合うべきだ。どうすれば、神とわれわれの間にある距離感は克服されるのか。レントという期間は、どこまでも純粋に自分自身に向き合うべき時ではないだろうか。(終わり)

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◇

藤崎裕之

藤崎裕之

(ふじさき・ひろゆき)

1962年高知市生まれ。明治から続くクリスチャン家庭に育つ。88年同志社大学大学院神学研究科卒業。旧約聖書神学専攻。同年、日本基督教団の教師となる。現在、日本基督教団隠退教師、函館ハリストス正教会信徒。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:マルコによる福音書藤崎裕之
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