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保育施設における虐待はなぜ起こるのか

保育施設における虐待はなぜ起こるのか(6)家庭との行き違い

2023年1月16日11時13分 執筆者 : 千葉敦志
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子ども/children/kids+
※ 写真はイメージです。(写真:Mcimage / Shutterstock)

保育施設における虐待のもう一つの原因は、家庭との連携にあります。この十数年で子育て環境は激変しました。以前、廃止された公立の保育所跡施設を借り受けて、小学生の一時預かり、病後児保育、訪問看護ステーションを立ち上げたとき、近所の人が顔を出し、「ここは、今度は何をするんですか?」と聞かれたことがあります。こういう事業をやりますよとお答えすると、「ああ、良かった。保育園がなくなって火が消えたようになっちゃったから」との言葉を頂いたことがありました。

地域の保育施設がなくなるということは、地域の子育て文化の衰退を意味しています。保育施設を閉鎖することは、その地域に子どもがほぼいなくなってしまったことを示しています。つまり、その地域の子育て支援文化に対するとどめの一撃ということになります。

地域に根ざさない「子育て観」の展開

保育は地域に根ざした児童福祉です。そのため、地域の「子育て観」に少なからず影響を受けます。この部分に関して、地域とどう連携していくのかという問題がおざなりになってしまっている感が拭えません。しかし、それは地域のただ中で暮らしている保育者にとっては、想像だにできないことであったりします。その一方で、児童相談所などの公的機関は、子育ての在り方を「公的な指針」に基づいて判断しようとします。この隙間が、保育施設における虐待事件の落とし穴であると思っています。

保育施設を経営して思ったことは、地域ごとに子育てに対する若干の意識の差があることです。全国一律の保育の仕方があるわけではありません。保育も地域の影響を色濃く受けざるを得ないのです。

共稼ぎの多い地域、片親の多い地域、商業地域、都市部、農村部など、地域による差異は至る所に存在します。保護者の世帯構成や世代も関係します。例えば、大学が幾つもあるような大都市では「教育」に重点を置いて考える単世帯が多く、農漁業が主産業の地域では複数世代同居の世帯が多いといった感じです。商業地域などでは「預かり」のニーズが高かったりします。歓楽街が近ければ、若いシングルマザーが多いでしょう。一人っ子世帯の多い地域や、兄弟やいとこたちと団子になって暮らしている世帯が多い地域だってあります。

ここで、私が以前から関わっている一人の保護者の話をしましょう。彼女は精神的なもろさを持っており、絶えず自分がわが子をしっかりと育てることができているかを心配しています。そして、保育施設からも、自分の育児について疑われているのではないかと心配しているのです。

残念ながら、親戚もほとんどいない状態の親子3人の核家族で、愚痴もこぼせない状態です。現地の公的機関などと連携しながらサポートしていますが、公的機関は得てして紋切り型で、細かな対応は苦手です。また、保育施設側も担任の保育者がまだ若い独身者という状況です。

さまざまな制度の壁もあり、心ならずもたらい回し状態になる中、夫とも子育てに対する意見が合わず、知らず知らずに、わが子に子育ての主導権を握られているような状況になっています。彼女の不安が取り除かれる状態にはいまだに至っていません。

子育て理念の喪失

上記のケースにおける問題点は、公的機関、保育施設ともに「子育てとはこういうものだ」という「理念」が存在しないことです。支援している個々人とは話が通じます。関わっている人たちは、彼女が必死で子育てをしており、その内容は決してひどいものではないことを分かっています。しかし、「彼女が子育てに自信を持てないように制度が邪魔をしてしまっている」のです。こうなると、伴走支援が欠かせません。その家庭の身近にいながら、いろいろな制度を組み合わせて導いていくコーディネーターが必要になります。

現在の制度では、この伴走支援を具体的に担当する部門や役職などは全く想定されていません。多くの場合、保育施設や、下手をすると保育施設の担任に押し付けられるケースがほとんどです。その結果、保護者との二者間の関係に埋没していくか、突き放すか、のいずれかの選択を迫られることになり、その中で潰れそうになってしまう保育者もいます。

今、私が危惧しているのは、保育施設、地域、自治体それぞれにおける「子育てに関する理念の欠如」です。一度、役所の福祉課に「(市町村としての)子育てに関する理念を示してほしい」と要望したことがあります。返ってきた答えは、「施設の判断ですから」の一言でした。

第2次安倍内閣の目玉政策として創設された「子ども・子育て支援新制度」では、各自治体に地域版の「子ども・子育て支援事業計画」の策定が求められました。しかし、「施設を造ります、お金は出します、制度もつくりましょう、だから頑張ってね」といった形のものにならざるを得ないのがほとんどでした。本来的には、国や自治体が子育てに関する理念を示し、それを実現するための方策を打ち出すことが、一番大切だったはずですが、それがなおざりにされてしまっているのです。

当然、保育施設と保護者それぞれの「子育て観」の間にも溝が生まれます。待機児童をさばいていた経験のある保育施設は、今、自分たちが長年抱いてきた「子育て観」が通用しない保護者を目の前にして、面食らっていると思います。

さらに、新型コロナウイルスが追い打ちをかけ、保護者と保育者のつながりを構築することが難しくなっていく中、保育施設と保護者の「子育て観」の隙間を埋める努力さえ難しくなっています。そういう状況の中では、結果的に「何が虐待に当たるのか」という判断基準さえ、個人的な判断に押し込まれてしまっているのです。(続く)

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◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

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