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不条理なる死を不可知の光で中和せよ

転生なきビジョンはない(その3)

2021年11月25日11時09分 コラムニスト : 藤崎裕之
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関連タグ:マルコによる福音書藤崎裕之
転生なきビジョンはない(その3)+

不条理なる死を不可知の光で中和せよ―キリスト教スピリチュアルケアとして―(10)

※ 前回「転生なきビジョンはない(その2)」から続く。

これ以上ない苦しみ

レギオンはイエスに対峙する。「神の名においてお願いします。どうか私を苦しめないでください」。これがレギオンの言い分である。悪霊の言葉なのか、それとも悪霊に憑(つ)かれた人の心の叫びなのか、それは判断できない。恐らくその両方であろう。「邪人」もまた苦しむのである。当たり前のことではないか。苦しいから叫んでいるのだ。苦しいから石で身体を打ちたたいているのだ。平気なわけがない。

われわれは時としてこのような状況を目にして、その人のことを諦めてしまう。どうしてやればよいのか分からないからである。もちろん、この人に途方もない「何か」が起こっているのは理解できる。でもその何かが分からない。私には手の出しようがないと思ってしまう。いやむしろ手を出してはならないように思う。それはなぜか。余計なことをしたらますます苦しめてしまうと考えるからだ。常人とはそういうものだ。

悪霊の正体

レギオンは「苦しめないでください」と言う。それは、イエスが「汚れた霊、この人から出て行け」と仰せになったからだという。実のところ、悪霊の正体はわれわれには分からない。だが、悪霊というものが何となく存在しているように思えるのは事実である。またそれは、しばしば人間に取り憑いているらしく、聖書に限らず経典の類いにはそういう存在が暗示されている。であるからこれは単なる比喩的な書きよう、つまり精神の荒廃を描写したものではないだろうかと考えてしまう。

筆者自身も何かうじゃうじゃしたものが取り憑いているような、いつまでたっても「抜けない」という状態が数年続いた。そして本人もその正体は分からない。そのような経験者はいろいろな表現で何とか人に伝えようとする。「異星人が宇宙波で苦しめてくる」と語った人もいる。これは筆者が直接聞き取ったものだ。また、たまたま1ドル紙幣を手にいれた人が、それ以来「アメリカ霊」に支配されて、外国株の取引にのめり込んだという事例もある。

隙間も大事ということで

悪霊は行き先を求める。空間を単独でうろちょろしていればよいものを、この類いは居座る場所が欲しいのである。できればそれは生身の人間の方がよいらしい。そして何と言うか、群れたがる。独占よりもむしろ共在を望んでいるように思われる。気が付けば軍団になっているのだ。

ある人はこのように言うだろう。「霊」の取り憑きになぜすぐに気付かないのですか。だとしたらむしろ問いたい。「取り憑いたことに気付けば何とかなるのか」と。さらにある人は責め立てるであろうか。「なぜ次々に『霊』を引き込むのか。あなた自身に隙があり過ぎるのではないか」と。ならば答えようではないか!「それは私自身がずっと前から気付いていることなのだ。私の人生には隙がある。隙間だらけだ。でも、隙なく生きているであろうあなたには愛のかけらも感じないのはなぜだろう」

出て行け

イエスは説教たらしいことは言わない。「苦しめないでください」と発する声に対して、「汚れた霊、(この人から)出て行け」である。実はこれは困るのである。なぜなら出て行くにも行き先がない。少し比喩的な解釈が許されるなら、「この人生を変えるにも変えようがない」ということだろうか。

筆者も還暦近くなったのだが、ますます人生というのは変えようがないと思う。天変地異、家族(から)の離反、事故・病気による身体的な変化、失業・事業の失敗による経済的な困窮など、人間をネガティブに変える要素はこの世に満ちあふれている。そのような経験は人を変えるであろうか。では、すでにかなり否定的な状況に置かれた人間が人生を変えるとなるとどうだろう。その行き先というのはとっさには思いつかない。だから、このように言われれば困るのである。どうも「霊」どもも行き先には困るようなのだ。

北海道も養豚の土地ではあるが

イエスに「この人から出ていけ」と言われた霊は、豚に乗り移らせるように求める。豚ならいいのか豚をさげすむ理由が分からない。羊はよいが豚はダメ。そんな言いぐさは意味不明ではある。この際だから「豚」がケガレの象徴だからよいのだということだけは言うまい。とにかくイエスが訪ねた場所は異邦人の土地で、養豚が盛んな地方であっただけ。ただそれだけだ。特に豚である必要もなかったであろうし、多分そういうことである。

レギオンは豚に飛ばしてくれと願う。ただし、2千頭の豚に目がけて飛ばしてくれとは言ってない。イエスがレギオンを2千頭の豚の群れに飛ばしたのだ。そして群れごと湖へなだれ落ちて溺死したのである。2千頭とはあまりにも多過ぎるのではないか。一人の人間に取り憑いていたのであるから、相手も1頭の豚でよいのではと思ってしまう。でもそうではない。イエスはレギオンをわざわざ2千頭の豚の群れに飛ばしたのである。そして死なせたのだ。2千頭である。その町の人たちは経済的にも大損である。損害補償がないと町の存続に関わるのではないかとわれわれは考えるが、イエスはそのようなことにあまり関心がないようだ。

大事件だと思うが・・・

実際に2千頭の豚が溺死したとなれば歴史的な大事件なので聖書以外にも何らかの形で記録が残っているだろう。だが、事実としてそのような話は伝わってはいない。だから2千頭の豚というのは大げさな表現だろうということなのかもしれないし、現代人は単なる誇張と言うだろう。

だとしても2千という数は重要なのだ。1対1ではダメなのだ。はるかに凌駕(りょうが)する数字じゃないとダメなのだ。なぜ? それは、それ程にレギオン(悪霊の軍団)がこの人を苦しめたからだ。ある人がレギオンというとてつもない悪霊集団によって苦しんだ事実というのは、実のところイエスの中では大事件だし、強大な事実だ。われわれはある一人の人間が苦しんで墓場で生きていると考える。イエスはそうではない。巨大な悪霊に取り憑かれた人が墓場で「苦しんで生きている」と理解するのだ。一人の人に「ただの悪霊」ではなく、巨大で邪悪な悪霊が「その人の人生を幸福に生きるべきその『人』に」取り憑いていたのだ。これはイエスにとって大事件なのだ。でも、人はそうは考えない。手に負えない人がまた一人増えてしまったという程度だ。しかし、イエスという名のこの神の子は、レギオンの悪霊取り憑きを「歴史的な大事件」だと受け止めたからこの巨悪を巨大な豚の群れに飛ばした。つまり、歴史を残したのである。聖書はそのようなことを語っている。

これこそが神の力と言うべきであろう

2千頭の豚を溺死させるイエスという方も大したもんだと思う。普通なら前述したように、その土地の経済なりを考えて控えめにやり過ごすのだろうが、イエスは超大胆なのだ。というか、目の前のことに一生懸命というべきか。まあ、当然のごとく猛烈な抗議を受けたことは当たり前だろうし、実のところ、これが20頭くらいだったら半殺しか全殺しに遭うのだろうが、相手にしても2千頭をやっちゃうわけで、そんな人間に簡単に手出しもできないということだろう。どうせ盗むならたくさん盗め的なことではないのだが、やはりどうせやるなら「これこそが神の力じゃ〜」というくらいに超大胆にイエスはやり遂げるのだ。(続く)

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■ 転生なきビジョンはない:(1)(2)(3)(4)

◇

藤崎裕之

藤崎裕之

(ふじさき・ひろゆき)

1962年高知市生まれ。明治から続くクリスチャン家庭に育つ。88年同志社大学大学院神学研究科卒業。旧約聖書神学専攻。同年、日本基督教団の教師となる。現在、日本基督教団隠退教師、函館ハリストス正教会信徒。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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