荒野に呼ばわる者の声 穂森幸一(168)

2020年10月15日10時51分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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荒野に呼ばわる者の声がする。「主の道を整えよ。荒地で、私たちの神のために、大路を平らにせよ。」(イザヤ書40:3)

新型コロナウイルスは世界の様相を一変させました。都市封鎖が行われ、世界各国の交流が完全にストップしました。世界を震撼させる疫病対策のためにはやむを得ない措置だったのかもしれませんが、私は行き過ぎもあったように思います。

日本各地で首長が自粛を呼び掛ける中、マスクを着用していない人の入店やバスへの乗車を拒否することがありました。アレルギー症状などがあり、マスク着用が困難とみられる飛行機の乗客が強制的に降ろされたりする事例がありましたが、何かふに落ちないものを感じました。他の客と距離を保つとか何か方法がなかったものか考えさせられます。

また隣県から買い物に来る人に嫌がらせし、自粛警察と自称する自警団が他県ナンバーの車の侵入を拒み、トラブルが発生していました。感染者の家族に嫌がらせをし、家に石を投げたりするのは犯罪行為です。また感染者のグループが行っていたと思われるスーパーマーケットをボイコットしたりするのは差別行為なのではないかと思います。

この行き過ぎた行為に不安を覚え、この社会の危うさを感じたのは私だけではないと思います。戦前の日本は、軍部の暴走と政治家の舵取りの間違いのために戦争という惨劇に突入したことになっています。煽り立てたマスコミに責任はないのか、自粛警察のように行き過ぎた民衆の過剰反応は問題ではなかったのかということも反省点にしていいのではないかと思います。一気に一つの方向に突っ走ってしまう社会の動きを阻止するためにも、マスコミの動きを注視し、冷静に情勢分析をする「荒野に呼ばわる者」が求められています。どんな時でも世論に流されず、大局的立場に立ち、神の声に耳を傾けることが求められています。

先の大戦では、日本が一方的悪者であり、一片の理もなく、戦前の日本には肯定的なものは何も無かったという風潮が戦後70年間築かれてきました。その結果、日本人は自信と誇りを失い、一時エコノミックアニマルと呼ばれるほど経済中心主義に陥りましたが、その経済も勢いを失い、無気力になりつつあります。

神様が大和民族をこの日本列島に配置されたのは、偶然ではなく、特別な計画と目的があったからに違いないと思うのは間違いでしょうか。古代日本から培われてきた文化は必ずや世界の人々の心に潤いを与えるものになるに違いないと思います。

戦国時代になぜ日本は欧州の植民地にならずに済んだのか、江戸幕府はなぜ鎖国を続けることができたのか、明治維新の時、なぜ急激な改革を実行し、西洋文明を取り入れることができたのか、わずか数十年で西欧列国と肩を並べるほどになれたのかなどという疑問があります。私なりの答えは、日本はお金持ちだったからです。日本は世界有数の金銀の産出国です。日本には金があったため、戦国時代に欧州諸国を凌駕する銃の用意ができたのです。ペリー来航により米国は日本との通商を始めましたが、銀の取引のおかげで南北戦争後の復興が進み、アラスカをロシアから購入する余裕さえあったのです。明治初期の日本に鉄道の売り込みがあり、繊維工場が次々に建てられ、軍艦を購入することができたのは、日本に金銀という資産があったからに違いないというのは考えすぎでしょうか。

戦前の日本は軍国主義で、アジア諸国を植民地化しようとしていた悪い国だと学校では習ったような気がします。実際は逆の働きをしていて、アジアを植民地化する欧米に立ち向かい、国際連盟で民族差別の撤廃と人種平等を求めています。

日露戦争の際には東郷平八郎がバルチック艦隊を打ち破り、日本に勝利をもたらしましたが、この時に世界の海戦が変わるきっかけを作ったといわれます。東郷平八郎の戦法は欧米で研究され、太平洋戦争当時は米国の提督が東郷方式を取り入れて勝利したといわれています。日露戦争では日英同盟のおかげで英国から有利な情報が寄せられ、日本の勝利に結びつきました。逆に太平洋戦争では、情報収集能力不足と管理の不徹底のため、暗号がすべて解読され、ミッドウェー海戦とレイテ沖海戦の敗北につながり、海軍壊滅の道へ向かったともいわれます。

米国、英国、チリの艦隊が鹿児島沖を通過するときは必ず鹿児島港に寄港します。乗組員に何のためですかと尋ねると「ゼネラル東郷の墓参りのためです」と言います。地元ではあまり注目されていないのに、世界の海軍の聖地になっているようです。

最近米国で、東京裁判の見直し論や戦争の原因と背景を見直そうという動きが一部に見られるといわれます。また、本当に原爆を2個も落とすことが必要だったのかという意見も出始めています。東京空襲により大勢の女性、子ども、民間人が殺された非道さも考えるべきという意見もあります。

一方的な悪者に仕立てられている日本軍ですが、その評価を見直す動きが米国の中から出ています。日本は武士道精神を持っていたというのです。ハワイ爆撃を行った零戦部隊は真珠湾の軍事施設と軍艦だけを標的にし、民間施設はほとんど被害を受けてないし、石油貯蔵施設、変電所が狙われなかったのは不思議ともいわれます。

これは一般にはほとんど知られていないことですが、一度零戦は潜水母艦から飛び立ち、米国本土のオレゴン州を爆撃したことがあります。その町には民家しかなく、軍事施設が見当たらなかったため、山中に爆弾を落とし、帰還しました。戦後この町の人々は、日本人パイロットと家族を米国に招き、民家に爆弾を落とさなかったことに感謝を表したそうです。

今、世界情勢が混沌とし、リーダー不在の世界ともいわれます。エリヤやイザヤのように神の声を聞き、為政者や民衆に神のメッセージを届け、荒野で呼ばわる者が求められています。先の大戦で筆舌に尽くし難い苦難を味わい、世界唯一の被爆国となり、どん底の中から復興してきた日本だからこそできる働きがあります。この国から世界の国々の仲保者となる人が出現することを願わずにはおれません。

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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