キリストの香り 穂森幸一(166)

2020年9月17日16時54分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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しかし、神に感謝します。神はいつでも、私たちを導いてキリストによる勝利の行列に加え、至る所で私たちを通して、キリストを知る知識のかおりを放ってくださいます。私たちは、救われる人々の中でも、滅びる人々の中でも、神の前にかぐわしいキリストのかおりなのです。(2コリント2:14、15)

米国に短期間滞在してしばらくぶりに日本に帰ってきたときのことですが、成田空港のロビーに何かの匂いが満ちているのに気付きました。それは人混みの中に感じられるのですが、しょうゆの匂いでした。日本の食事としょうゆは切っても切れないものがあります。しょうゆなしの食事は考えられないと思うほどです。日本にいるときはまったく意識しなかったのに、しょうゆの匂いが染みついているのが不思議でした。

今度は自宅に帰ったら、家族から私の体は臭いと言われ、米国の匂いがするというのです。それはバターの匂いなのではないかと私は思いました。その匂いは肌着にも染みついていて、何度か洗濯を繰り返しても取れませんでした。

韓国に行って気付いたのは、ニンニクの匂いでした。日本に帰ってきてからも周りの人からニンニク臭いと言われていました。何気なく食べているものが体内で吸収され、血中に溶け込み、全身を巡り、その人の香りとなってしまうというのは不思議です。

キリストは次のように宣言されました。

まことに、まことに、あなたがたに告げます。人の子の肉を食べ、またその血を飲まなければ、あなたがたのうちに、いのちはありません。わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠のいのちを持っています。わたしは終わりの日にその人をよみがえらせます。わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物だからです。わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、わたしのうちにとどまり、わたしも彼のうちにとどまります。生ける父がわたしを遣わし、わたしが父によって生きているように、わたしを食べる者も、わたしによって生きるのです。(ヨハネ福音書6:53〜57)

「キリストの肉を食べ、その血を飲む」とはどういうことでしょうか。教会の聖餐式にあずかり、キリストのからだであるパンとぶどうの実から作った血を表すものを頂くという解釈もできるでしょう。キリストの精神に生き、その言葉を自分のものとするという意味にも受け取れます。キリストの血を飲んでいる人は紛れもなく、体からキリストの香りが発散しているに違いないと思います。

初めて韓国を訪れたときの衝撃は忘れることはありません。知り合いの宣教師を通じて出迎えなどをお願いしていたつもりだったのですが、手違いで誰も出迎えはいませんでした。また、出迎える予定の人のことなどもまったく知らなかったために、空港で立ち往生してしまいました。私の伝え方が悪かったみたいで日程が間違って伝わっていたようです。

以前出会った牧師さんの名刺が財布に入っていたため、日本語のできる空港のスタッフから電話をしてもらいました。私も韓国語が話せず、その牧師さんも日本語が話せませんでしたが、何とか英語でコミュニケーションを図りました。その牧師さんが下町のある家庭に連れて行ってくださり、「日本語の話せる牧師を捜してくるからここで待っていてください」と言われました。

その家庭には5歳くらいの男の子と奥さんがいらっしゃいましたが、言葉ができないために何も伝えられませんでした。その男の子は心細い様子の私と目が合うとほほ笑んでくれました。その奥さんは何かもてなそうとしてくださいましたが、知人から何でも食べたり飲んだりするとお腹を壊すと言われていましたので、断りました。

そうするとコーラとリンゴを持ってきて、コーラは工場でできたものだし、リンゴは何も調理してないから大丈夫だよとジェスチャーで伝えてくださいました。言葉が通じなくても一生懸命に受け入れようとしてくださった親子により、癒やされ、落ち着くことができました。その親子の姿にキリストの香りを感じました。

日本語を話せる牧師さんとも連絡がつき、宣教師ゲストハウスに滞在することになり、突然の訪問にもかかわらず、日曜日は2カ所の教会で説教することも決まりました。

韓国の人に話すと怒られるかもしれませんが、韓国語のトーンとリズムは鹿児島弁に似ているように思います。「アンニョンハセヨ」と言うと「アンニョ、ハヨーセヨ(兄さん、早くしてよ)」に聞こえるのです。韓国語のあいさつ言葉を覚えて鹿児島弁のトーンで話したところ、「とても自然な感じで良かったよ」と礼拝後に言われましたので、似ているというのは私の独りよがりではないと思います。

ちょうどその頃、私の母親が病気で伏せていましたので、お土産に朝鮮人参を買って帰ろうと思っていました。そのことを牧師さんに話しますと、上質の朝鮮人参はソウルでもなかなか入手できないということでした。幾つかのつてを頼って、ある薬問屋に連れていかれ、そこの経営者夫婦にお目にかかりました。そうすると金庫みたいな所から朝鮮人参を持ってこられて、「これはかなりの効能がありますから、お母さんに差し上げてください」と言われました。

とても高価なものだと思いましたので、何かサンプルみたいなものを少し分けてくださいとお願いしました。しかし、教会の長老というその経営者は「牧師さんのお役に立てて幸いです」と言って、10分の1以下の値段で分けてくださいました。その方からもキリストの香りが漂っていました。

韓国ではどこに行っても牧師というだけで信頼してくださるし、特別扱いしてくださるのでありがたいのですが、申し訳ない気持ちでした。キリストに仕えている人をとても尊敬し、大切にしている様子が伝わりました。今、日韓は政治的にはとても難しい状況が続いていますが、キリストの香りを放つ人々のつながりによってやがて打開することを願っています。

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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